起業する際にレンタルオフィスを利用するとよいという考え方は比較的広まっており、認知は広まっていると言えます。しかし、レンタルオフィスとはどういうものなのかということになると、おおよそのイメージは付くものの、厳密に明確に答えられる方は一般にはなかなかいないのではないかなと思います。
この記事ではレンタルオフィスの定義、他のオフィス形態との違い、メリット・デメリットなどを解説していきたいと思います。費用相場や、本当に利用すべきかどうかについても説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
レンタルオフィスとは?定義を解説
レンタルオフィスとは、文字どおりオフィス設備を借りられるサービスです。たとえば、個室の専有スペースやデスク、インターネットなど、事業に必要な設備が一通り提供されています。
なお、一般的な賃貸オフィスと異なり、専有スペースはあくまでも作業用の個室のみです。トイレや会議室などは、ほかの利用者と共用です。
その分、一般的な賃貸オフィスよりも安く、月額数万円程度〜で都市部の駅近物件を借りられます。こうしたメリットから、フリーランスや起業家、副業として事業を行う方からのニーズが高まっています。
まずは、レンタルオフィスの定義をより鮮明にイメージしていただくために、4つの特徴を紹介します。
レンタルオフィスは専有できる個室がある
レンタルオフィスの定義で一番最初に挙げられるのは、専有できる個室が与えられる点です。もちろん、個室の出入り口は専用キーで施錠できるため、ほかの利用者が入室するリスクはほとんどありません。
そのため、PCや書類等はすべて置いておくことができ、施錠してしまえばそのまま帰ることができます。
1名用から数十名用とサイズはさまざま
レンタルオフィスで借りられる個室の広さは、1名用から数十名用のものまでさまざまです。部屋の広さに応じて料金が設定されており、少人数用なら月額数万円程度、10名を超える大人数用は数十万円程度で利用できます。
一般的には、契約を変更することで同施設内の別の部屋へ引っ越せます。そのため、まずは少人数用の部屋を借り、従業員が増えた際により大きな部屋へ変更するといった使い方も可能です。
会議室等のその他の部分は共有になる
個室以外の会議室やトイレなどは、ほかの契約者と共有して使用することになります。共用として提供される主な設備・スペースは、以下のとおりです。
- 会議室
- トイレ
- エントランス
- ラウンジ
- キッチン
- プリンター
- ドリンクサービス
- FAX
- インターネット回線
プリンターやFAXなど、それほど頻繁に利用しないものは、共有で利用することでコストを抑えられます。
法人登記や住所を利用することが可能
ほとんどのレンタルオフィスは、法人登記や銀行口座開設などへの住所利用に対応しています。一般的には、「レンタルオフィス住所+部屋番号」の住所が貸し出され、以下の用途で利用できます。
- 法人の登記住所
- 個人事業主の開業届の住所
- 郵便物の発送元
- 銀行口座開設時の申請住所
- ホームページ・名刺への掲載
- ネットショップの特定商取引法の住所
レンタルオフィスの住所を活用すれば、自宅の住所を公開しなくて済むため、プライバシーを保護できます。
まとめると
上記をまとめると、レンタルオフィスは専用の個室スペースを借りながら、必要に応じて会議室等の共用スペースを利用するオフィス形態です。さまざまな広さの個室が用意されているため、用途にあった部屋を利用できます。
なお、レンタルオフィスでは、事業用の住所も借りられるため、「自宅の住所を公開したくない」という方にもおすすめです。
レンタルオフィスとその他オフィス形態の違い
レンタルオフィスに類似したサービスとして、コワーキングスペース(シェアオフィス)やバーチャルオフィスがあります。これらの定義もしっかり理解しておかなければ、自分のイメージしているサービスにたどり着けないかもしれません。
ここでは、レンタルオフィスとそのほか関連するオフィス形態との違いを紹介します。なお、「コワーキングスペース」と「シェアオフィス」は同義として説明します。
コワーキングスペース・シェアオフィスとの違い
コワーキングスペース・シェアオフィスとは、1つのスペースを複数の会員でシェアするサービスです。共用のデスクやシートが用意されており、フリーアドレスで利用します。
