フランチャイズ起業とは?失敗しないためのポイントを徹底解説

[投稿日]2024年08月05日 / [最終更新日]2024年10月24日

フランチャイズ起業とは?失敗しないためのポイントを徹底解説

フランチャイズで起業を始める際は、仕組みや流れを理解して、失敗しないよう対策することが大切です。

本記事では、フランチャイズの仕組みや、フランチャイズ起業で失敗しないためのポイントを紹介します。さらに、フランチャイズで起業するメリットとデメリットもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。

フランチャイズの仕組み

フランチャイズの仕組み

フランチャイズとは、フランチャイザー(本部)が持つ商標や販売・経営ノウハウを提供し、フランチャイジー(加盟者)がそれらを使用してビジネスを運営する形態を指します。フランチャイザーとフランチャイジーの関係はフランチャイズ契約によって成り立っており、したがって両者は共同経営ではなく独立した事業者です。

フランチャイジーは、本部が提供する商標やノウハウの対価として、フランチャイザーに加盟金やロイヤリティを支払います。加盟金は商標の使用許諾やノウハウの提供(マニュアルの貸与など)の対価として、フランチャイズ加盟時に支払います。一方ロイヤリティは、継続的な経営指導や支援(スーパ―バイザーによる運営指導)の対価であり、売上や利益に対する一定割合や一律の金額をフランチャイザーに支払う仕組みです。

フランチャイズで起業するメリット

フランチャイズで起業するメリット「ビジネスのノウハウが確立されている」「起業時点でブランド力がある」「安定した仕入先がある」「開業資金を集めやすい」

フランチャイズで起業するメリットは、次のとおりです。それぞれのメリットについて詳しく解説します。

  • ビジネスのノウハウが確立されている
  • 起業時点でブランド力がある
  • 安定した仕入先がある
  • 開業資金を集めやすい

ビジネスのノウハウが確立されている

フランチャイズで起業する大きなメリットのひとつは、すでに確立されたビジネスのノウハウを活用できる点です。フランチャイザーは長年の経験や実績をもとに、成功するための効果的なビジネスモデルや運営方法を構築しています。そのため、通常の起業に比べると、初期の試行錯誤を大幅に減らし、短期間で運営を成功させることが可能です。

特に、未経験の分野で起業を考えている場合、フランチャイザーからの研修やサポートを受けることで、必要なスキルや知識を短期間で習得することができます。さらに、マーケティング戦略が確立されている場合は、起業時の効率的かつ効果的な集客が期待でき、ビジネスの成功確率を高められる点もメリットです。

起業時点でブランド力がある

フランチャイズ起業でのメリットの2つ目は、起業時点でブランド力がある点です。フランチャイズ起業の場合は、すでに知名度と信頼性のあるブランド名を使用できるため、顧客の安心感や信頼を起業時から得られます。

独自でビジネスを立ち上げる場合、ブランドの認知度を高め信頼を築くには、多大な時間と労力が必要です。対してフランチャイズの場合、最初から知名度があることで、宣伝に手間がかかりません。フランチャイザーが一括でチェーン全体の広告宣伝を行う場合もあり、自動的にフランチャイジーも広告効果の恩恵を受けられる点もメリットといえるでしょう。

安定した仕入れ先がある

独自でビジネスを始める場合、自分で信頼できる仕入先を見つけるのに苦労することもありますが、フランチャイズ起業においては、本部から仕入れる、あるいは安定した仕入れ先を紹介してもらえるという点も大きなメリットです。

フランチャイズ起業では、フランチャイザーがすでに信頼関係を築いた仕入れ先と取引契約をしており、安定した供給が保証されています。また、フランチャイザーによる仕入れ価格の交渉や一括仕入れによって、低価格で仕入れができる可能性があります。このように、コストを削減して高品質な商品を供給できる点は大きなメリットです。

開業資金を集めやすい

フランチャイズで起業すれば、独自でビジネスを立ち上げる場合よりも、すでに確立した事業であるため、事業の成功確率を高く評価されることが多く、融資の可能性が高まります。

