キャッシング機能付きの法人カード7枚を徹底比較！リスクも解説

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資金繰りが厳しいときに役立つ手段として、あるいは予期せぬ出費に備えて、「法人カードのキャッシング機能」に注目している方は多いでしょう。しかし、現在キャッシングに対応した法人カードは限られているため、カードの選び方がとても大切です。

キャッシング枠の金利や融資スピードはカードによって大きく異なり、選定を誤ると返済負担が増大したり、必要なときに資金が間に合わなかったりするリスクがあります。また、利用方法を誤ると規約違反や信用情報悪化につながる可能性も否定できません。

本記事では、キャッシング機能が付帯する法人カード7枚を、コストとスピードで徹底比較したうえで、各法人カードごとに基本情報を一覧表にまとめています。さらに、キャッシング利用時の注意点やリスクも解説します。ぜひ参考にしてみてください。

キャッシング機能付きの法人カード7枚の比較表

法人カードのキャッシング機能は、カード会社やステータスによって「資金調達コスト（実質年率）」や「現金化までのスピード」に差があります。ここでは、コストパフォーマンスに優れた「一般クラス」と、高機能な「ゴールド・プラチナクラス」の2つに分類し、主要7枚のスペックを比較します。

一般クラス（年会費無料・コスパ重視）

カード名	年会費（税込）	基本還元率	実質年率	融資スピード	海外ATM利用の可否
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード	永年無料	0.5%	18.0%（キャッシングサービスと110万円未満のビジネスローン） ※ビジネスローンの優遇金利適用時（110万円以上）は2.8%〜9.6%	最短数十秒（原則24時間※Web申し込みが可能） ※メンテナンス等の時間を除く	可
三井住友カード ビジネスオーナーズ（一般）	永年無料	0.5%	15.0%	最短即時（Web申し込み時） ※ただし、実際の振り込み時間は金融機関による	可（要設定）
ライフカードビジネスライトプラス（スタンダード）	無料 ※ただし1年間カード利用がない場合、カードサービス手数料1,650円（税込）が必要	0.5%	15.0％～18.0%	24時間Web申し込み可能 ※融資スピードについては公式サイトに記載なし	可

ゴールド・プラチナクラス（付帯機能重視）

カード名	年会費（税込）	基本還元率	実質年率	融資スピード（オンライン/ATM）	海外ATM利用の可否
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード	33,000円 ※初年度は年会費無料	0.5%	14.5%（キャッシングサービスと110万円未満のビジネスローン） ※ビジネスローンの優遇金利適用時（110万円以上）は2.8%〜9.6%	最短数十秒（原則24時間※Web申し込みが可能） ※メンテナンス等の時間を除く	可
三井住友カード ビジネスオーナーズ（ゴールド）	5,500円 ※年間100万円以上の利用で翌年以降の年会費が永年無料	0.5%	15.0% ※海外キャッシュサービスは18.0%	最短即時（Web申し込み時） ※ただし、実際の振り込み時間は金融機関による	可（要設定）
ライフカードビジネスライトプラス（ゴールド）	2,200円 ※初年度は年会費無料	0.5%	公式サイトに記載なし	24時間Web申し込み可能 ※融資スピードについては公式サイトに記載なし	可
apollostation PLATINUM BUSINESS	22,000円 ※利用金額累計が年間300万円以上で次年度の年会費が無料	0.8%	12.0%	当日23:00までに受付完了なら翌金融機関営業日午後（原則24時間※Web申し込みが可能） ※メンテナンス等の時間を除く	可

キャッシング機能に対応する法人カードが多くない理由

法人カードにキャッシング機能が付帯していない、あるいは制限されているケースが多い背景には、カード発行会社と導入企業の双方に理由が存在します。主な要因として、金融規制による審査コストの増大や、企業のガバナンス（内部統制）強化の要請などが挙げられます。

要因	詳細
法規制と審査コスト	貸金業法や総量規制への対応が必要となり、特に個人事業主向けの審査プロセスが複雑化するため。
与信枠の競合	キャッシング利用がショッピング枠（決済枠）を圧迫し、メインの決済機能に支障をきたす恐れがあるため。
内部統制（ガバナンス）	従業員による現金の私的流用や、資金使途が不明確になるリスクを企業側が回避したいため。
コンプライアンス	クレジットカード現金化などの規約違反行為や不正利用の温床となるリスクを防ぐため。

