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バーチャルオフィスの住所はどこでもいい?
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バーチャルオフィスの住所については、まったくこだわりがないならどこの住所でもいいといえます。しかし、事業・ビジネスを堅実に運営していきたいのであれば、適した住所を選ばなければなりません。
なかでも見栄えの良くない住所、犯罪に使用されたことのある住所、ネット上で掲示するのに画像処理を求められる住所は、できるだけ避けたほうがいいでしょう。
バーチャルオフィスに対する理解の深まりや、バーチャルオフィスを運営する事業者が多く出てきたことによって、バーチャルオフィスを利用して起業をする方が多くなっています。特にバーチャルオフィスを運営する事業者が増えてきたことは、ユーザーにとって選択肢を多く与えることになり、より良い選択をすることが求められるでしょう。
バーチャルオフィスの選択をより良いものにするための判断基準は、さまざまです。今回はバーチャルオフィスのメインサービスである”法人登記のための住所利用”にフォーカスし、「その住所はどこでもいいのか?」という点について深掘りします。
目次
まったくこだわりがなければどこでもいい
まず前提として、事業上の住所にこだわりがない場合、バーチャルオフィスはどこの住所を使っても構いません。そもそも法律(商業登記法)上、法人設立登記を行う際の本店所在地の住所は、どこの住所を使っても問題ないからです。
ただしご自身ではこだわりがなく、どこでもいいと思っても、その判断基準を正しく認識していない可能性があります。たとえばナイトワーク・歓楽街などのビジネスとかけ離れたエリアは、イメージを悪くするため選ばないほうが無難です。
詳しくは後述しますが、あとで「こんなはずではなかった」とならないよう、バーチャルオフィスの住所は注意して選びましょう。
注意
どれだけこだわりがないとはいえ、同じ商号で事業を営む法人がその住所を先に使っていた場合、同じ住所を使えません。これは「同一商号、同一本店の禁止」といって、商業登記法第27条に定められている規定です。
ビジネスをしっかり行うならバーチャルオフィスの住所は慎重に選ぶべき
営む事業がオンラインショップ運営などのBtoC事業、法人を相手としたBtoB事業にかかわらず、社会的にしっかりとビジネスを行っていきたいと考えているようでしたら、バーチャルオフィスの住所は慎重に選びましょう。住所によって信頼度が左右される部分があります。以降では、その理由を詳しく解説します。
必ずしもビジネスに最適な住所でないことがある
事業を堅実に運営していきたいのであれば、法人登記をする場所にはこだわったほうがいいでしょう。事業に適した住所、あまり適していない住所というのは存在します。
たとえば、東京においても23区内の住所と23区外の住所では、ビジネスにおいてどちらが適しているかというと、やはり23区内のほうがビジネスに適しているといえるでしょう。また、23区内でも千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区といった多くの企業が集まるエリアのほうが、法人登記の場所として望ましいといえます。
バーチャルオフィス事業者の立場で考えると、2パターンが想定されます。1つ目は、バーチャルオフィス事業者が「この住所はビジネスに適しているから、ここでバーチャルオフィスを展開しよう」という風に、”バーチャルオフィスの利用者にとって最適な住所はどこか”という点を考慮して始めるパターン。2つ目は、「ここにスペースが余っているから、バーチャルオフィスを運営しよう」「今借りているオフィスでバーチャルオフィスもやれば収益にプラスになる」といった、事業者側の思惑でバーチャルオフィスを始めているパターンです。
後者の場合は、先述したビジネスに適しているとしたエリアから外れている場合があります。法人登記に使える住所が利用者のニーズに合っていない可能性もあり、注意が必要です。
コストが大差ないなら見栄えの良い住所がいい
バーチャルオフィスはサービスがどんどん洗練され、事業者間での競争が激化しつつあり、サービス価格が下がってきています。格安バーチャルオフィスに分類されるようなサービスでは、数百円~1,000円台の基本料金で利用できるところが増加中です。
とはいえ、都心の一等地のバーチャルオフィスと、郊外のバーチャルオフィスでは価格差がそれほど大きくありません。それでしたらできるだけ印象の良い人気の高いエリアの住所を使用したほうがいいでしょう。「●●県●●群●●町」といった住所より、「東京都渋谷区道玄坂1-16-6」のほうがビジネスに適しています。
