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バーチャルオフィスとはなんですか?
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今回ご紹介するバーチャルオフィスとは、事業に使うことを目的として住所を貸し出すサービスのこと指します。一般的な賃貸オフィスとは異なり、物理的なスペースは貸し出しません。
バーチャルオフィスとは、事業に使うことを目的として住所を貸し出すサービスのことです。一般的な賃貸オフィスとは異なり、物理的なスペースは貸し出しません。一等地の住所を使う場合でも比較的料金が安く、個人事業主、法人代表者としてこれからビジネスを始めようとする方でも利用しやすくなっています。
この記事では、バーチャルオフィスの利用を検討している方、賃貸オフィスを使いたいけど費用面でためらっている方のために、バーチャルオフィスとはどのようなサービスなのかをわかりやすく解説します。
目次
バーチャルオフィスとは
バーチャルオフィスとは、事業向けの住所貸しサービスのことです。一般的な賃貸オフィスのように物理的な空間を借りるわけではなく、あくまで「住所のみ」を借ります。
なお、借りた住所を用いて法人登記をしたり、事業用銀行口座を開設したりすることが可能です。また、物理的な空間を借りないため初期費用が安く、使い始めるまでにも手間がかからないことから、起業したてでコストを抑えたい場合にも適しています。
さらに、バーチャルオフィスとして住所を貸すだけでなく、郵便物転送や電話転送など事業に役立つサービスを同時に提供している運営会社も多いのが実情です。そのときの状況に応じて、必要なサービスを選んでいきましょう。
なぜ住所を借りる必要があるのか
バーチャルオフィスは住所を貸すサービスですが、ここで「なぜ、住所を借りる必要があるの?」と思う人もいるかもしれません。この疑問に対しては「自宅を事業用の住所にすると起きること」を考えれば、自ずと答えが見えてきます。以下の3つの観点からさらに深く掘り下げてみましょう。
- 集合住宅だと法人登記ができない可能性がある
- 対外的な信用が得られない
- プライバシーの観点から好ましくない
集合住宅だと法人登記ができない可能性がある
自宅が賃貸マンション・アパートなどの集合住宅の場合、その住所を本店所在地として登記すると、賃貸契約違反や管理規約違反に問われる可能性が出てきます。
管理会社に相談し、合意が得られたなら問題がありませんが、無断で登記に使うのは好ましくありません。特に、契約書に「居室の利用目的は住居に限る」などの文言があった場合、契約違反で退去を求められてもおかしくありません。
また、分譲マンションに住んでいる場合でも、他の住民への配慮という意味から、管理規約で法人登記の際の住所や事務所として使うことが禁止されている可能性があります。
対外的な信用が得られない
対外的な信用という意味でも、できるだけ自宅の住所は使わないほうが良いのも事実です。明らかに自宅とわかる住所を使っていると「もしかしたら事務所を借りるだけの信用やお金がないのでは?」と穿った見方をする人がいるかもしれません。
新規取引や取引継続の際の判断材料にされることもあるので、自宅以外の住所を事業用の住所として持っておきましょう。
プライバシーの観点から好ましくない
自宅の住所を事業用の住所として使った場合、家族や友人・知人以外にも住所が知られることになります。取引先や顧客に相応のモラルがあるなら何ら問題ありませんが、残念ながらなかにはそうではない人がいるかもしれません。
商品・サービスに不満があったからと自宅に押し掛けてきたり、ストーキングなどの犯罪行為に悪用したりといったトラブルが起きる可能性はあるでしょう。最悪の場合、自分や家族の身に万が一のことが起きてしまうかもしれません。
自分や家族の安全を守るという意味でも、自宅以外の場所を事業用の住所として使うことには一定の意味があります。
バーチャルオフィスの基本サービス
バーチャルオフィスの基本的なサービスは「事業用の住所を貸すこと」ですが、借りた住所で法人登記ができる場合があります。バーチャルオフィスの基本サービスについて、確認してみましょう。
住所貸しサービス
住所貸しサービスはバーチャルオフィスの基本的なサービスともいえるものです。事業において対外的なやりとりに使うための住所が借りられます。