実際に、アメリカン・エキスプレスなどの大手ブランドがキャッシング機能のサービスを終了しているほか、スタートアップ向けのUPSIDERカードなどもキャッシング機能を搭載していません。

もし純粋に資金調達だけを目的とするのであれば、キャッシング機能付きの法人カードを探すのではなく、金利や限度額の条件が良い「法人カードローン」や「ビジネスローン」の利用が推奨されています。

法人カードでキャッシングを利用する方法

法人カードのキャッシング機能を利用する方法には、大きく分けて「国内ATMでの現金引き出し」と「オンラインによる口座振込」の2種類があります。

利用方法	主なメリット	着金スピード
国内ATM	現金をその場で入手可能	即時（ただし110円～220円の手数料が必要）
オンライン振込	多くのカードで手数料が無料 オンライン環境があれば場所を選ばず手続き可能	最短数十秒～翌営業日

国内ATMは、キャッシング機能付きの法人カード（法人キャッシングカード）を使って、コンビニや銀行から即座に現金を調達できる点がメリットです。ただし、利用手数料（110円～220円）がかかる点や、ATMの機種によっては返済方法がリボ払いに限定されてしまう点に注意が必要です。

一方、オンラインキャッシングは、振込手数料が無料で利用できるカードが多く、コスト削減につながります。たとえば、最短数十秒で着金できるセゾン系のカードは有力な選択肢となるでしょう。

キャッシング機能付きの法人カードおすすめ7枚を比較！

本章では、キャッシング機能が確実に利用でき、かつ融資スピードや利便性に優れたおすすめの法人カード7枚を紹介します。

• セゾン（コバルト／プラチナ）・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
• 三井住友カード ビジネスオーナーズ（一般／ゴールド）
• ライフカードビジネスライトプラス（スタンダード／ゴールド）
• apollostation PLATINUM BUSINESS

セゾン（コバルト／プラチナ）・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード

セゾン（コバルト／プラチナ）・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードは、株式会社クレディセゾンが発行する「アメックス 法人カード キャッシング」に対応したビジネスカードです。株式会社クレディセゾンは東京都豊島区に本社を置き、関東財務局長(14)第00085号の貸金業登録を受けています。以下、サービス内容の詳細です。

カード名	セゾン・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®カード
カード種別	コバルト	プラチナ
申し込み資格	法人代表者・個人事業主 ※高校生は除く	個人事業主・経営者をはじめ、安定した収入があり、社会的信用を有するご連絡可能な方（学生、未成年を除く）
年会費（税込）	無料	33,000円 ※初年度無料
ポイント還元率	0.5%～	0.5%～ ＋マイル還元
還元方法	永久不滅ポイント
追加カード年会費（税込）	年会費無料	3,300円
追加カード発行手数料（税込）	記載なし
追加カードの発行上限数	9枚
実質年率	18.0% （キャッシングサービスと110万円未満のビジネスローン） ※ビジネスローンの優遇金利適用時（110万円以上）は2.8%〜9.6%
融資スピード	最短数十秒（原則24時間※Web申し込みが可能） ※メンテナンス等の時間を除く
国際ブランド	アメリカン・エキスプレス
カード利用枠	30万～500万円	最高9,990万円 ※個別の審査によって異なります
付帯保険	国内ショッピング保険：なし 海外ショッピング保険：なし 国内旅行傷害：なし 海外旅行傷害：なし	国内ショッピング保険：最高300万円 海外ショッピング保険：最高300万円 国内旅行傷害：最高5,000万円 海外旅行傷害：最高1億円
付帯特典	特定加盟店：ポイント4倍 セゾンビジネスサポートローン：最大950万円 エックスサーバーご優待：最大16,500円割引 かんたんクラウド(MJS)ご優待：2ヶ月無料 優待プログラム	一般カードの特典＋ JALのマイル最大1.125%還元 コンシェルジュ・サービス 空港ラウンジ無料サービス Tablet® Hotels加盟ホテルVIPアップグレード セゾンプレミアムゴルフサービス オントレ entrée セゾンフクリコ
発行スピード	最短3営業日
必要書類	記載なし ※決算書・登記簿謄本は不要

カード申し込み手続きでは、決算書や登記簿謄本の提出が不要であり、代表者個人の本人確認書類のみで審査が行われるため、設立直後の法人でも申し込みやすい設計となっています。