レンタルオフィスとの違いは、専有スペースの有無です。デスクの間仕切りやカーテンによる半個室があるコワーキングスペース・シェアオフィスも存在しますが、スペース自体は共用です。一方、レンタルオフィスは施錠できる専有スペースが提供されるため、スペースの形態が大きく異なります。
なお、利用料金については、レンタルオフィスのほうが高く設定されています。運営者の視点から見ると、専有スペースを提供する分、1店舗で抱えられる会員数が少なくなるためです。
コワーキングスペースやシェアオフィスは、空いているところを自由に使うフリーアドレスの形態です。一定のスペースを複数の会員で利用するため、料金も安く設定されています。また、フリーアドレスの特性を活かし、時間単位でスペースを借りるドロップインや1日利用など、短期間の契約にも対応しています。
レンタルオフィス | コワーキングスペース・シェアオフィス | |
スペース | 自分専用の個室 一部共用スペース | 共有のフリーアドレスのデスク |
契約内容 | 個室の使用料 | 1名ごとの利用料 |
相場 | 月額:数万〜数十万円 | 1時間あたり:数百円 月額:数千〜数万円 |
共益費 | 別途請求されることが多い | 利用料金に含まれていることが多い |
詳しくは、以下の記事で紹介しているので、気になる方はぜひご参考ください。
賃貸オフィスとの違い
賃貸オフィスとは、賃貸契約を結び、物件そのものを借りる形態のことです。借りた物件は借主の専有スペースであり、契約の範囲内であれば自由に利用できます。
ただ、基本的には物件のみを借りるため、デスクやシートなどの備品購入や内装工事を借主が行う必要があります。また、毎月の賃料とは別に、光熱費やビルの管理費などがかかります。
一方のレンタルオフィスは、サービス利用契約を結び、専有の個室をはじめとするオフィス設備を借りる形態です。契約の自由度が低く、デスクやシートなどの設備が初めから用意されている代わりに、内装を変更したり、設備工事をしたりなどが認められていません。
なお、設備や施設の利用に対して料金が発生する仕組みのため、光熱費や管理費は利用料金に含まれています。
レンタルオフィス | 賃貸オフィス | |
スペース | 自分専用の個室 一部共用スペース | 物件そのものが自分の専有スペース |
契約内容 | 個室の使用料 | 物件の賃料 |
相場 | 月額:数万〜数十万円 | 月額:数十万円〜 |
共益費 | 別途請求されることが多い | 別途請求されることが多い |
バーチャルオフィスとの違い
バーチャルオフィスとは、物理的なスペースではなく、事業用の住所を借りられるサービスです。前述のように、レンタルオフィスでも住所を借りられますが、バーチャルオフィスはこの住所貸しのみに特化している点が特徴です。
一部で、会議室を提供するバーチャルオフィスもありますが、これはあくまでも付帯サービスの位置付けです。メインのサービスは、「住所を貸すこと」なので、物理的なスペースを貸し出すレンタルオフィスとはサービス内容が大きく異なります。
レンタルオフィス | バーチャルオフィス | |
スペース | 自分専用の個室 一部共用スペース | なし |
契約内容 | 個室の使用料 | 住所のレンタル料 |
相場 | 月額:数万〜数十万円 | 月額:数千円 |
共益費 | 別途請求されることが多い | なし |
セットアップオフィスとの違い
セットアップオフィスとは、あらかじめ内装デザインやオフィス設備が整備された賃貸オフィスのことです。最低限のオフィス設備は整っているため、入居後即座に事業を開始できます。
一見、レンタルオフィスと同義にも思いますが、セットアップオフィスはあくまでも賃貸オフィスのうちのひとつです。物件全体が自分の専有スペースであり、ほかの人と共有することはありません。
なお、セットアップオフィスは内装デザインや設備が用意されている分、一般的な賃貸オフィスよりも賃料が高く設定されています。
また、すでに整備された内装デザインやオフィス設備を変更できないため、自社のコーポレートカラーを出しづらい傾向があります。
レンタルオフィス | 賃貸オフィス | |
スペース | 自分専用の個室 一部共用スペース | 物件そのものが自分の専有スペース |
契約内容 | 個室の使用料 | 物件の賃料 |
相場 | 月額:数万〜数十万円 | 月額:数十万円〜 ※一般的な賃貸オフィスの約1.5倍 |