ただし、個人事業主として開業届を出しているなど、事業を営んでいる実態があることが条件です。単に住民票上の住所を変えたいからなどの理由ではバーチャルオフィスを利用できないので注意してください。
バーチャルオフィスで借りられる住所の使用用途について、以下の記事でも詳しく解説しています。
法人登記サービス
法人登記サービスとは、バーチャルオフィスが貸し出す住所を法人設立の際の「本店所在地」にできるサービスを指します。最初から法人を設立して起業する場合や、ゆくゆくは法人設立を視野に入れているなら、法人登記サービスが提供されているかは確認しておきましょう。
ほとんどのバーチャルオフィスでは対応していますが、なかには法人登記ができない、プランをランクアップしないといけないなど、条件が設けられていることがあります。現状、法人設立を考えていないにしても、事業が軌道に乗れば法人のほうが納税額を抑えられる可能性があるので、できれば法人登記を行う前提で選ぶのが賢明です。
バーチャルオフィス1の基本サービス
当社バーチャルオフィス1は「東京都渋谷区道玄坂」「広島県広島市中区大手町」にあるバーチャルオフィスです。企業が多く集まるビジネスの中心地である渋谷区や広島市で法人が設立できるので、圧倒的な信頼を得られます。
また、入会時にはeKYCを導入し、犯罪収益移転防止法に基づいた入会プロセスとなっています。犯罪目的等での不正利用をしっかりと防止し、入会後に安心して利用できる所も大きな魅力です。基本料金のなかには住所利用(法人登記可)のほか、月4回の郵便転送サービスが含まれており、これらのサービスが月額880円という格安価格で利用できます。ビジネス街の一等地の住所をこの価格で利用できることは、バーチャルオフィス1の大きな強みです。
バーチャルオフィスに付随するオプションサービス
バーチャルオフィスの主なサービスは事業用の住所を貸すことですが、運営会社によっては郵便物転送サービスなどをオプションとして提供していることがあります。
ここでは主なオプションサービスについて紹介しますが、運営会社やプランによってもどの程度扱いがあるかは異なるので、検討する際は内容を確認してください。
郵便物転送サービス
バーチャルオフィスの住所を事業用の住所として借りる場合、事業に伴って生じる郵便物は基本的に借りた住所に届きます。そのため、バーチャルオフィスを契約する際は、郵便物転送サービスの有無や内容を必ず確認しましょう。
郵便物転送サービスとは、バーチャルオフィスに届いた郵便物を契約者の自宅など指定された住所に転送してくれるサービスです。郵便物転送サービスを利用したい場合は、以下の点について確認しましょう。
- そもそも郵便物の受取・転送をしてくれるか
- 到着した郵便物は確認できるか
- 郵便物の転送頻度はどのくらいか
- オフィス窓口での郵便物受取は可能か
- 簡易書留の受取は可能か
- 本人限定郵便が届いた場合はどうなるのか
- DMは破棄してもらえるのか
- サービスの利用にあたってどれだけ手数料がかかるのか
こちらの記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
バーチャルオフィス1の郵便転送
バーチャルオフィス1の郵便サービスの内容は、以下の通りです。
- 転送頻度は月4回(郵送費用が別途発生)
- 11時~16時は来館による郵便引き取りが可能
- 無料でDM(ダイレクトメール)破棄オプションを利用可能
- 有料オプションにて営業時間外の郵便受取が可能
- LINEによる到着状況の案内および不在票の通知
- 簡易書留等への代理サインは無料にて対応
- スポット転送(550円+発送費用)にも対応
電話サービス
バーチャルオフィスのなかには、オプションとして電話転送や電話代行などのサービスを提供していることがあります。それぞれ、どのようなサービスかを解説しましょう。
電話転送
電話転送とは、契約したバーチャルオフィスの電話番号にかかってきた電話を、事前に指定した携帯電話・固定電話の番号に転送するサービスのことを指します。
電話転送サービスを利用すれば、取引先など業務上でのみやり取りがある人に対し、自宅の固定電話や私用の携帯電話の番号を教える必要がありません。プライバシーの観点から見ると非常に優れたサービスといえます。
ただし、東京03番号を使用したい場合には、注意が必要です。総務省は、固定電話番号の使用に関する条件に、「利用者の活動拠点が番号区画内の区域内にあること」を掲げています。たとえばバーチャルオフィス、活動拠点(自宅など)ともに東京03のエリア内であれば問題なく市外局番が「03」から始まる電話番号を使えますが、活動拠点がさいたま市など市外局番が「03」でない地域にある場合は条件を満たせません。