日本政策金融公庫等の金融機関からの融資を受ける際にも、金融機関への事業内容が説明しやすく、またフランチャイザーに相談すれば、金融機関を紹介してもらえたり、事業内容を説明するための資料作成の支援を受けられたりする可能性もあります。

フランチャイズで起業するデメリット

フランチャイズで起業するデメリット「加盟金やロイヤリティが高額となる恐れがある」「契約で拘束され、ビジネスの自由度が低い」「辞めるタイミングを選べない」「他店舗の風評被害を受ける可能性がある」

フランチャイズ起業で起業するデメリットは、次のとおりです。メリットだけでなくデメリットも確認したうえで、フランチャイズ起業を始めるべきか考えましょう。

  • 加盟金やロイヤリティが高額となる恐れがある
  • 契約で拘束され、ビジネスの自由度が低い
  • 辞めるタイミングを選べない
  • 他店舗の風評被害を受ける可能性がある

加盟金やロイヤリティが高額となる恐れがある

フランチャイズで起業するデメリットのひとつは、加盟金やロイヤリティの負担です。フランチャイザーが提供するノウハウ等の対価として、フランチャイジーはフランチャイズ契約に定められた加盟金やロイヤリティを、フランチャイザーに支払う義務があります。しかし、フランチャイザーの提供するノウハウ等と加盟金・ロイヤリティのバランスが悪く、これらの負担が高いと感じるかもしれません。

フランチャイザーによっては、フランチャイズ加盟を募集するためのマーケティングコストを回収するために、加盟金を高額に設定することもあります。また、フランチャイジーのビジネスの継続性を考慮せずに、一方的に高額なロイヤリティ設定をするフランチャイザーもないとはいえません。

業歴の長いフランチャイザーであれば、フランチャイズ・チェーンの全体最適的視点からフランチャイジーとのWin-Winを目指す事業戦略を立てます。しかし、経験の浅いフランチャイザーはそのような知見に乏しく、フランチャイジーの経営を圧迫することがあります。フランチャイズ契約前に、加盟金やロイヤリティに関する規約を確認し、慎重に判断することが大切です。

契約で拘束され、ビジネスの自由度が低い

フランチャイズ起業では、契約で拘束され自由に事業を展開できない点がデメリットです。運営していく過程で、「地域性に合ったビジネスを展開したい」と考えても、本部が決めた運営方法を守らなくてはいけません。

自分の思い通りにビジネスを展開したくなり、フランチャイザーが決めた運営方法を守らなかった場合は契約違反となり、なんらかのペナルティが課される恐れがあります。場合によっては、フランチャイズ契約を解除され、フランチャイザーより違約金や損害賠償を請求されるケースもあるので、フランチャイズ本部が定めた契約内容を十分に確認しておきましょう。

辞めるタイミングを選べない

フランチャイズ契約は、契約期間が定められており、途中解約ができない(解約による違約金を請求される)という点がデメリットです。フランチャイズ契約期間は個々に異なりますが、2〜5年ほどの契約期間が多く、辞めるタイミングは自分で選べません。赤字経営が続いても契約期間中は廃業できないので、撤退コストが高くリスクは大きいといえるでしょう。

また、同業種での営業をを禁止する「競業避止義務」や、フランチャイザーのノウハウを外部に漏らさないという「守秘義務」も、フランチャイズ契約期間中は当然のこと、フランチャイズ契約の終了(解約、解除、通常の終了に関わらず)後も継続します。ただし競業避止義務に関しては、契約終了後の数年間に限定されることがほとんどです。

なおフランチャイザーは、中小小売商業振興法および独占禁止法の特別法として定められているフランチャイズ・ガイドラインにより、フランチャイズ加盟を希望する者に対し、フランチャイズ契約を締結する前に、フランチャイザーの企業と事業の概要およびフランチャイズ契約の要旨を示した「情報開示書面」を提示することが義務付けられています(一部の業種を除く)。ここまでに述べたデメリットを回避するためにも、フランチャイズ契約前に情報開示書面を精査することが有効です。