共益費 | 別途請求されることが多い | 別途請求されることが多い |
サービスオフィスとの違い
サービスオフィスとは、専有の個室やオフィス設備のほかに、事業支援サービスを利用できる形態です。たとえば、受付スタッフや秘書代行スタッフが常駐しており、必要に応じて業務を依頼できます。
依頼できる事業支援サービスは、サービスオフィスによっても異なりますが、一般的には以下の内容を依頼できます。
- 来客対応
- 電話対応
- 秘書代行
- 資料作成
- 郵便物受け取り
- ルームクリーニング
サービスオフィスはレンタルオフィスと非常に類似したサービスです。ただし厳密に言うと、レンタルオフィスが「スペース貸し」に重きを置いているのに対し、サービスオフィスは「スペース貸し+事業支援サービス」が提供内容です。
事業支援サービスを提供するレンタルオフィスもありますが、サービスオフィスのほうがよりきめ細やかなサービスを期待できます。また、設備のグレードもサービスオフィスのほうが高く、その分高めの料金設定となっています。
レンタルオフィス | サービスオフィス | |
スペース | 自分専用の個室 一部共用スペース | 自分専用の個室 一部共用スペース |
契約内容 | 個室の使用料 | 個室の使用料 サービスの利用料 |
相場 | 月額:数万〜数十万円 | 月額:数万〜数十万円 ※レンタルオフィスより高価格帯 |
共益費 | 別途請求されることが多い | 別途請求されることが多い |
レンタルオフィスの料金形態・費用相場
レンタルオフィスの料金形態・費用相場は、以下のとおりです。
費用項目 | 費用相場 | |
初期費用 | ①入会金 ②保証金 | ①月額利用料金の1〜2ヶ月分 ②0〜20万円 |
月額料金 | ③スペース利用料 ④オプション利用料 | ③4〜30万円 ④0円〜 |
東京都のレンタルオフィスを借りる場合、スペース利用料とオプション利用料の料金・費用相場は、以下のとおりです。
費用項目 | 費用相場 | |
スペース利用料 | ①1名用 ②2〜3名用 ③3〜5名用 ④8〜10名用 | ①4〜6万円 ②5〜9万円 ③8〜13万円 ④20〜30万円 |
オプション利用料 | ⑤会議室 ⑥郵便物転送 ⑦電話転送 ⑧貸しロッカー | ⑤500〜800円/時間 ⑥2,000〜5,000円/月 ⑦3,000〜8,000円/月 ⑧3,000〜6,000円/月 |
仮に2〜3名用のスペースを借り、オプションサービスを使わない場合の費用相場は、初期費用が5〜18万円、月額料金が5〜9万円です。
レンタルオフィスのメリット
ここでは、レンタルオフィスを利用するメリットを紹介します。
早く事業がスタートできる
自分で賃貸オフィスを借りて事業を行う場合は、物件を借りてその内装を整備して事業ができる状態にまでもっていかないといけません。その状態に持っていくまでに最低1ヶ月はかかるでしょうし、場合によっては数ヶ月かかる可能性があります。
その一方でレンタルオフィスは、机・いす・ネット回線・電話回線など、ビジネスに必要なインフラがすでに用意された状態で利用できますので、究極的には契約してすぐ事業を開始することができます。
少しでも早く事業が開始できれば売上が上がる可能性が上がりますし、その分早くコストをカバーできるようになります。
初期費用が安く抑えられる
上記の点と似ていますが、自分でオフィスを借りた場合は、自分で内装工事を行わなくてはいけません。
その場合、当然内装工事にかかる費用も自分で負担する必要があります。その費用は、下手すると数百万という金額になる可能性もあります。
その一方でレンタルオフィスの場合は、入会金や保証金が必要となるケースが多くありますが、一部の高級レンタルオフィスを大人数で使う場合を除き、数百万という金額になることははほぼありません。その分の費用を別なところに回せます。
事業規模・状況に合わせて柔軟にスペースを変更できる
レンタルオフィスの魅力は、圧倒的な柔軟性です。事業を立ち上げたばかりの頃は従業員の出入りが多く、賃貸オフィスを借りても手狭になったり、スペースが余ったりします。
しかし、契約期間や敷金・礼金の関係もあり、人員の入れ替わりがあるたびに物件を変えることは現実的に困難です。その点、レンタルオフィスなら、比較的スムーズにスペースを引越せます。
