従来の「起業」といえば、法人登記や店舗の準備に多額の資金が必要となることから、決して手軽な選択肢とはいえませんでした。しかし、現在はパソコン1つあれば自宅でも開業が可能であり、過去に培ったスキルだけでなく、ちょっとした趣味でもお金を稼ぐことが可能です。
そこで本記事では、自宅開業のメリット・デメリットやおすすめの職種、具体的な手順についても解説します。ちょっとした隙間時間を最大限有効活用したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
自宅開業におすすめの5つの職種
ここではまず、自宅開業におすすめの職種を5つ確認していきましょう。
- 自宅教室
- 美容サロン
- 専門資格業
- インターネットビジネス
- 自宅ショップ
自身にマッチするものを把握し、より効率的に事業を始めてみてください。
①自宅教室
自宅教室とは、特定のスキルや知識を自宅で教える職種であり、以下のようにさまざまなジャンルにチャレンジできます。
- 音楽教室(ピアノ・リトミックなど)
- アート教室(絵画・イラストなど)
- パソコン教室(簡単なExcel操作からプログラミングまで)
- 語学教室(英語・中国語など)
昨今はヨガ教室なども人気が高く、自身の裁量でレッスンスケジュールを組めることから、自宅開業にはとくにおすすめといえるでしょう。もちろん、専業主婦だけでなく、休日にお金を稼ぎたい会社員にも適した業種です。
②美容サロン
美容サロンは、きらびやかな専用店舗が必要なイメージですが、実際のところは施術に用いるベッドや専用機材さえあれば、自宅でも問題なく開業できます。
- ネイルサロン
- アロママッサージ
- エステサロン
- ヘアサロン
上記の通り、サロンと一口に言ってもさまざまな種類があり、もともと美意識が強い方ならこれまでの知識と経験を存分に活かせるでしょう。
一方、自宅開業が可能な職種のなかでも人気が高い分、市場の競争率も激しい点には注意が必要です。ただ開業するだけでは顧客を勝ち取れないため、通信講座などで美容関連の民間資格を取得し、他社との差別化を図りましょう。
③専門資格業
取得難度は全体的に高い印象ですが、専門資格を持っていればパソコンと体1つでどこでも開業できます。
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 不動産鑑定士
- 中小企業診断士
上記はいずれも「ただ保有しているだけで」一定以上の信頼を勝ち取れるだけでなく、実際に事業が上手くいけば、年間1,000万円以上を稼ぐことも不可能ではありません。
しかしながら、士業関連の国家資格を取得するには、数年単位の勉強期間に加えて、実務経験が必要となるケースも多いため、事前に要件をきちんと確認しておきましょう。
参考までに、比較的取得難易度が低い「宅地建物取引士」は、不動産会社と業務委託契約を結べば実質ゼロ円で宅建士としてフリーランス営業が可能です。そのほか自宅開業に便利な仕組みが設けられているので、ぜひ自身でチェックしてみてください。
④インターネットビジネス
できる限りコストをかけずに自宅開業したいのなら、インターネットビジネスを検討しましょう。パソコンとネット環境があればいつでも始められるだけでなく、全体の案件が豊富なためクライアントが付きやすいメリットもあります。
- アフィリエイト
- Webサイト制作
- Webデザイナー
- Webライター
- Webエンジニア
さらに、開業だけなら特殊な資格も必要ないうえに、クラウドソーシングサイトを活用すればまったくの初心者でも案件の獲得が可能です。もし事業に失敗しても、金銭的なダメージはほとんど発生しないので「まずは試しに何かやってみたい」という方は、ぜひチャレンジしてみてください。
NOJI BLOGでは、ブログやWordPress運営、転職やフリーランスの働き方を中心に解説しています。
メディア運営でお悩みの方、また働き方やフリーランスにご興味がある方はチェックしてみてください。
⑤自宅ショップ
自宅ショップとは、メーカーなどから仕入れたアイテム、あるいはハンドメイドグッズを自宅で販売する職種です。テナントを借りる必要がなく大規模な改装工事も発生しないため、最低限の出費で独自のお店が持てるでしょう。
- ハンドメイドのアクセサリーグッズ
- 花や多肉植物
- アパレル関連
- 駄菓子屋など
事実、小さな子供たちの憩いの場として駄菓子屋を始めるケースも多く、「好きなこと」や「趣味」を事業化したいのなら、とくにおすすめの職種といえます。
自宅開業の3つのメリット
ここからは、自宅開業のメリットを3つ確認していきましょう。
- 時間の自由度が高い
- 出社や通勤がない
- 事務所の家賃がかからない
企業に縛られずに自身のスキルをフル活用するためにも、ぜひ参考にしてください。
◎1 時間の自由度が高い
会社員の場合「いつどれだけ働くか」「残業の可否」などはすべて所属企業の判断に委ねられますが、自宅開業すれば完全に自身の裁量だけで勤務時間を決められます。
- 家族が突然体調を崩したので仕事を切り上げたい