この場合、市外局番が「03」から始まる電話番号を使って電話転送サービスを利用することはできないので、「050」など市外局番を問わない電話番号を使いましょう。
電話秘書代行
バーチャルオフィスの電話秘書代行サービスの場合、基本的には以下の流れで応対を進めます。
- 公開している電話番号に電話がかかってきたらオペレーターが対応してくれる
- オペレーターからの報告を受けて自分で必要な対応を行う
実際は、バーチャルオフィスの運営会社が外部の専門業者と提携し、サービスを提供していることが多くなっています。電話代行についてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
会議室
クライアントとの打ち合わせや、ちょっとした軽作業など、必要に応じて会議室やワークスペースを利用したいときがあるかもしれません。バーチャルオフィスのなかには会議室を有料で借りることができるところもあります。会議室を利用したい場合は予約・利用状況、会議室の種類・部屋の内容などに注目して、どこのバーチャルオフィスにするかを選びましょう。
会議室の予約方法
会議室を利用することを見込んでバーチャルオフィスを選ぶなら、どのような予約方法に対応しているか調べておきましょう。一般的な予約方法として考えられるのは、Webまたは電話での対応です。
Webであれば好きな時間に自分のペースで予約を進められますが、電話だと決められた時間にかけてやり取りをしなくてはいけないのでやや不便かもしれません。できればWebでの予約に対応しているバーチャルオフィスを選びましょう。
会議室の種類・部屋の内容
一口に会議室と言っても、広さや設備によって使い勝手や適した目的は異なります。自分が使いたい用途に合わせた会議室を借りられるかどうかが問題になるので、貸し出してくれる会議室の種類・内容は調べておきましょう。具体的には、以下のポイントに着目して選ぶことをおすすめします。
- 取引先に気を遣わせないようなオープンスペースがあるか
- 個人情報を扱いに困らないような防音性が高い個室があるか
- プロジェクターやモニターが使えるか
- 少人数に対応した会議室があるか
- ある程度の大人数でも利用できる会議室があるか
バーチャルオフィス1の貸会議室
バーチャルオフィス1は貸会議室を設置しております。バーチャルオフィスのご契約者様であれば会員価格でご利用いただけます。利用料金などの詳細は別途お問い合せください。
バーチャルオフィスのその他のサービス
運営会社やプランにもよりますが、郵便物転送・電話転送・貸会議室などの一般的なもの以外のサービスを提供していることがあります。自分の事業を進めるうえでプラスになりそうなら、ぜひ有効活用しましょう。
法人設立のサポート
法人設立をするのは事業にとって大事な局面のひとつですが、法律の知識がないと難しい手続きが多いのも事実です。定款の作成、公証役場での定款認証、法務局での法人登記などが具体例にあたりますが、そろえなくてはいけない書類が多いうえに、ちょっとしたミスであっても大きなトラブルにつながります。トラブルを回避でき、時間も節約できるという意味では、司法書士に最初から依頼したほうが安上がりかもしれません。
バーチャルオフィスによっては提携の司法書士による手続き代行サービスを行っていることがあります。相場より費用が安く済むケースもあるので、必要に応じて相談しましょう。
法人口座の開設サポート
法人口座には原則として、本店所在地の情報が登録されます。そのため、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として使っているのであれば、理論上は何ら問題ありません。しかし、銀行や利用する住所、事業概要によっては断られることもあります。
100%回避できるとは限りませんが、できる限り法人口座の開設実績が豊富な運営会社のバーチャルオフィスを選びましょう。
会計のサポート
事業を営む以上、会計業務は避けて通れません。特に、法人設立後は手間が増えて自分の手には負えなくなる可能性もあります。
自分だけで対応することが難しいと思ったなら、税理士に相談してみましょう。バーチャルオフィスによっては、提携税理士に相場よりも安い価格でサポートを頼めるかもしれません。もともと簿記や経理の知識があり、自分だけで対応できるなら問題ありませんが、あまり得意でないなら検討する価値は大いにあります。