たとえば、同施設内にて2名用の部屋から3〜5名用の部屋へ移転する際は、差額を支払うだけで移転できるケースが多いです。住所変更の事務手続きもあるため過度な変更は難しいものの、賃貸オフィスに比べれば柔軟にオフィスの移転が可能です。
結果的に、固定費を最小限まで圧縮でき、投入すべき箇所へより多くの資金を投じられるでしょう。
許認可がとれる
コワーキングスペースやバーチャルオフィスと比べたレンタルオフィスの一番大きなメリットは、特定の業種においてコワーキングスペースやバーチャルオフィスだと取得できない許認可が取れるということです。
税理士・人材紹介業・宅建業などの業種においては、ほかの人が入れない自分専用のスペースを用意することが、許認可取得のためのひとつの条件になっています。
コワーキングスペースやバーチャルオフィスの場合、前述の定義によれば自分専用のスペースがありませんので、これらの業種での開業ができないということになります。
レンタルオフィスのデメリット
一方で、レンタルオフィスにはデメリットもあります。利用をお考えの方は、デメリットをしっかりと把握し、契約するかどうかを検討してください。
坪単価で見ると割高
レンタルオフィスは、ビルのオーナーからテナントを借りて、そのテナントを区分けして利用者に貸し出すというケースが多くなります。
その場合、レンタルオフィスの事業者はビルオーナーから借りた賃料以上の収益を上げないと利益が出せませんので、坪単価あたりの金額は自分で賃貸オフィスを借りた時より必然的に高くなります。
その状態が続くと、長い目で見たときには自分でオフィスを借りたほうが安いということになってしまいます。
意外と利用しないことが多い
特に一人で起業されるようなケースであてはまることが多いのですが、業種にもよりますが意外に自分のオフィスには足を運ばなくなります。
一人で活動するとなると営業活動は相手先に伺うことが多かったり、ちょっとした作業だと自宅で済ませることができたりするためです。
営業先と次の営業先の空いた時間は、カフェなどで仕事をするケースも多いので、自分が借りたレンタルオフィスに行くことが少なくなります。行かないオフィスのために月何万円も支払っているという状態になる可能性は、十分に起こりえるのです。
レンタルオフィスを利用するべき人
以下に該当する人は、レンタルオフィスの利用が向いています。
- 許認可を必要とする方
- 自営業の方
- スタートアップの方
- 別の拠点に支社を作りたい方
- コラボレーションによるプロジェクトで利用したい方
上記に該当する方がレンタルオフィスを利用した場合のメリットを交えつつ、利用すべき理由を紹介します。
許認可を必要とする方
前述のとおり、税理士・人材紹介業・宅建業など、開業に際して許認可が必要な方はレンタルオフィスが適しています。
もちろん、賃貸オフィスを借りて開業することも可能ですが、初期費用や固定費が高額です。また、バーチャルオフィスやコワーキングスペース・シェアオフィスでは、許認可の要件を満たせません。
上記のオフィス形態のまさに中間に位置するレンタルオフィスなら、費用を抑えつつ許認可の要件を満たせます。
自営業の方
自営業のなかでも、とりわけ自宅起業をする方にレンタルオフィスがおすすめです。この理由は主に以下の2つです。
- レンタルオフィスの住所を利用すればプライバシーを保護できる
- 集中できる事業用スペースを比較的安く利用できる
自宅起業の場合、登記住所や名刺に自宅の住所を記載することになります。法人の場合、国税庁の法人番号公表サイトから自宅住所が外部に公開されますし、名刺の住所から、取引先の関係者に自宅がバレます。
万が一、取引先とトラブルになったり、情報発信によって影響力をつけたりした場合、自宅住所を公開しているのは非常に大きなリスクとなります。最悪の場合、自分だけでなく家族にも危険が及ぶ恐れもあるため、レンタルオフィスで借りた住所を事業用途に使用するのがおすすめです。
なお、レンタルオフィスでは、自分だけの専有スペースを借りられます。専有スペースでは、事業とは無関係なものを排除できるため、集中して事業に取り組めるでしょう。
スタートアップの方
スタートアップとは、短期間で新しいサービスを確立し、マーケットで広めるビジネスやその企業のことを言います。短期間で規模を拡大していくため、従業員の数も比例して速いスピードで増えていきます。