- 急な用事ができたから翌日は休みたい
- 業務が立て込んでいるので遅くまで働きたい
上記のようなケースでも、特別な手続きを行わずに自分1人で調整できるため「人間関係を気にせず気軽に働きたい」という方には、最適な選択肢といえるでしょう。
一方、人によっては逆に働き過ぎてしまうリスクもあることから、あらかじめ稼働時間を定めるなどして、セルフコントロールしなければなりません。
◎2 出社や通勤がない
自宅開業は、遠方のオフィスなどに通勤する必要がないため、交通費がかからない上に移動時間も削減できます。
さらに、以下のようなメリットもあることから、会社員に比べてストレスの少ない生活を送れるでしょう。
- 毎朝の満員電車に乗ることがなく、心身ともに負荷がない
- 出社するために早起きする必要がない
- 仕事が終わればすぐに自室で休める
具体的に、片道1時間かけて職場に通っている場合は、たった1ヶ月その生活を続けるだけでも、40時間以上を電車で過ごしていることになります。自宅開業をすれば、そのような通勤時間を削減することが可能です。
◎3 事務所の家賃がかからない
事業を始める際は、事務所やオフィスを借りるために数十万円の初期費用が発生し、毎月の家賃も大きな負担となります。
しかし、自宅開業はもともと支払っている賃料だけで済むメリットがあり、持ち家ならほとんどコストをかけずに事業を始められるでしょう。
- 削減できたコストを他の部分に使える
- 敷金・礼金・保証料を含めた数百万円の費用を削減できる
- 毎月数十万円の家賃を払う必要がない
- テナントを傷つけた際の損害賠償も発生しない※
※自宅が賃貸の場合は費用負担が発生する可能性があります。
加えて、自宅で事業を運営していれば、使用面積に応じた額を経費計上することも可能です。具体的な金額については税理士などに相談するのがおすすめですが、税金を抑えるためにもぜひ活用してみてください。
自宅開業の4つのデメリット
自宅開業を行う上では、メリットだけでなくデメリットも把握しなければなりません。
- 私生活との両立が難しい
- プライバシー対策が必要
- 人を呼びにくい
- 賃貸物件では自宅開業できないかもしれない
本格的に事業を始める前に、しっかり押さえておきましょう。
▲1 私生活との両立が難しい
自宅開業は、自身の裁量で業務を行えることから、一見するとプライベートと両立させやすいイメージがあります。
しかし、自己管理が苦手なばかりに、私生活と仕事の双方が中途半場になり、結果として「会社員の方がバランスが取れていた」という方も少なくありません。
- ついテレビなどの娯楽に熱中してしまい仕事が進まない
- 家事と育児を優先しすぎて案件の提出が遅れた
- 仕事に集中するあまりプライベートが疎かに
また、勤務時間が決まっていないゆえに「1日20時間以上働き続ける」「家族の時間を後回しにして仕事を片づける」といったケースも多いため、自宅開業では以下を徹底すると良いでしょう。
- 働く時間を明確に決めておく
- プライベートを最優先に考える
- 休むと決めた日はメールなどを一切見ない
理想のワークライフバランスを実現できるように、きちんと実施してみてください。
▲2 プライバシー対策が必要
自宅開業は、ホームページなどに住所を公開するケースも多く、当然ながら不特定多数に対してプライベートを知られることになります。
さらに、先ほど触れた美容サロンや教室、ショップは顧客・生徒が直接自宅へ来訪することから、次のポイントに注意した方が良いでしょう。
- きちんと案内しなければ寝室や居間などのプライベートスペースにも入られる
- 私物が盗まれるリスクもある
絶対にプライバシーを守りたいのなら、自宅開業自体を諦めるしかありませんが、顧客などを呼び込まない職種の場合は、住所だけをレンタルする「バーチャルオフィス」も検討してみてください。
▲3 人を呼びにくい
業務上致し方ないとはいえ、顧客や取引先を自宅に招き入れる際は、少なからず家族に気を遣ってしまうでしょう。
無論、家族からしても知人・友人を呼びにくい環境となることから、以下のような工夫は必須といえます。
- 作業・応接スペースとプライベートな空間を分ける
- 来客がある時は互いに教え合う
また、2階建ての一軒家ならフロアごと分ければ解決しますが、居住空間の狭いマンションの場合はパーテーションなどを活用するのがおすすめです。
▲4 賃貸物件では自宅開業できないかもしれない
自宅開業で賃貸物件を利用する場合には、入居条件により開業できない場合も想定されます。
こういった情報は物件オーナー、ひいては不動産側が提示する条件に記載されるため、事前に入居条件を確認する必要があります。登記可、SOHO可ではないのにもかかわらず、無許可で住所を事業所登録すると、契約違反で最悪のケース退去させられることもあり得ます。
また、マンションを利用する場合には、不特定多数の来訪があるビジネスの場合には、マンション管理組合規約でNGとなるケースも存在するため、事前に確認をするようにしましょう。
自宅開業の6つの流れ
ここからは、自宅開業の流れを具体的に解説していきます。