キャッシング機能においては、インターネットやアプリから手続きを行う「ONLINEキャッシング」により、スピーディーな対応が用意されているのが特長です。ONLINEキャッシングでは、メンテナンス時間を除き、原則24時間申請ができます。さらに、平日9:00〜14:29の手続きなら、最短数十秒で口座への振込が可能とされています。いざというときや、緊急の資金需要にも対応できる点は、大きな魅力となるでしょう。

また、セゾンコバルト・ビジネスは年会費が永年無料で維持コストがかかりません。一方、セゾンプラチナ・ビジネスは、JALのマイルの還元率が最大1.125%になるなど、付帯サービスが充実しています。

資金調達のスピードを優先する方や、創業間もない経営者に適しています。セゾン（コバルト／プラチナ）・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードが気になる方は、以下のリンクから詳細をご確認ください。

セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードの評判・口コミは？

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードの評判・口コミはどう？

三井住友カード ビジネスオーナーズ（一般／ゴールド）

三井住友カード ビジネスオーナーズは、三井住友カード株式会社が発行する法人カードです。同社は大阪市中央区を所在地とし、近畿財務局長(14)第00209号の貸金業登録を受けています。以下、サービス内容の詳細です。

カード名	三井住友カード ビジネスオーナーズ
カード種別	一般カード	ゴールドカード
申し込み資格	満18歳以上の法人代表者・個人事業主 ※高校生は除く
年会費（税込）	無料	5,500円 ※年間100万円のご利用で翌年以降の年会費永年無料
追加カード年会費（税込）	無料
追加カード発行手数料（税込）	記載なし
追加カードの発行上限数	18枚
国際ブランド	Visa・MasterCard
カード利用枠	～500万円
基本還元率	0.5%
還元方法	Vポイント
実質年率	15.0%
融資スピード	最短即時（Web申し込み時） ※ただし、実際の振り込み時間は金融機関による
付帯保険	国内ショッピング保険：なし 海外ショッピング保険：なし 国内旅行傷害：なし 海外旅行傷害：最高2,000万円	国内ショッピング保険：最高300万円 海外ショッピング保険：最高300万円 国内旅行傷害：最高2,000万円 海外旅行傷害：最高2,000万円
付帯特典	条件達成で、対象となる利用分のポイントが最大1.5% ビジネスサポートサービス 福利厚生代行サービス	一般カードの特典＋ 空港ラウンジ無料サービス
発行スピード	最短3営業日
必要書類	代表者の本人確認書類

三井住友カード ビジネスオーナーズ（一般／ゴールド）では、券面にカード番号が印字されない「ナンバーレス」仕様を採用しており、セキュリティ面に優れています。

付帯するキャッシングサービスの特徴として、実質年率が一律15.0%に設定されている点が挙げられます。一般的なクレジットカードのキャッシング金利の上限が18.0%であることを考慮すると、比較的低いコストで利用可能です。また、海外キャッシュサービスにも対応しており、海外出張時の現地通貨調達手段としても活用できます。

一般カードは年会費が永年無料です。ゴールドカードは通常年会費5,500円（税込）ですが、年間100万円以上の利用で翌年以降の年会費が永年無料になります。

セキュリティと金利のバランスを重視する方に適しています。三井住友カード ビジネスオーナーズが気になる方は、以下のリンクから詳細をご確認ください。

三井住友カード ビジネスオーナーズの評判・口コミは？他のカードとの比較や保有メリット

ライフカードビジネスライトプラス（スタンダード／ゴールド）

ライフカードビジネスライトプラスは、アイフルグループのライフカード株式会社が発行する法人カードです。同社は神奈川県横浜市に本社を置き、関東財務局長(5)第01481号の貸金業登録を受けています。以下、サービス内容の詳細です。