裏を返せば、フランチャイズ契約前に、フランチャイズ・ガイドライン等の法規に則って、情報開示書面を提示するフランチャイザーは、比較的健全な経営思想を持っていると考えることもできます。

他店舗の風評被害を受ける可能性がある

自店舗が適切なサービス提供を心掛けていても、フランチャイズの場合は他の加盟店で生じたトラブルから風評被害を受ける恐れがあります。たとえば、他店舗で悪質なサービス提供やバイトテロなどです。悪い評判がついた場合は、同一のブランドで事業を運営している自店舗まで風評被害を受けます。

近年はSNSが普及しており、不適切な発言や対応が瞬く間に拡散されるので、風評被害による損害が大きいといえるでしょう。一度悪いイメージが定着してしまうと、払拭するまでに時間がかかるため、売上が減少して赤字経営に陥るリスクがあります。

フランチャイズで起業する際の流れ

フランチャイズで起業する際の流れ

フランチャイズで起業する際の流れは、次のとおりです。

  1. フランチャイズ加盟店の情報収集をする
  2. 複数のフランチャイズ企業を比較する
  3. フランチャイズ加盟の手続きを行う
  4. 開業準備を行う
  5. フランチャイズ加盟店を開業する

各手順を確認して、フランチャイズで起業する際の参考にしてください。

①フランチャイズ加盟店の情報収集をする

フランチャイズで起業するためには、まずフランチャイズ加盟店の情報収集をする必要があります。希望の業種・職種を選定し、ネット検索や資料請求で、フランチャイズ加盟店を募集している企業の情報を収集しましょう。

希望の業種が選定できている場合は、ネット検索で「フランチャイズ コンビニ」や「フランチャイズ 塾」など直接的なキーワードで検索すると、該当のフランチャイズ加盟店を調べられます。なお開業資金集めは、情報収集の段階で始めておくと安心です。

また、フランチャイズに関する展示会(日経新聞社主催のフランチャイズショーなど)もいくつか開催されています。会場に足を運んで直接フランチャイズ本部の担当者に話を聞いてみるのも有効です。

②複数のフランチャイズ企業を比較する

フランチャイズ加盟店の情報収集が完了したら、希望業種から複数のフランチャイズ起業を比較します。

複数のフランチャイズ企業を比較する際は、資料請求だけでなく、説明会へ参加してみることが大切です。本部の人と話す機会があれば、疑問点や不安点が解消できるよう積極的に質問をしましょう。資料だけではわからない実態や契約内容を確認してから、フランチャイズ加盟する企業を決めてください。

フランチャイズ本部の決定は、以下の6つの視点から評価を行いましょう。

  • 本部経営姿勢:経営理念やビジョンが明確に示されているか?それに共感できるか?
  • 情報公開度:HPに情報が開示されているか?契約前に情報開示書面を提示しているか?
  • 店舗展開可能性:模倣困難性と転写容易性のバランスは取れているか?
  • 加盟店支援度:開業時や売上不振時のサポート体制は十分か?(加盟者からヒアリングする)
  • 店舗収益性:モデル収支でなく実際の店舗の収支は良好か?(情報開示書面記載事項)
  • 加盟店満足度:加盟者は加盟に満足しているか?(加盟店オーナー会なので存在を確認)

③フランチャイズ加盟の手続きを行う

契約したいフランチャイズ企業を選定したら、加盟の手続きを行います。

フランチャイズ加盟は誰でもできるものではなく、本部の加盟審査を通過しなければなりません。具体的には、本人の経歴や健康状態、信用記録を確認し、フランチャイジーとして問題なく事業を運営できるかを審査されます。