そのスピードにあわせてフレキシブルにオフィスを拡大していけるのがレンタルオフィスです。従業員の数が増えて借りているレンタルオフィスが手狭になれば、空いている別のスペースに移転するだけです。
レンタルオフィスなら、固定費をうまくコントロールをしながら事業規模を拡大していけるでしょう。
別の拠点に支社を作りたい方
別の拠点に支社を作る際に、レンタルオフィスを活用すれば小さく拠点を立ち上げられます。新たに支社を出す場合、少なからずリスクが伴うものです。
仮に賃貸オフィスで大きな支社を立ち上げ、事業に失敗した場合、投入した多くの資源がムダになります。その点、レンタルオフィスは賃貸オフィスよりも低コストで支社を作れるため、失敗による損失を最小限に抑えられます。
なお、レンタルオフィスは、事業に必要な設備があらかじめ用意されている点も魅力です。一般的な賃貸オフィスよりも短期間かつ低コストで支社を立ち上げられるため、事業が急速に成長した場合でも十分に対応できるでしょう。
コラボレーションによるプロジェクトで利用したい方
ある会社とある会社でコラボレーションによるプロジェクトを行う際、レンタルオフィスがよく活用されます。
プロジェクトは一定の期間で終了することがほとんどですので、その際に場所も不要になります。その時に新たにオフィスを借りていると、退去の費用が無駄になってしまうので、レンタルオフィスを利用することで費用を抑えることができます。
レンタルオフィスを選択する際のポイント
実際にレンタルオフィスを選択する場合には、ポイントを意識して選定することが大切です。料金や評判のみで闇雲に選ぶと、後悔する恐れもあります。
ここでは、レンタルオフィスを選択する際に押さえておくべきポイントを紹介します。
完全個室か?半個室か?
部屋のタイプをチェックしましょう。完全に外部と遮断された「プライベート個室」のタイプと、壁の上部が空いている「半個室のタイプ」があります。
完全個室タイプは外部と遮断されていますので、周辺の音などを気にする必要がない点が大きなメリットです。その一方で、個別に空調や火災報知機などを設置する必要が出てくるので、コストが割高になるというデメリットがあります。
半個室タイプは、壁の上部が空いていますので音の問題が付きまとってきます。特に近くの利用者が電話をガンガンかけるような人の場合、かなりストレスを抱えるようになりますので、事前のチェックは何度も行わないといけないでしょう。事前にチェックしたとしても、後に入居した人がそのような場合は、自分が退去するしかなくなってしまうので悩ましい問題です。
一方、完全個室の場合とは異なり、空調を部屋ごとに設置する必要がないので価格は低くなる傾向にあります。ただし室温を自分でコントロールできないという新たなデメリットも発生します。
空調は?(時間外の空調費用)
上記で述べたように、完全個室の場合は、ほとんどの場合で個別の空調が付いていますので「快適に使えるか?」という面においては問題ないと思います。
ただ、完全個室でもオフィス全体の空調を引いている場合は、温度の調節がまったくできなくなりますので注意してください。逆に全体の調節が可能な場合は、暑がりの人や寒がりの人が「温度を上げろ・下げろ」とリクエストを出しますので、オフィスの温度が、そういった人たちの好みに寄って行くので注意が必要です。
半個室の場合も同じで、オフィス全体の空調で室温調整をしますので、どんな温度なのかをしっかりとチェックしておく必要があります。
また空調で一番注意しておかないといけないのは、夜に空調が切れるレンタルオフィスがあるということです。たとえば24時間営業のレンタルオフィスで、スタッフの人がいなくなる時間に合わせて空調が切れるという場合があります。
その際、希望しても以降の空調が切れたままというケースもありますし、延長することができるが、その分料金が発生するというケースもあります。この料金が全体の空調にかかわってくるものなので、結構割高なのがつらいところです。
共益費は?
共益費については、まず「賃料に含まれているのか?」「それとも別でとられるのか?」をしっかりチェックしておきましょう。賃料格安をうたっても共益費が別に請求されてしまい、合計するとそれほど安くないというケースもありますので、トータルでいくら支払う必要が出てくるのかをチェックする必要があります。
また、先ほどから述べているように、空調関係の費用がどうなっているのかをしっかりチェックする必要があります。
営業時間は?スタッフはいるのか?
