一人起業は完全に自己の裁量で業務を進められる反面、リソースに限りがあることから事業規模が小さく収まってしまうケースも少なくありません。しかし、適切なポイントを抑えつつ、過去の成功例から明確なビジョンを掴めば、一人だけでも十分に事業を拡大させることが可能です。
そこで本記事では、一人起業のメリット・デメリットや成功させるコツなどを解説します。安全かつ効率的に事業規模をスケールさせたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
一人起業とは
一人起業とは、従業員などを抱えずに自分だけで事業を興すことを指しており、以下すべての事業形態が含まれています。
- フリーランス
- 個人事業主
- 自営業
- 法人(代表1人しかいないマイクロ法人)
すなわち、現在フリーランスとして活動している方も、広い意味では一人起業を行っている状態なのですが、事業をスケールさせるにはさらに詳細を突き詰めて既存の活動を深堀りするか、横展開しなければなりません。
もちろん、法人などのその他事業形態においても同様となるため、まずは一人起業の概念を把握し、本記事で解説する内容を把握していってください。
一人起業で成功しやすいビジネスモデル例
一人起業するのなら、事前リサーチやスモールスタートを心がけるだけでなく、成功しやすい事業を選ぶことも重要です。
本記事では、特におすすめのモデルを4種類ピックアップしているため、特徴を把握した上で自分にマッチしたものを見つけましょう。
①コンサルタント
コンサルタント業は、クライアントが抱える悩みや疑問をアイデア1つで解決に導く仕事であり、以下の理由から最も成功しやすいモデルの1つといえるでしょう。
- 店舗を持たずにパソコンだけで開業可能
- オンラインベースで自宅にいながら仕事できる
- コンサルタント業自体の需要がある
- スモールスタートしやすい反面、報酬単価が高い
ジャンルとしては、弁護士、税理士などの士業がメジャーですが、マーケティングや経営コンサルタントなども十分な需要があります。
そして、スモールスタートできる一方、全体的な報酬単価は高額となるため、もし特定の領域で十分なノウハウを持っているのなら、ぜひチャレンジしてみてください。
②ネットショップ
ネットショップといえば、Webサイトの構築や集客ノウハウ、在庫保管などがネックになるイメージですが、近年は初心者でも簡単に開業できるサービスが提供されており、一人起業でも成功しやすいでしょう。
- 月額定額でAmazonや楽天などの大手ECサイトにショップを持てる
- 在庫保管と配送の代行サービスも利用できる
- 売り物になる製品ジャンルが非常に多い
- BASEなどの無料プラットフォームもある
ショップページも既定のテンプレートを使えばすぐに完成するため、ITスキルに自信のない方でも問題なく始められます。
また、昨今はネットショップの製品ジャンルも大変豊富であることから、手芸用品やお菓子作りなどの趣味も事業化が可能です。
③アフィリエイト
アフィリエイトとは、自社のブログに企業の広告を表示させて、リンクからサービスを購入してもらうと収益が発生する仕組みです。
Web関連では比較的古いビジネスモデルですが、現在も月間数十万円を稼ぐブロガーは存在しており、一人起業においてもおすすめといえるでしょう。
- ライティングができれば誰でも始められる
- パソコン1つでスモールスタートが可能
- 収益化に時間を要する以外に大きなリスクがない
上記の通り、アフィリエイトは最もスモールスタートに適している一方、安定した収益を得るには数か月以上の時間を要し、アクセスが集まらなければそもそも事業として成り立たない可能性があります。
そのため、本収入が得られる分野と並行するのがおすすめであり、じっくりとメディアを育てていくようなスタンスで取り組んでみましょう。
④飲食店経営
飲食店の経営も成功しやすいモデルの1つであり、店舗費用などを抑えつつスモールスタートを心がけることで、より安全に事業を展開することが可能です。
- FC契約を結べば大手の知名度とノウハウが利用できる
- 接客スペースを持たないゴーストレストランなら初期費用を抑えられる