融資・補助金などの助成サポート
バーチャルオフィスと提携する税理士、社会保険労務士、中小企業診断士などが融資や補助金などの申請に対応してくれるケースもあります。必要に応じて検討しましょう。
ホームページ制作のサポート
ホームページ制作ツールは増えてきており、以前に比べて素人であってもある程度のホームページを制作できるようになっています。しかし、ホームページは名刺と同様、場合によってはそれ以上の顔となるので、しっかりしたものを用意するべきです。サポートが受けられるバーチャルオフィスもありますので、必要に応じて検討してみましょう。
メンター制度
起業にあたっては、専門知識を持つ信頼できるパートナーとして、専門家のメンターを持つことが有効な場合もあります。バーチャルオフィスによっては、メンター制度を設けて勉強会や交流会、無料相談会などを開催していることもあるので、必要に応じて利用を検討しましょう。
バーチャルオフィス利用のメリット
バーチャルオフィスを利用することにはさまざまなメリットがあります。ここでは、具体的なメリットとして以下の9点について解説しましょう。
- いち早くオフィスを開設できる
- オフィス開設の初期費用が削減できる
- オフィス賃料が削減できる
- オフィス賃料以外の経費も削減できる
- 都心一等地のビジネス街の住所を利用できる
- 自宅住所を公開せずプライバシーを確保できる
- 社会保険・雇用保険の加入時の住所として使える
- 自宅を引っ越しても業務上の住所が変わらない
- 対外的な信頼を得られる
①いち早くオフィスを開設できる
1つ目のメリットは「いち早くオフィスを開設できる」ことです。申し込みののちに審査が完了し、正式に契約を結べばその日から事業用の住所として利用ができます。かかる期間はバーチャルオフィスによって異なりますが、早ければ2~3日、時間がかかっても1〜2週間程度です。
これに対し、一般的な賃貸オフィスの場合、まず条件に合う物件を探して申し込みをし、審査が完了してから契約となるまで時間がかかります。物件が見つからなければ数ヶ月~1年以上かかる可能性も加味しなくてはなりません。無事に契約できても、内装工事や引っ越しを行うことになるため、実際に使えるようになるまでにはさらに時間がかかります。
「すぐに使えること」を重視するなら、バーチャルオフィスのほうが賃貸オフィスよりはるかに適しているでしょう。
②オフィス開設の初期費用が削減できる
2つ目のメリットは「オフィス開設の初期費用が削減できる」ことです。
一般的な賃貸オフィスを借りたくても、費用が高過ぎて難しいことは往々にしてあり得ます。一般的な賃貸オフィスを借りる際の初期費用として用意しなくてはいけないものは、以下の通りです。
- 敷金(保証金):家賃の1~12ヶ月分程度(半年分であることが多い)
- 礼金:家賃1~2ヶ月分程度
- 仲介手数料:最大月額1ヶ月分
- 前家賃:1ヶ月分
- 火災保険:契約内容により異なる
仮に、初期費用として家賃の10ヶ月分が必要となった場合、家賃が1ヶ月30万円であれば、300万円用意する必要があります。すでにある程度の年数事業を営んでいて資金が潤沢にあるならともかく、事業を始めたばかりだと大きな出費になるはずです。
一方、バーチャルオフィスであれば月額数百円~数千円程度で利用できるので、賃貸オフィスを借りることに比べてはるかにリーズナブルです。バーチャルオフィス1の場合、利用料は月額880円(税込)なので、1年分をまとめてお支払いいただいても10,560円とお手頃になっています。
③オフィス賃料が削減できる
3つ目のメリットは「オフィス賃料が削減できる」ことです。前述したように、賃貸オフィスに比べればバーチャルオフィスの月額利用料は非常に安くなっています。
場所や広さにもよりますが、賃貸オフィスを借りるとなると毎月の家賃が数万円~数十万円になるでしょう。対してバーチャルオフィスの場合、契約プランにもよりますが利用料は月額数百円~数千円程度で済むことが大半です。
毎月のランニングコストを低く抑えられるのも、バーチャルオフィスの大きなメリットとなります。
④オフィス賃料以外の経費も削減できる
4つ目のメリットは「オフィス賃料以外の経費も削減できる」ことです。賃貸オフィスを借りる場合、水道光熱費など賃料以外の諸経費もかかってきます。
しかし、バーチャルオフィスはあくまで住所のみを借りるサービスなので、このような経費について考える必要はありません。
⑤都心一等地のビジネス街の住所を利用できる