営業時間もチェックしたいところです。理想は自分が好きな時に入退室できる24時間営業が良いかもしれませんが、営業している分、光熱費の費用は掛かってしまいますので、その分賃料や共益費に転嫁されてしまいます。
またデメリットでも述べましたが、意外にレンタルオフィスに行かないということが多くありますので、「本当に24時間でないといけないのか」はよく考えたほうがよいでしょう。
さらに「営業時間とは別にスタッフがいるのか?」「いる場合は何時から何時までいるのか?」といったところのチェックも必要です。特に、夜遅く女性一人がレンタルオフィスに残るという場合は、セキュリティ体制がしっかりしているのかを気にする必要があります。
法人登記に費用がかかるか?
将来的に法人化を考えている方は、住所貸しサービスの料金プランを細かく確認しましょう。なかには、住所を法人登記に利用する場合、別途で月額費用がかかるレンタルオフィスもあります。
また料金もまちまちで、月額3,000〜1万円と幅があります。法人登記の費用を確認しておかなければ、トータルコストが高くつく恐れもあるため、契約前には必ず確認しておきましょう。
郵便物の取り扱いは?
郵便物の取り扱いも非常に重要です。郵便物には重要な書類も含まれる可能性があるため、どのように取り扱うのかをチェックしてください。
「割り当てられた専用ポストに郵便局員が投函する」のタイプ
よくあるのが、スタッフはおらず「割り当てられた専用ポストに郵便局員が投函する」というタイプのレンタルオフィスです。この場合、届いている郵便物は必ず自分でそのオフィスまで取りに行かないといけません。
それほど用事がないのに郵便物を取りに行くためだけにオフィスに出向かなければならないのは、かなりの時間のロスになります。また、何が届いているかがわからないなかで、そのチェックのために労力を費やさなければなりません。当然、宅配便などのサインを必要とするものは、受け取ることは基本的に不可です。
さらに、実際にあったケースですと、郵便ポストの空きがなく郵便物全般が受け取れないということもあります。シェアオフィスなども提供しているレンタルオフィスですと、ポストが希望者で埋まってしまい、レンタルオフィスでそこに事務所を構えているにもかかわらず郵便物が受け取れないということもあるそうです。
それではビジネス活動自体が停滞してしまいますので気を付けてください。
立地は?
レンタルオフィスの立地も確認しましょう。具体的には、「自宅から通いやすいか?」「ビジネスにふさわしい住所か?」などです。
レンタルオフィスは日常的に利用する施設のため、自宅からの通いやすさが重要です。また、将来的に従業員を雇用する予定の場合は、駅近や複数の路線が乗り入れる駅の近くが望ましいでしょう。
なお、レンタルオフィスのあるエリアが、ビジネスに適しているかも重要です。たとえば、一般的に治安が悪いとされるエリアのレンタルオフィスでは、取引先や顧客に住所を公開した際に悪い印象を受ける恐れがあります。
一方、誰もが知っているようなビジネスエリアであれば、信用につながるかもしれません。もちろん必ずしも上記の印象を受けるわけではありませんが、避けられる機会損失は回避するのが賢明です。
まずは、目ぼしいレンタルオフィスを絞り込み、立地が適しているのかを確認しましょう。
設備の充実度は?
レンタルオフィスを選ぶ際は、自分の目で設備の充実度を確認しましょう。レンタルオフィスの設備は、今後日常的に使用していくものです。
必要とする設備がなかったり、設備はあっても故障が多く使えなかったりすれば、生産性の低下につながります。こうした事態を防ぐには、実際にレンタルオフィスを見学し、細かな箇所まで自分の目で確認するのがおすすめです。
契約後に後悔しないためにも、しっかりと確認しておきましょう。
まとめ
以上、さまざまな点からレンタルオフィスについて見てきましたが、起業をされる方にとっていま一度よく考えるべき点は、「本当に個別の部屋が必要なのか?」という点です。
個別の部屋を新たに借りるということは、それだけ固定費が膨らむということになりますので、利益を出すために損益分岐点が上がることになります。
オフィス自体が利益を生み出すということはありませんので、オフィスは最小限のコストで賄うべきでしょう。そういう点では、レンタルオフィスという選択肢以外にも、バーチャルオフィスやシェアオフィス・コワーキングスペースを利用することも検討していただければと思います。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
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