- テイクアウトをメインにすれば1人でも運営できる
- クライアントの自宅へ出張するサービスも需要が高い
参考までに、ゴーストレストランとは料理を作り配達員へ受け渡すだけの形態を指しており、衛生基準さえ満たしていれば家賃が安い極小スペースでも運営できます。
さらに、クライアントの自宅へ出張するスタイルなら、調理器具と体1つで営業が可能となるため、幅広い選択肢が用意されている点も、飲食店経営の魅力といえるでしょう。
一人起業のメリット3つ
一人起業には様々なメリットがありますが、今回はその中でも特に押さえておきたい内容を3つピックアップしました。
- 少額費用でスタート可能
- 迅速な経営判断が可能
- 幅広いタスクを経験できる
事業を拡大する上でも重要なポイントとなるため、ぜひ参考にしてください。
◎1 少額費用でスタート可能
一人起業は最低限のリソースで始められることから、人件費・設備投資といった初期費用を大幅に抑えられるメリットがあります。
さらに、得意領域に参入すれば外部発注を利用せずとも、全工程を自分だけで完結させられるため、多額の資金調達なども必要ないでしょう。
また、スモールスタートなら万が一事業に失敗した時のダメージも軽減が可能であり、最大限安全な状況の中で事業拡大を目指せるのです。
◎2 迅速な経営判断が可能
従業員や役員を多く抱える企業では、新サービスのローンチや既存ルールを変更するだけでも膨大な時間を要してしまいます。
具体的に、現場からの意見を上層部へボトムアップするには、部課長の承認などを経る都合上、数日~数週間かかるケースも多く、そんな社内稟議を通していては新たな市場トレンドに乗り遅れる可能性もあるでしょう。
しかし、一人起業ならすべての経営判断を自分だけで行えるため、日々変わりゆく環境にも即座に対応することが可能です。
◎3 幅広いタスクを経験できる
一人起業は以下のようなタスクを満遍なく経験できるため、会社勤めよりも幅広い知見が身につけられます。
- 顧客に提供するサービスの開発
- 案件獲得・販売に向けた営業活動
- サービス品質向上を目指した分析と実行
- 経理業務や備品発注など
実際のところ、大手企業は所属部署が受け持つ業務しか体験できず、どれだけ実績を積んだベテラン社員でも、「担当工程が変わるとほぼ戦力にならない」というケースも少なくありません。
そのため、一人起業は特定領域におけるプロフェッショナルを目指す上でも大変効果的な方法であり、十分なスキルを培えばアドバイザーやコンサルタント業にも横展開していけるでしょう。
一人起業のデメリット3つ
一人起業のメリットを踏まえた上で、次は3つのデメリットについても確認していきましょう。
- ストレスがかかる
- 自己管理が難しい
- 開業時の資金調達が難しい
より効率的に事業を拡大するためにも、ぜひ参考にしてください。
▲1 ストレスがかかる
一人起業は事業に係るすべてのタスクを自分だけでこなすことから、体力的な面でストレスがかかりやすいデメリットがあります。
また、以下のようなポイントによってメンタルが追い込まれるケースもあるため、事前の対策を徹底しておきましょう。
- 事業の運営に自信が持てず孤独感に苛まれる⇒信頼できるメンターを見つける
- 収入が安定せず不安になる⇒なるべくランニングコストを削減する
- 事業失敗の恐怖心が強まる⇒スモールスタートで失敗した時のダメージを抑える
加えて、経済的な不安要素を解消したいのなら、生活費が賄える本収入を確保しておくのもおすすめです。
▲2 自己管理が難しい
一人起業はすべての工程を自分自身で管理する必要があり、慣れないうちは上手くセルフコントロールできない可能性があります。
たとえば、労働時間を自由に決められるばかりについテレビなどの娯楽に没頭してしまい、気づいた時には納期に遅れていた、という事態もあり得るでしょう。
クライアントからの信用を失えば、案件ごと失注するリスクもあるため、最大限注意しなければなりません。
▲3 開業時の資金調達が難しい
自己資金だけではカバーできない分の開業費用を工面するために、金融機関の融資を検討するケースも少なくありません。