カード名	ライフカードビジネスライトプラス
カード種別	スタンダード	ゴールド
申し込み資格	法人代表者・個人事業主
年会費（税込）	無料	2,200円 ※初年度無料
	ただし、1年間カード利用がない場合、カードサービス手数料として1,650円（税込）が必要
ポイント還元率	0.5％～ ※別途ポイントアップ制度あり
還元方法	LIFEサンクスポイント
追加カード年会費（税込）	無料	2,200円 ※初年度無料
追加カード発行手数料（税込）	記載なし
追加カードの発行上限数	3枚
国際ブランド	Visa・MasterCard・JCB
実質年率	15.0％～18.0%	記載なし
融資スピード	24時間Web申し込み可能 ※融資スピードについては公式サイトに記載なし
カード利用枠	～500万
付帯保険	国内ショッピング保険：なし 海外ショッピング保険：なし 国内旅行傷害：なし 海外旅行傷害：なし	国内ショッピング保険：なし 海外ショッピング保険：なし 国内旅行傷害保険：あり 海外旅行傷害保険：あり
付帯特典	LIFEサンクスプレゼント 弁護士無料相談サービス 海外アシスタンスサービス 旅行サービス「Travel Gate」 カーシェアリングサービス「タイムズカープラス」 福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」	一般カードの特典＋ 空港ラウンジサービス シートベルト傷害保険
発行スピード	最短3営業日
必要書類	本人確認書類

本カードは、Web完結の申し込みにより最短3営業日で発行されるのが特長のひとつです。物理カードが手元に届くまでの期間が短いので、急ぎでキャッシングを利用したい場合に重宝します。また、審査においては親会社のノウハウを活かした独自の審査基準を持ち、決算書の提出が不要とされています。そのため、開業直後や赤字決算の企業でも申し込みやすいカードと言えます。

スタンダードカードは年会費が永年無料、ゴールドカードも初年度無料で2年目以降2,200円（税込）と、維持コストが比較的低く設定されています。

維持コストを抑えてカードを持ちたい方や、急ぎでカードを手にしたい方に適しています。ライフカードビジネスライトプラスが気になる方は、以下のリンクから詳細をご確認ください。

ライフカードビジネスライトプラスの評判・口コミは？おすすめな方・そうでない方

apollostation PLATINUM BUSINESS

apollostation PLATINUM BUSINESSは、出光クレジット株式会社が発行するプラチナランクの法人カードです。同社は東京都墨田区に本社を置き、関東財務局長(14)第00529号の貸金業登録を受けています。以下、サービス内容の詳細です。

カード名	apollostation PLATINUM BUSINESS
申し込み資格	個人事業主・経営者をはじめ、安定した収入があり、社会的信用を有するご連絡可能な方
年会費（税込）	22,000円 ※年間300万円以上の利用で次年度年会費が無料
追加カード年会費（税込）	3,300円 ※年間300万円以上の利用で次年度年会費が無料
追加カード発行手数料	記載なし
追加カードの発行上限数	9枚
国際ブランド	Visa・アメリカン・エキスプレス
カード利用枠	記載なし
基本還元率	0.8％～
還元方法	プラスポイント
実質年率	12.0%
融資スピード	当日23:00までに受付完了なら翌金融機関営業日午後（原則24時間※Web申し込みが可能） ※メンテナンス等の時間を除く
付帯保険	国内ショッピング保険：最高300万円 海外ショッピング保険：最高300万円 国内旅行傷害：最高5,000万円※ 海外旅行傷害：最高1億円※ ※旅行費用のカード支払いで適用
主な付帯特典	サイバー保険：最高100万円 国内空港ラウンジ無料 コンシェルジュサービス：航空券・乗車券・ホテルなどの手配 Visaビジネスオファー・ビジネス・アドバンテージ 優待サービス
空港ラウンジの同伴	1名につき$35
発行スピード	最短3営業日
必要書類	代表者の本人確認書類 ※登記簿謄本や決算書の提出不要

本カードは基本還元率が0.8％～と、比較的高水準に設定されているのが特長です。ビジネスユースに幅広く応えるためのサービスも充実しています。

年会費は22,000円（税込）ですが、年間300万円以上のショッピング利用で次年度の年会費が無料になります。プラチナカードとして付帯サービスが充実していることに加え、ポイント還元率などの利点を組み合わせると、優れたコストパフォーマンスを発揮する可能性があります。

一定額以上のビジネスユースが見込まれる企業、車両関連コストが高い企業などに適したカードです。apollostation PLATINUM BUSINESSが気になる方は、以下のリンクから詳細をご確認ください。

キャッシング枠の審査落ちや枠不足を防ぐためのポイント

法人カードのキャッシングサービスでは、現金を貸し付けるという性質上、ショッピング枠よりも審査が慎重に行われるのが一般的です。審査に落ちないためには、申し込み時の金額設定が大切です。また、利用枠不足を防ぐにはカード発行後の運用実績も重要になってきます。