5つ目のメリットは「都心一等地のビジネス街の住所を利用できる」ことです。東京でいえば銀座・渋谷、大阪でいえば梅田など都心の一等地にあるビジネス街で、賃貸オフィスを借りるとなるとかなりの金額になり、実際に借りられる人は限られるでしょう。
しかし、バーチャルオフィスであれば都心一等地のビジネス街の住所でも、毎月数百円~数千円で利用可能です。デザインやメイク、ファッションなど、おしゃれなイメージがプラスになる業種の場合も、イメージに合わせた住所をリーズナブルな金額で使えるのは大きなメリットといえます。
⑥自宅住所を公開せずプライバシーを確保できる
6つ目のメリットは「自宅住所を公開せずプライバシーを確保できる」ことです。たとえ事業に必要であっても、むやみやたらに自宅の住所を第三者に教えるのはプライバシーの観点から好ましくありません。
クレームを付けたい取引先や顧客が自宅に押し掛けてきたり、ストーカー行為などの犯罪に悪用されたりするおそれもあります。対外的なやり取りにはバーチャルオフィスの住所を使えば、自宅の住所を教える必要はほぼなくなるため、自分と家族のプライバシーを守れることが大きなメリットです。
⑦社会保険・雇用保険の加入時の住所として使える
7つ目のメリットは「社会保険・雇用保険の加入時の住所として使える」ことです。バーチャルオフィスの住所であっても、社会保険・雇用保険加入時の住所として使うことは可能です。前提として、たとえ本店所在地がバーチャルオフィスであっても事業を営み一定の条件を満たしているなら、社会保険・雇用保険に加入しなくてはいけません。
バーチャルオフィスだから加入できないことは考えにくいですが、注意点はあります。まず、定期的に郵便物が届くことになるため、問題なく受け取れるようにしておかないといけません。「バーチャルオフィスの郵便転送サービスを使うか」、「事前に連絡をし、自宅など確実に受け取れる場所に届けてもらうか」の対応が必要になります。
次に、従業員を雇用し、雇用保険への加入義務が生じた場合の対応です。基本的にテレワークで働くことになる以上「在宅勤務雇用実態証明書」を出す必要があります。細かい扱いについては社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。
⑧自宅を引っ越しても業務上の住所が変わらない
8つ目のメリットは「自宅を引っ越しても業務上の住所が変わらない」ことです。バーチャルオフィスで借りられる住所を業務上の住所にすることで、自宅が引っ越したとしても業務上の住所が変わらないというメリットが得られます。
仮に、自宅の住所をそのまま業務用の住所として使っていた場合、引っ越しをするたびに取引先や顧客に連絡しなくてはいけません。Webサイトやチラシ、名刺に住所を表示・印刷していたなら、その分の変更もしなくてはいけないので、時間やお金がかかります。バーチャルオフィスの住所を事業用に使っていた場合、自宅が引っ越したとしても取引先や顧客への連絡、Webサイトやチラシ、名刺の住所変更の必要がありません。
⑨対外的な信頼を得られる
9つ目のメリットは「対外的な信頼を得られる」ことです。バーチャルオフィスを使うことで、対外的な信用を得られるというメリットがあります。
取引先によっては、自宅の住所を業務用の住所として使うのを快く思わないことがあるでしょう。「事務所を借りられるだけの信用がないのでは?」「家族など仕事に関係ない人に情報がもれないか?」などと警戒される可能性があります。
そこでバーチャルオフィスを利用すれば、業務上の住所と自宅をはっきりと区別することが可能です。取引先の心配とも無縁になります。
バーチャルオフィス利用のデメリット
バーチャルオフィスは便利ではありますが、一定のデメリットもある点に注意しなくてはいけません。具体的なデメリットとして以下の8つについて解説します。
- 特定の業種では許認可が取れずに開業できない
- バーチャルオフィスの認知度が低い
- 自社オフィスに比べて利用が制限されることがある
- バーチャルオフィスによって利用できるサービスに差がある
- 業務スペースを確保しなくてはいけない
- 取引・採用にあたり不利になることがある
- 他社と住所が被る
- 運営会社の事業撤退・倒産がありうる
①特定の業種では許認可が取れずに開業できない
バーチャルオフィスのひとつ目のデメリットとして「特定の業種では許認可が取れずに開業できない」ことが挙げられます。
許認可が必要な事業について、事務所の要件とバーチャルオフィス、シェアオフィス、レンタルオフィス、賃貸オフィスでの申請の可否をまとめたので参考にしてください。