しかし、会社員時代にまったく経験のない分野で一人起業を行う場合は、実績が少ないことから審査が厳しくなり、高い確率で否決されてしまうでしょう。
さらに、書類作成代行サービスを使わなければ、創業計画書などを自分だけで策定しなければならず、忙しさによって通常業務にも支障をきたす可能性があります。
一人起業を成功させるポイント
ここからは、一人起業を成功させる4つのポイントを解説します。安全かつ効率的に事業を拡大する上では、とても大切な要素となるため、ぜひ参考にしてください。
①事前リサーチを実施する
一人起業では、自社が参入する領域の事前リサーチが必要不可欠であり、特に未経験分野にチャレンジするのなら、念入りに行わなければなりません。
- 市場ではどんなサービスが求められているか
- 自社のターゲットに対してどのような価値を提供できるか
- 競合になり得る企業を洗い出して差別化ポイントを見つける
上記はネットで簡単に調べられそうですが、Webサイトの情報は信憑性が低いため、極力リアルな声を掴むようにしましょう。
具体的には、同業者が集まる交流会やセミナーに参加するか、実際に起業家として成功している人物に聞いてみるのもおすすめです。
できる限り多くの材料を集め、自分なりに仮説検証を行ってみてください。
②得意領域で開業する
一人起業する際は、これまで携わったことのない新たな分野にチャレンジしたくなるかもしれませんが、基本的には得意領域で開業した方が良いでしょう。
- 外部発注などを行わずにスモールスタートできる
- 金融機関の審査でプラス評価してもらえる
- 元々持っているコネクションが活用できる
- 他社と差別化しやすい
会社員時代のコネクションがあれば、業界の動向を教えてもらえるだけでなく、直接お金に結び付く出会いを提供してもらえる期待も持てます。
もちろん、事業に必要なスキルが身についていれば、作業効率も格段に向上するため、より多くの収入が得られる点も大きなメリットです。
③小資本で起業する
どれだけ綿密にリサーチを重ねたとしても、確実に事業が成功する保証は存在しないため、まずは小資本に抑えて様子を見るようにしましょう。
投資資金が少なければ、方針転換や一時的な解体も容易となり、万が一失敗しても生活が破綻するほどのダメージは受けません。
また、「上手くいかなくても問題ない」という安心感によって、利益優先ではない柔軟な思考が保てることから、全体的な事業成長においても好影響をもたらします。
④契約や法律情報を確認する(FCの場合)
一人起業は、フランチャイズ制度を利用するのもおすすめですが、中には契約者にとって著しく不利な条項を盛り込んでいるケースもあり、最悪の場合は大きな損失を抱えてしまうでしょう。
- ロイヤリティの割合が高すぎる
- 周辺に同じFCの店舗を立てない旨の条項がない
- 廃棄食品の処理費用負担割合が高い
上記はあくまでも一例となり、実際のフランチャイズ業界ではさらに多くの事例が存在します。
さらに、不用意に契約してしまうと、キャンセルの際に違約金が発生するリスクもあるため、もし不安な場合は、弁護士などに契約書をチェックしてもらってください。
まとめ
本記事では、一人起業のメリット・デメリットや成功させるためのポイント、おすすめのビジネスモデルについても解説してきました。
一人起業は、スモールスタートで失敗時の経済的ダメージを軽減できるだけでなく、スピーディーに経営判断が行えるメリットもあります。一方、自己管理できないと案件を失う可能性があり、チャレンジする分野によっては資金調達も難航してしまうため、本記事で触れたポイントを参考にしながら、事業拡大を目指しましょう。
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この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
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この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
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