加盟審査を通過すれば、店舗系ビジネスの場合は物件探索のフェーズに入ります。このフェーズでの支援度合いは本部のスタンスにより異なるので、事前にどこまで協力してくれるのかを確認しておきましょう。物件決定の前にフランチャイズ契約を行う(契約を急がせる)本部もありますが、契約しても物件が決まらず開業できないというトラブルもあるため、注意が必要です。

また前述したように、フランチャイズ契約の前に情報開示書面を提示してもらい、加盟金やロイヤリティ、契約期間、商品・サービスの販売ルール等の詳細を確認し、不明な点は質問してクリアにしておく必要があります。情報開示書面の説明後にフランチャイズ契約書を提示されますが、通常契約までに2週間程度の期間が設けられるので、その間にフランチャイズ契約書を熟読し(必要であれば弁護士やコンサルタントに相談するのもOK)、契約内容に疑義のない状態で締結に臨むようにしましょう。

④開業準備を行う

フランチャイズ契約を締結した次は、開業の準備です。通常は、加盟金の対価に開業準備支援が含まれるため、本部の指示に従って開業準備を行います。開業準備の例は以下の通りです。

  • 人員集め
  • 研修の受講
  • 店舗作り
  • 商品の仕入れや発注
  • ポスティングや宣伝用HPの制作 など

アルバイトなどの従業員が必要な場合は、人員募集をかける必要があります。フランチャイザーが実施する開業前の研修を受講して、商品・サービス知識や経営理念、機材や設備の扱い方を学びましょう。

店舗型ビジネスの場合は、内装・外装工事を行って、商品の発注・陳列を行ってください。開業してからの顧客獲得に向けて、集客活動も行っておくことが大切です。

⑤フランチャイズ加盟店を開業する

開業準備が完了したら、いよいよフランチャイズ加盟店の開業です。

フランチャイズ加盟店は、宣伝によって存在が周知されると、開業当初から顧客が来店するケースも珍しくありません。経営を黒字化できるよう、フランチャイザーと連携しながら運営しましょう。

フランチャイズ起業で失敗しないためのポイント

フランチャイズ起業で失敗しないためのポイント「フランチャイザーの実績を確認する」「フランチャイザーの責任とフランチャイジーの責任を確認する」「本部の方針に従う」「将来性のあるフランチャイザーを見抜く」「顧客ニーズの続く業種を選ぶ」

フランチャイズ起業で失敗しないためのポイントは、次のとおりです。

  • フランチャイザーの実績を確認する
  • フランチャイザーの責任とフランチャイジーの責任を確認する
  • 本部の方針に従う
  • 将来性のあるフランチャイザーを見抜く
  • 顧客ニーズの続く業種を選ぶ

フランチャイズで起業しても、必ずしも成功する保障はありません。フランチャイズ起業を検討している方は、各ポイントを確認しておきましょう。

フランチャイザーの実績を確認する

フランチャイズ起業で失敗しないためには、フランチャイザーの実績を確認してから、契約するべきか検討することが大切です。「直営店は成功しているのか?」「他のフランチャイズ加盟店の成功率は?」など、実際の数値を調べます。

フランチャイザーのセールストークに惑わされず(悪質な場合は欺瞞的勧誘としてフランチャイザーの非を認めた判例もあります。)、しっかりと自身で調査し、「黒字化できる」と判断したフランチャイズ起業を選びましょう。

フランチャイザーの責任とフランチャイジーの責任を確認する

フランチャイズで起業する際は、フランチャイザーの責任とフランチャイジーの責任を確認することが大切です。「フランチャイザーが何をやってくれるのか」「フランチャイジーがやるべきことは何なのか」を明確にしておかないと、トラブルに発展する可能性があります。

事前に双方の責任の所在を明確化することで、トラブルを未然に防ぎ、フランチャイザーとの良好な関係性を構築できます。

フランチャイザーの方針に従う

フランチャイズ起業では、フランチャイザーの方針に従うようにしましょう。フランチャイジーは、フランチャイザーが定めた方針に従って、ブランドイメージと売上を向上させる必要があります。自己流のやり方で運営してしまうと、ブランドイメージを下げてしまうかもしれません。反対に、自分自身のやり方でビジネスをしたい方は、フランチャイズに向いていないといえます。