業種 | 概要 | バーチャルオフィス | シェアオフィス | レンタルオフィス | 賃貸オフィス |
古物商 | 管理者が常駐できるオフィスが必須 | 利用不可 | 利用不可 | 個室なら利用可能 | 利用可能 |
職業紹介・人材派遣 | 事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あるほか、その位置、設備等からみて、労働者派遣事業を行うのに適切であることが必須 | 利用不可 | 契約内容にもよるが基本的に利用不可 | パーテーションで区分けした面談スペースを確保できるなら利用可能 | 利用可能 |
建設業 | 「見積、入札、請負契約締結等の建設業に関する営業は、各営業所で行わなければならない」ため、営業所の設置が必須 | 利用不可 | 利用不可 | 条件次第では利用可能 | 利用可能 |
税理士、行政書士などの士業 | 許認可の要件として、実際のオフィススペースが必須 | 利用不可 | 利用不可 | 利用可能 | 利用可能 |
探偵業 | 「探偵業届出証明書を営業所の見やすい場所に提示する必要がある」ため、営業所の設置が必須 | 利用不可(注) | 利用不可(注) | 利用可能 | 利用可能 |
不動産業 | 宅建業法の定めにより、事務所の設置が必須 | 利用不可 | 利用不可 | 利用可能 | 利用可能 |
(注)本社をバーチャルオフィスもしくはシェアオフィスに登記して、営業所として要件に合うオフィスを別途用意すれば開業できるケースもある
②バーチャルオフィスの認知度が低い
2つ目のデメリットとして「バーチャルオフィスの認知度が低い」ことが挙げられます。バーチャルオフィスというサービスがいまいち理解されていないため、クライアントが住所を検索した際に運営元の企業がヒットし、困惑してしまう可能性はゼロではありません。
また「住所貸しサービスなんて使って大丈夫なの?」と、取引先がネガティブなイメージを持っていることがあります。バーチャルオフィスは住所が犯罪に悪用される可能性が否めないことから、犯罪収益移転防止法による厳しい本人確認が義務付けられています。ネガティブなイメージを持つ人に対しては、運営会社に特段問題がなければ安全に利用できるサービスである点を丁寧に説明しましょう。
当社の事例ですが、「バーチャルオフィスを利用することによってオフィスにかけるコストを極力削減し、提供するサービスの価格をできるだけ下げるように努力している」という説明を会社概要で行っている会員様もいらっしゃいます。非常に論理的かつわかりやすいので、このような説明をしっかり行えばネガティブなイメージも払拭できるはずです。
③自社オフィスに比べて利用が制限されることがある
3つ目のデメリットとして「自社オフィスに比べて利用が制限されることがある」点が指摘できます。たとえば、自前で賃貸オフィスを借りていれば、いつでも取引先と打ち合わせしたり、顧客を呼んでワークショップやセミナーを開催できるかもしれません。
しかし、バーチャルオフィスを使う場合は、提携している会議室を含め、他に打ち合わせ場所を確保する必要があります。無事に確保できれば問題ありませんが、タイミング次第では難航するかもしれません。ある程度の不便さは許容する、もしくは代替案を考えたうえで使うことが重要になります。
④バーチャルオフィスによって利用できるサービスに差がある
4つ目のデメリットとして「バーチャルオフィスによって利用できるサービスに差がある」ことが挙げられます。ほとんどのバーチャルオフィスでは住所貸し、郵便物や電話の転送など基本的なサービスを利用できますが、それ以外のサービスの整備状況はまちまちです。
なかには住所貸し、郵便物や電話の転送以外のサービスは一切行っていないバーチャルオフィスもあるので、自分が利用したいサービスに合わせて選びましょう。
また、自分が利用したいサービスを使った場合の月額費用も確認が必要です。事前に見積もりを取り、比較検討したうえで契約するバーチャルオフィスを決めましょう。
⑤業務スペースを確保しなくてはいけない
5つ目のデメリットとして「業務スペースを確保しなくてはいけない」ことが挙げられます。バーチャルオフィスはあくまで事業用の住所を貸すサービスであり、物理的な作業スペースを貸してくれるわけではありません。そのため、他に業務スペースを確保する必要が出てきます。