エリアによっても印象の良い住所やそれぞれの場所が持つイメージは異なりますが、東京の場合なら以下の2つが特におすすめです。
- 千代田区(大企業の本社・本店、官公庁が多く集まる)
- 渋谷区(IT企業が多く集まる)
利用できる住所は事前確認を
バーチャルオフィスは、事業用の対外的なやり取りのために住所を借りられるサービスです。しかし、その住所が事業で使うのに問題ないかを確かめておかないと、思いがけないトラブルに巻き込まれる恐れがあります。特に、以下の2点に留意して、事前調査を進めましょう。
- 犯罪に使用されたことがないか
- 表示に当たって画像処理を求められないか
犯罪に使用されたことのある住所はNG
バーチャルオフィスの住所で注意すべきなのは、過去にその住所に犯罪に関係した会社が法人登記していないかという点です。仮に犯罪に使用されたことがある住所の場合、住所で検索すると望ましくない検索結果が表示されます。このような検索結果をクライアントや見込み顧客が見つけ、自社の印象を著しく悪化させてしまう恐れがあります。
バーチャルオフィスを契約する前に、使用できる住所を確認し、実際に検索をして確認しましょう。バーチャルオフィスによっては契約が済むまで住所を教えてもらえないケースもありますが、そのようなところは避けたほうが無難です。
なお、犯罪に使用されたことがあるかを調べるには、SNSやWeb検索を使うのが有効です。口コミや評判も調べておきましょう。
そもそも、代表者が逮捕されるような会社の場合、逮捕後に本店所在地を移さずそのままになってしまうことは十分に考えられます。本店所在地がそのままである限り、「犯罪に使われた住所」という事実は残るため、イメージは決して良くありません。そして、そのような住所を何も調べずに使っている会社・個人事業主も、リスク管理ができずいい加減というイメージを持たれかねませんので、必ず事前に調査しましょう。
住所表示に画像処理を求められるのはNG
上記のような犯罪に使用されたことを隠すために、検索されても住所が特定できないようにする方法が、住所表記を画像処理するというものです。画像処理することによって悪評が立つことを防げるものの、会社概要を見たときに住所だけ画像になっていると、いかにも住所を知られたくないという意図が伝わってきます。「住所を知られたくない理由があるのではないか?」という疑念も持たれかねません。
また、画像でしか住所を表記できない場合、住所をテキストで表記する必要があるサービスに登録できません。たとえば、Amazonでの販売者登録や、Google My Businessへの登録などです。
自社にネガティブな情報が流れないようにするという意味で、住所表記を画像で行うことは一定の意味はありますが、利用者にとってあまり良いものではありません。
なぜ画像処理を求めるのか
そもそも、なぜ住所の画像処理を求めるバーチャルオフィスがあるのか、理由を解説しましょう。
仮に、画像処理を施さず、テキストで住所を公開した場合、GoogleやYahoo!などの検索でヒットします。また、同じ住所を使っている会社・個人事業主の名称が、一覧で検索結果に表示されます。「同じ住所にさまざまな企業名が表示されるのはどういうことだろう」と、不信感を抱かせかねないために、画像処理を求められることがあるのも実情です。
しかし、画像処理を施したうえで住所を表示するのは、以下のようなデメリットがあります。
- 所在地を隠していると思われ信用問題に発展する
- AmazonやBASEなどのネットショップ開設時に使用できない
- GoogleMapに表示できない
- SEOに悪影響が出る
どのデメリットも、住所の実在性、信頼性が担保できないことに起因する問題です。特に深刻なのがSEOへの悪影響でしょう。
最近はE-E-A-Tという情報発信者の「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」をGoogleが重視する傾向にあります。画像処理していると所在地がGoogleには伝わらず、「Trustworthiness(信頼性)」を毀損してしまうので注意しなくてはいけません。
簡単にいうと、「住所を隠すような人・企業が言うことは到底信用できない」とGoogleが判断するということです。バーチャルオフィスの住所を画像処理する弊害については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
自宅近くにあればベスト
バーチャルオフィスによっては、直接オフィスに行って郵便物をピックアップすることができます。(バーチャルオフィス1でも郵便物のピックアップが可能です。)
そのようなバーチャルオフィスが近くにあるようでしたら、郵便物を直接受け取りに行くことが楽になるためおすすめです。
自宅近くにない場合の選び方は?