ここでは、審査通過のためにできることや、希望の利用枠を確保するための具体的な対策について解説します。

申し込み時は必要最低限の希望額にする

カード申し込み時においては、キャッシング希望額を必要最低限にとどめるのが賢明です。

貸金業法および金融庁の監督指針により、一定額を超える借入申し込みには「年収を証明する書類」の提出が義務付けられており、審査工程が複雑化するためです。具体的には、以下の基準で提出義務が発生します。

条件	収入証明書の提出	審査の傾向
希望額が50万円以下	原則不要	スムーズに進みやすい
希望額が50万円超	必須	書類確認など詳細な審査が必要

「念のため・・・」などの心理から高額な枠を希望してしまうと、かえって提出書類の確認が必要となり、収入状況によってはカード自体の発行が見送られるリスクがあります。一方で、50万円以下の少額申請であれば、原則として収入証明書の提出が不要となり、審査がスムーズに進む可能性が高まります。

審査に不安がある場合は特に、最初から大きな枠を狙わず、まずは審査のハードルが低い少額で申し込み、確実に会員資格を得ることを優先するのが賢い選択です。

クレジットヒストリー（利用実績）を積んでから増枠する

初期の利用枠が希望額より少ない場合でも、カード発行後に利用実績を積み重ねてから増枠申請を行うことで、キャッシング枠を拡大できます。

クレジットカードの利用枠は、最初から最大額が付与されるわけではなく、実際の返済履歴である「クレジットヒストリー」に基づいて、会員の信用力とともに育てていくものだからです。多くのカード会社では、入会直後の増枠には慎重であり、一定期間の実績作りが求められます。

増枠を成功させるための具体的な手順は以下の通りです。

• カード発行後は少額でも毎月利用し、必ず引き落とし日に返済する
• 最低でも半年間は遅延のない利用実績を継続する
• 良好なクレジットヒストリーが積み重なったら、会員ページや電話で増枠を申請する

指定信用情報機関には毎月の入金状況が記録されており、遅延なく返済を続けることで、信用情報に正常入金を示す記録が蓄積されます。この良好な実績が構築された状態で申請すれば、優良顧客として評価され、希望額への増枠が認められる可能性が高まります。

少なくとも半年間以上の実績を積み重ね、信用力を客観的に証明してから枠を広げるアプローチが確実です。

キャッシングの利用前に知っておくべきリスク・デメリット

法人カードのキャッシング機能は、審査スピードが速く手軽な反面、銀行融資等と比較してコストやリスクが高い傾向にあります。

特に注意すべき点は、高金利によって返済負担が増加する点や、返済方法の制限によってキャッシュフローが圧迫される点です。ここでは、申し込み前に必ず押さえておくべき4つのリスクについて、具体的な数値を交えて解説します。

実質年率が15.0%〜18.0%と非常に高金利である

法人カードにおけるキャッシングの実質年率は15.0%〜18.0%程度と高く設定されており、長期的な資金調達手段としては不向きです。無担保・無保証で迅速に借り入れができる利便性の対価として、一般的な銀行融資よりも高い金利コストが発生します。

銀行融資や公的融資と比較すると、その金利差は数倍にも達するため、注意が必要です。

金融商品・サービス	実質年率（目安）	備考
日本政策金融公庫	2.0% 〜 4.0%程度	担保や期間により変動
銀行融資	2.0% 〜 5.0%程度	企業の信用力により変動
法人カードのキャッシング	15.0% 〜 18.0%	一律で高めに設定される傾向

仮に、実質年率18.0%で10万円を借りた場合、1ヶ月で発生する利息は約1,500円、1年間では2万円近くになります。短期間の借り入れであれば利息負担は感じることはないものの、年換算では借入元本の約2割がコストとして消える計算になり、借入期間が長引くほど負担は増加します。

資金繰りの悪化を防ぐためにも、キャッシングは「数日から1ヶ月以内」の短期的なつなぎ資金として利用するにとどめるほうが賢明と言えます。設備投資などの長期資金の調達に対しては、より低金利な法人カードローンや公的融資の利用を検討すべきです。

返済方法が「一括払い」のみのカードがある

法人カードにおいて、すべてのキャッシングサービスが、月々の返済負担を抑えられる「リボ払い」に対応しているわけではありません。カードの種類または利用する条件によっては、返済方法が「翌月一括払い」に限定されている場合があります。