またフランチャイザーと密接に連携し、情報共有を徹底することで、迅速なサポートや要望を受け入れてもらえる可能性が高まります。日頃からフランチャイザーと関係性構築を大切にするようにしましょう。

将来性のあるフランチャイザーを見抜く

フランチャイズ企業を選ぶ際に、開業前の情報収集を徹底することで、有名ではなくても優良なフランチャイザーを見つけられるかもしれません。

有名でネームバリューが高い企業は、その分加盟金やロイヤリティが高い傾向にあります。複数のフランチャイズ企業を比較して、将来性のあるアーリーステージのフランチャイザーを見つけ、ともに協力してブランド価値を高めチェーンを大きくしていくのも、フランチャイズの醍醐味です。

顧客ニーズの続く業種を選ぶ

フランチャイズで起業する際は、顧客ニーズが長く続く業種を選ぶことが大切です。

フランチャイズは一時的な流行を早くキャッチするために、出店速度を加速させる目的で用いられることがあります。たとえば近年の例だと、タピオカ店・高級パン屋などです。このような顧客ニーズが短期間しか続かない業種では、流行が終わった後に業績不振になり、フランチャイザーとフランチャイジー間でトラブルになるケースがあります。

すぐに終わるような流行には乗らず、息の長いニーズがある業種を選ぶことが重要です。

業種別のフランチャイズ起業のポイント

業種別のフランチャイズ起業のポイント

フランチャイズで起業する際には、「どの業種のフランチャイズ企業と契約するべきか」業種選びを慎重に行う必要があります。以下に、フランチャイズ起業で多く見る5つの業種を例に挙げて解説します。

  • 飲食サービス
  • コンビニエンスストア
  • 学習塾
  • ハウスクリーニング
  • リサイクルショップ

飲食サービス

飲食サービスのフランチャイズは、販売チャネルの違いから2種類に分けることができます。

  • 店舗型の外食系サービス
  • テイクアウトや宅配型の中食系サービス

飲食サービスは、競合の数が多く、入れ替わりの激しい業種です。顧客からの評価や口コミ、商品の品質や質が高くなければ、飲食サービスを展開しても失敗に終わってしまうでしょう。

しかしフランチャイズ起業であれば、すでに成功しているビジネスモデルと同じ商品・ブランドイメージで勝負できることで、激戦の飲食業界でも生き残れる可能性があります。

またテイクアウトや宅配専門の中食系サービスは、少子高齢化が進む現在において需要の高いビジネスです。飲食サービスをフランチャイズ加盟店で経営すれば、ブランド力と経営ノウハウ、すでに成功している高品質な商品・サービスを扱えます。個人で開業するより、成功しやすい傾向にあるといえるでしょう。

コンビニエンスストア

コンビニエンスストアは、フランチャイズ起業において未経験でも開業しやすい業種です。コンビニエンスストアは、個人経営よりブランド力がある大手のコンビニエンスストアのほうが、集客力が高く、売上を増加させられます。

現状のコンビニエンスストアのフランチャイズ契約はターンキー型(ブランドによってはC型とも)といわれるもので、店舗の賃貸借契約や設備投資はすべて本部が行い、加盟者は加盟金を支払い研修を受けて店舗の経営(運営)にあたる、といった業務委託に近いフランチャイズ形態です。

個人経営の小売業だと人手不足の影響を受けて人材確保が難航しがちですが、大手コンビニエンスストアの場合はブランド力によって労働力確保の可能性が高まります。また最近では、外国人労働者の確保やトレーニングに関して本部の支援があるなど、労働力不足への本部支援が期待できます。

学習塾

学習塾は、DXにより新しい教育手法の開発が盛んになっており、またM&Aにより中小個人塾が統合されるなどの潮流があるので、知名度のあるフランチャイズでの起業の方向性も検討したほうが良いでしょう。