地方の場合、近隣にバーチャルオフィスがないことも十分に考えられます。そのような場合でも、事業用の住所として東京など都市部にあるバーチャルオフィスを借りることは可能です。Webデザイナーやライター、システムエンジニアなどIT・Web関連の仕事をするなら、渋谷など自分の事業とマッチする住所を選びましょう。
また自宅から遠い場合、郵便物をなかなか取りに行けない可能性が高くなります。郵便物の転送サービスなどの、フォロー体制が整っているバーチャルオフィスを選ぶことも重要です。
なお、バーチャルオフィスで固定電話番号を使いたい場合は、注意しなくてはいけません。バーチャルオフィスで貸与される固定電話番号を使うには、自宅(自宅上の事務所)とバーチャルオフィスがある場所の住所が一致している必要があります。
つまり、東京03から始まる電話番号を使いたいなら、自宅も東京03の区域内にないといけません。自宅は地方、バーチャルオフィスは東京という場合、利用できる固定電話番号は050など、居住地を問わない番号を使うことになります。
住所はバーチャルオフィス選択の一要素
バーチャルオフィス選びに、住所はとても大きな要素です。しっかりとした判断基準をもって、自分のビジネスに合った住所を提供してくれるバーチャルオフィスを選ぶようにしましょう。
また、住所はいろいろある要素のなかのひとつであることもまた事実です。住所が良くても価格が高くては利用できません。「郵便サービスが自分のニーズに合っているか?」という点も重要です。住所と他のサービスとのバランスをよく見る必要があります。
バーチャルオフィスの選び方
バーチャルオフィスを選ぶ際は、使用できる住所も含め、さまざまな要素を加味して選びましょう。特にチェックして欲しいのが以下の10点です。
- サービス内容が満足できるか
- 起業に関するサポートサービスは豊富か
- 解約条件はどうなっているか
- 利用規約がしっかりしているか
- 問い合わせに対してレスポンスが早いか
- 他社とは違うサービスの提供や強みはあるか
- 通いやすい場所にあるか
- 実際に立地場所を確認できるか
- 設備やセキュリティはどうか
- 建物・ビルは汚くないか
そのほかにも、選ぶ際に意識すべきポイントは数多くありますので、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
バーチャルオフィスの住所は、こだわりがなければどこでも構いません。しかし、事業用の住所として借りる以上、現実的には「ビジネスにふさわしいか」を考えて選ぶべきでしょう。営む事業によってもどのような住所がふさわしいかは異なりますが、一例としてIT・Web系の仕事をするなら東京・渋谷は人気の住所に挙げられます。
また、バーチャルオフィスで借りられる住所自体に問題がないか調べることも重要です。あまり調べずに借りてしまうと、過去に犯罪に使われたことがある(もしくはその噂がある)住所を使うことになりかねません。事業の信用にも大きく影響するので、注意しましょう。
留意すべき点はありますが、あくまで住所はバーチャルオフィス選びの一要素です。サービス内容に満足がいくか、使い勝手に問題がないかなど、検討すべき要素は数多くあります。しっかりとリサーチして、自分にとって納得できる住所を選びましょう。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
東商 社長ネット 株式会社バーチャルオフィス1 牧野 傑
キャリアコンサルタントドットネット 牧野傑(まきのすぐる)
Yahoo!知恵袋(株)バーチャルオフィス1牧野傑
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