自宅に自分だけの書斎やアトリエがある、講師・インストラクターなど客先に出向いての仕事が中心であるならさほど問題はありません。しかし、これらにあてはまらない場合は業務スペースを確保する必要があります。状況次第ではシェアオフィスやコワーキングスペースなど業務スペースを利用できるサービスを検討しましょう。
⑥取引・採用にあたり不利になることがある
6つ目のデメリットとして「取引・採用にあたって不利になることがある」ことが挙げられます。
取引先を選ぶ基準として「物理的なオフィスが存在しているか」を掲げる企業は一定数います。しかし「実は会社を立ち上げたばかりで、自分しかいないので経費削減のためにバーチャルオフィスを使っています」と正直に伝えるのは、決してネガティブなことではありません。
また、採用に関しても「ちゃんとしたオフィスがあること」を重視する志願者に対しては、バーチャルオフィスを使っていることがネガティブに映る可能性はあります。しかし、発想を転換し「フルリモート可能!日本全国どこからでもご応募ください」といったように、志願者に対して魅力的に映る条件として打ち出して採用活動を行えば、そこまでデメリットにならないでしょう。
⑦他社と住所が被る
7つ目のデメリットとして「他社と住所が被る」ことが挙げられます。同じ住所を複数の会社で使っている以上あり得ない話ではありませんが、取引先や顧客から指摘されたら、正直にその旨を伝えれば問題ないでしょう。
⑧運営会社の事業撤退・倒産がありうる
8つ目のデメリットとして「運営会社の事業撤退・倒産がありうる」ことが挙げられます。バーチャルオフィスの運営会社の事業撤退・倒産が起きれば、借りた住所が使えなくなるおそれがあります。他社が事業承継するなどの対応があればそのまま使えるかもしれませんが、そうでない場合は代わりのバーチャルオフィスを探すか、シェアオフィスや賃貸オフィスなど別の形態のオフィスを探す必要があるでしょう。
事業終了までのスケジュールが明示されていて、探すための時間的な猶予があればまだ良いですが、なかには運営会社といきなり連絡が取れなくなる悪質なケースもあります。このような事態を100%防ぐ方法はありませんが、運営会社に悪い口コミ・評判がついていないかチェックすることで、ある程度自衛することが可能です。
バーチャルオフィスをおすすめしたい方
バーチャルオフィスのサービス内容やメリット・デメリットを踏まえ、どのような方がバーチャルオフィスの利用に向いているのかを解説します。
都心などのビジネスに最適な住所を格安で利用したい方
都心などのビジネスに最適な住所を格安で利用したい方に、バーチャルオフィスはおすすめです。ビジネスに最適な住所は、物件の賃料が高い、いわゆる一等地であることが多く、起業したばかりで賃貸オフィスを借りるのは現実的ではありません。物件の条件にもよりますが、初期費用だけで100万円以上かかることがあります。
しかし、バーチャルオフィスであれば年間数千円~数万円程度で一等地の住所を利用可能です。メイクやファッション、デザインなどおしゃれなイメージがプラスになる事業を営む場合でも、青山や銀座などイメージの良い住所を使うことができ、事業にもプラスになるでしょう。
オフィスに作業スペースを求めていない方
自宅など他に作業スペースがある、客先に出向いて仕事をすることが多いなどの理由で、作業スペースは必要ないという方にもバーチャルオフィスは向いています。物理的な空間を借りなくて良い以上、バーチャルオフィスでも特段問題はないうえに、費用を抑えられるためです。
それでも、取引先との打ち合わせやセミナーを開催するなどの理由で物理的なスペースを使いたいことがあるかもしれません。そのような場合は時間貸しの会議室や作業スペースが併設されているバーチャルオフィスを選びましょう。
自宅住所をビジネスで利用できない方
賃貸マンションやアパートなどの場合、自宅住所で法人登記ができないケースがあります。そのため、自宅住所をビジネスで利用できない方にもバーチャルオフィスは向いているでしょう。
自宅住所をビジネスで利用したくない方
プライバシーの観点から自宅住所をビジネスで利用したくない方にも、バーチャルオフィスをおすすめします。バーチャルオフィスを利用することで、ビジネスとプライバシーを明確に区別することが可能です。
テレワーク・リモートワークを導入した中小企業の方
新型コロナウイルスの感染拡大を機にテレワーク・リモートワークを導入した中小企業の方にもバーチャルオフィスはおすすめです。特に貸会議室などが併設されているオフィスであれば、月に数回程度の会議の際に会議室を利用し、それ以外はテレワーク・リモートワークで業務に取り組めるので、オフィスコストを大幅に削減できます。