- 事業計画の準備
- 許認可の取得
- 備品の準備
- ホームページの準備
- 開業届の提出
- 銀行口座開設
できる限りスムーズに始めるためにも、ぜひ参考にしてください。
①事業計画の準備
自宅開業を行う上では、以下のような「事業計画」を最初に策定しなければなりません。
- 事業の具体的な内容とコンセプト
- 自身がサービスを提供したいターゲット
- 必要な資金額と調達方法
- 売上・利益の見通し
銀行へ提出する事業計画書ほどのクオリティは必要ありませんが、ボンヤリとした事業にならないよう、最大限具体的に設定してみましょう。
参考までに、この段階で「競合サービスの調査」も実施しておけば、他社と差別化できるポイントを見出して、さらに優位性を高められます。
②許認可の取得
事業計画を策定した後は、自身の事業に必要な許認可を取得していきましょう。
- 飲食関連:飲食業許可を保健所へ申請
- まつエクサロン:美容師資格
- 専門資格関連:該当する国家資格
- 中古品の買取・販売:古物商許可
- マッサージ:あん摩マッサージ指圧師
たとえば、マッサージを開業するなら「あん摩マッサージ指圧師」が要される一方、アロマエステの場合は不要となっており、それぞれに細かい規定が設けられています。
あらかじめ必ず関連法律などをチェックし、不足のないように進めてください。
③備品の準備
自宅開業する際は、業務に必要な備品類も忘れずにそろえておきましょう。
- パソコンやスキャナー、プリンターなど
- 顧客からの問い合わせを受ける専用電話
- 打合せスペースを作るパーテーション
- ボールペンや修正テープ、ホチキスなどの筆記具
- 施術用ベッドなどの専用機具
一方、あまり備品を買い込んでしまうと、自宅開業のメリットであるスモールスタートを損なってしまう可能性があります。
そのため、まずは最低限のアイテムに留めて、事業が軌道に乗り始めたら徐々に増やしていきましょう。
④ホームページの準備
自身の事業を効率的に知ってもらうには、ホームページも準備しなければなりません。しかし、作成方法によってコストが大幅に変わるため、事前にきちんと試算しておきましょう。
- 一般的な制作会社:20~100万円
- 小規模な制作会社やクラウドソーシング:3~10万円(テンプレートデザイン)
- 自身で作成:ドメイン、サーバー代、テンプレート代など
上記を見ると、クラウドソーシングを利用するのが最も安上がりに思えますが、制作者のスキルが十分でない場合は、当然クオリティについても低水準になってしまいます。
正式依頼の前に実績をチェックするなどして、信頼できる企業・人物を選んでみてください。
⑤開業届の提出
個人事業主として事業を始めるのであれば、税務署に対して「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出しなければなりません。
- 具体的な事業の内容
- 職種・屋号
- 開業日
- 同時に提出する届出の有無
確定申告時に「青色申告」を行いたい場合は、この段階で「青色申告承認申請書」も作成する必要があります。また、事業を家族に手伝ってもらう場合には、青色事業専従者給与の届出も必要になるため、覚えておきましょう。
現在はe-taxという電子申請プラットフォームを用いれば、オンライン上で完結しますが、もし書き方がよく分からないのなら、直接税務署に出向いた方が良いでしょう。
届出の期限は「開業から1ヶ月以内」と定められているので、できる限り早めに済ませてください。
⑥銀行口座開設
開業届が受理された後は、事業用の銀行口座も忘れずに開設しておきましょう。実際のところ、プライベート口座と混同しても特段の罰則はありませんが、以下のように運用効率化に役立ちます。
- 事業収入が明確になり確定申告しやすい
- 生活費と経費を分けられる
- 配偶者の給与口座と区別できる
ただし、事業用口座を開設するための必要書類は銀行によって異なるため、事前にホームページを確認するか、直接電話で問い合わせるのがおすすめです。
また、ビジネス用のクレジットカードやデビットカードがあると事業に関する各種支払いがスムーズに進むためおすすめです。
まとめ
本記事では、自宅開業におすすめの職種やメリット・デメリット、具体的な開業の流れについても解説してきました。
従来の起業は、店舗の準備や運用資金の調達といった手間のかかる工程が発生しましたが、インターネット環境が整っている昨今は、誰でも簡単に自宅で事業を始められます。
事務所の家賃を削減できるだけでなく、自身の裁量で勤務時間を決められるため、隙間時間で効率的にお金を稼ぎたい方は、ぜひ本記事を参考に事業計画の策定からチャレンジしてみてください。
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この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
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