フランチャイズで学習塾を運営すると、本部の開発するノウハウとブランド力によって、顧客を獲得しやすいという特徴があります。また顧客となる学生だけでなく、従業員である講師を採用するにも、個人経営より知名度のある学習塾のほうが獲得しやすくなります。

ハウスクリーニング

ハウスクリーニングのフランチャイズに加盟する場合は、クリーニングに必要な器具や備品を本社から購入し、クリーニングのスキルについての研修を受講した後に、事業が開始されます。少子高齢化に伴い、家事が困難な高齢者世帯が増えつつあるので、今後もハウスクリーニング事業の需要は高まることが予想されます。

ただし、顧客獲得のマーケティングは加盟者自身が行わなければならない(本部はマーケティング手法については指導を行う)ケースが多く、「営業力がないから業容が広がらない」といった声も聞くことがあるため、注意が必要です。

リサイクルショップ

リサイクルショップは、個人経営よりフランチャイズ起業のほうが、リスクを抑えた経営を実現できます。大手のフランチャイズ加盟店として起業することで、不要な商品を他店舗に送ったり必要な商品を送ってもらったりできるためです(フランチャイザーがプラットフォームとして機能する)。

対して個人経営では、売れなければ在庫を多く抱えることになり、損失が増えてしまいます。またリサイクルショップの特性上、買取価格や販売価格のほかに、競合と差別化できる要素があまりありません。

まとめ

フランチャイズによる起業は、フランチャイザーに加盟金やロイヤリティを支払うことで、ブランドやノウハウを提供してもらう仕組みです。つまり「経営ノウハウがない未経験者が、いわばお金を払って成功ノウハウを購入し成功確率を上げる仕組み」と捉えることができます。しかし、チェーンの統一性と同一性を保持するために、フランチャイジーはさまざまな制約があるので、自分のやりたいことがフランチャイズでかなえられるのかどうか、慎重に検討しましょう。

また、フランチャイズとはいえ自分は独立した経営主体であり、「事業である以上確実に儲かることが保証されているわけではない」ということを理解して、リスクを取る必要があります。

フランチャイズは結婚にたとえられることもあるくらい、人生において数少ない出会いであり、重大な意思決定となるものです。そのため、契約する前に複数のフランチャイズ企業を比較しておくことや、疑問があれば徹底的に解消するよう行動することが重要です。本記事で紹介したフランチャイズに関する基本的な考え方と失敗しないためのポイントを参考に、フランチャイズ起業を成功に導かれることを祈念しています。

 

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

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この記事の監修者

株式会社日本フランチャイズ研究機構 山岡 雄己

株式会社日本フランチャイズ研究機構(JFRI)代表取締役/CEO
株式会社プロップビジネスコンサルティング 代表取締役

1965年、松山市生まれ
京都大学文学部卒、同経営管理大学院修了(MBA)
サントリー宣伝部・文化事業部を経て、2002年に経営コンサルタントとして独立。専門は、チェーン・マネジメント、サービス・マーケティング、人事制度設計、新規事業開発。フランチャイズ・チェーンや地域メガジー企業を中心に、戦略策定支援を行う。またコーチ(ラグビー)の経験を活かし、組織開発や能力開発で実践的指導を行う。

■資格・公職等
経済産業大臣登録 中小企業診断士(登録番号 406531)
一社)東京都中小企業診断士協会 フランチャイズ研究会 会長
公財)かわさき市民活動センター かわさき市民公益活動助成金 審査委員長
日本マーケティング学会 フランチャイズシステム研究会 運営委員
法政大学経営大学院 イノベーション・マネジメント研究科 兼任講師

株式会社日本フランチャイズ研究機構(JFRI)
株式会社プロップビジネスコンサルティング
フランチャイズ研究会
川崎市民活動センター
日本マーケティング学会
法政大学経営大学院

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