一括払いのみのカードを利用すると、借り入れた翌月に元金と利息の全額を返済しなければならず、かえって経営上のキャッシュフローを圧迫するリスクがあります。

【返済方法に注意すべき事例】

• キャッシング返済が一括払い限定の法人カードで契約しているケース
• 提携カードなどで、規約により返済方法が一括払いのみと定められているケース
• 海外キャッシング（現地ATM）利用時では、リボ払いに対応していないケース　など

キャッシングサービスを利用する際には、申し込み前に「リボ払い返済が可能か」など、具体的な返済方法についても確認しておく必要があります。

キャッシング枠はショッピング枠と共有される

法人クレジットカードのキャッシング枠は、「ショッピング枠の内枠」、すなわち総利用額を共有する同一枠として設定されるのが一般的です。したがって、キャッシングを利用すると、その金額分だけショッピング（カード決済）で利用できる残高が減少します。また、すでにショッピング枠で決済している金額が多い場合は、総利用額の残高の範囲でしか、キャッシングの借り入れが認められません。

表：カード総利用枠（ショッピング枠）が100万円である場合の例

利用状況	利用枠による制限の例
ショッピング（カード決済）で30万円を利用	残りのキャッシング枠は最大で70万円まで
キャッシングで30万円を借り入れ	残りのショッピング（カード決済）は70万円まで
ショッピング（カード決済）で100万円を利用	総利用額が埋まっているので、キャッシングによる新規借り入れができない
キャッシングで100万円を借り入れ	総利用額が埋まっているので、新たにショッピング（カード決済）ができない

こうした仕組みを理解せずに限度額まで現金を借りてしまうと、広告費やサーバー代など、事業運営に必要となる経費決済ができなくなる事態も想定され、経営に支障をきたす恐れがあります。

重要な決済が止まるトラブルを避けるため、キャッシング利用時はショッピング枠の残高について、必ず確認するべきです。あるいは、独立した融資枠を持つローン専用カードの利用を検討するほうが、経営上のリスクを回避できます。

「クレジットカード現金化」は規約違反

「クレジットカードのショッピング枠の現金化」などに該当する行為は、すべてのカード会社の会員規約で明確に禁止されている違反行為です。たとえ資金繰りに困窮した場合でも、絶対に手を出すべきではありません。

一般的に「クレジットカード現金化」と呼ばれる行為には、商品の換金行為やキャッシュバック制度の悪用などが確認されていますが、こうした行為はいずれも規約違反であり、カード会社に対する背信行為とみなされ、発覚すれば重いペナルティが課される傾向があります。

規約違反による処置	内容
強制解約（退会）	カードが即座に利用停止となり、会員資格を剥奪される
一括返済請求	キャッシングだけでなく、ショッピングのリボ払いや分割払い残高も含めた「全額の一括返済」を求められる
信用情報の悪化	金融事故として登録され（ブラックリスト入り）、新たな借入やカード作成がきわめて困難となる

規約違反となり上記のようなペナルティーを受けた場合、単純にカードの利便性や恩恵を失うだけでなく、利用者自身の信用情報に傷がついたり、会社経営そのものが大きなリスクに晒される可能性があります。

なお、ネット上などで「クレジットカードのショッピング枠の現金化は違法行為ではない」という主張が見られますが、これは単に「明確に禁じる法律が存在しない」という背景によるものです。繰り返しになりますが、ほとんどすべてのクレジットカード会社が「クレジットカード現金化」に類する行為を、「規約違反」として明確に禁じています。

さらに、現金化を仲介する業者のなかには悪質な業者も多いとされ、違法な手数料の存在、個人情報の悪用など、トラブルの温床となっています。したがって、ネットやSNSで現金化を誘う広告を見かけても、決して手を出すべきではありません。

まとめ

本記事では、キャッシング機能付きの法人カード7枚についてご紹介しました。

キャッシング機能付き法人カードは、カードによって資金調達コスト（実質年率）や現金化までのスピードに大きな差があります。特に、最短数十秒で振込が可能なセゾン系カードは、急ぎの資金調達ニーズに合致します。一方で、apollostation PLATINUM BUSINESSは実質年率12.0%と低金利で、コストを抑えたい事業者に有利です。

利用に際しては、高金利やショッピング枠との共有、一括払い限定の返済方法といったリスクを理解した上で、利用枠を必要最低限に抑えるなど、計画的な利用が求められます。

自社の資金調達のスピードやコスト優先度に合ったカードを選定し、資金繰りの不安を解消するために、ぜひ本記事をお役立てください。