東京に支店や営業所を設けたい企業の方
事業拡大に伴い、東京に支店や営業所を設けたい企業の方にもバーチャルオフィスはおすすめです。特に人員を多く配置しないのであれば、作業スペースなどを有するオフィスは必要ありません。オフィスコストを大幅に削減し、都心一等地のビジネス街の住所を利用できることは大きなメリットになるでしょう。
バーチャルオフィスに向いている業種・向いていない業種
バーチャルオフィスは便利なサービスですが、どんな業種にでも向いているわけではありません。ここでは、向いている業種とそうでない業種について詳しく解説します。
向いている業種
バーチャルオフィスの利用に向いている業種の具体例を紹介します。
- IT・Web関連(Webライター/Webデザイナー/Webエンジニアなど)
- 服飾・雑貨などハンドメイド品の販売
- 講師・インストラクター
- コンサルタント
- 中小企業診断士
Webライター・デザイナー、エンジニアなどIT・Web関連の仕事であれば、自宅でパソコンを使って業務を進められます。法人登記や事業で対外的なやり取りをするための住所を借りる意味で、バーチャルオフィスの利用が向いているでしょう。
また、服飾・雑貨などハンドメイド品を販売するハンドメイド作家の場合も、バーチャルオフィスの利用を検討する価値があります。自宅に作業スペースやアトリエをしつらえて制作しているなら、バーチャルオフィスの住所を対外的なやり取りに使うことで、自分や家族のプライバシーを守れます。
講師・インストラクターも、バーチャルオフィスの利用に向いている業種のひとつです。講師・インストラクターは、基本的に取引先の会議室など指定された場所に出向いて仕事をすることが多くなります。講義の準備をする必要はありますが、よほど特殊なことを教えるのではない限りは自宅で準備できるケースが多く、別途賃貸オフィスを借りる必要はないことがほとんどです。それでも、対外的なやり取りのための住所を確保するという意味で、バーチャルオフィスの利用は向いています。
向いていない業種
反対に、バーチャルオフィスの利用に向いていない業種の具体例は以下の通りです。
- 有料職業紹介事業・人材派遣業
- 一部の士業
- 建設業
- 不動産業
- 廃棄物処理業
- 探偵業
- 金融商品取引業・貸金業
- 古物商
- 風俗営業
有料職業紹介事業・人材派遣業とは、わかりやすくいうと転職エージェントや派遣会社のことです。これらの事業を営むにあたっては、厚生労働大臣の許可が必要になり、その際の許可要件のなかに物理的な事業スペースのある事務所を設置することが設けられています。バーチャルオフィスでは開業できないので注意しましょう。
また、士業のなかでも税理士や行政書士、司法書士、弁護士で開業する場合、「個人情報を守れるだけの設備を有している」など、事務所設置に関する細かい要件が設けられています。そのため、バーチャルオフィスだけでは開業できません。バーチャルオフィスを利用して開業するなら、バーチャルオフィス以外に要件を満たせるような事務所を別途用意する必要があります。ただし、会計士や社労士、弁理士などの士業はバーチャルオフィスでの開業が可能です。
そのほか、不動産業(宅建業)についても、宅建業法の定めに基づいた事務所を設置することが求められるので、バーチャルオフィスの利用は向いていません。投資助言・代理業や消費者金融など、金融商品取引業・貸金業を営む場合は、法律で営業所や固定電話を設置することが義務付けられており、バーチャルオフィスでの開業は難しいでしょう。
以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
まとめ
バーチャルオフィスは住所貸しのサービスではあるものの、一等地の住所を格安で使える、法人登記の際に本店所在地として使えるなど、たくさんのメリットがあります。
一方で、許認可が必要な事業には使えない、知名度の低さゆえ取引先からネガティブな印象を持たれるなど一定のデメリットがあるのも事実です。いずれにしてもバーチャルオフィスを選ぶ際は、自分に合ったサービスを提供してくれるか、運営会社に問題がないかをさまざまな角度から確認して契約しましょう。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
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