個人事業主として開業している方は「屋号口座(屋号付き口座)」の開設がおすすめです。
屋号付き口座の開設によって、経理事務の負担軽減や、顧客からの信用の獲得が可能となります。普通預金口座と比較して若干の手間を要しますが、事業が有利に進む要因となるでしょう。
本記事では屋号付き口座の開設のメリット・デメリットや手続き、必要書類などを解説しているため、ぜひご覧ください。
目次
個人事業主の屋号付き口座とは?
ここでは、個人事業主の屋号付き口座がどのようなものなのかを、屋号の意味とあわせて紹介します。
屋号付き口座とは?
屋号付き口座とは、「屋号+氏名」のように、口座名義と個人事業主の屋号が並列で表記される口座のことです。屋号付き口座を開設すると、銀行の通帳には「飲食店〇〇+個人名義」や「ペンネーム〇〇+個人名義」のように表記されます。
個人事業主の屋号付き口座は法人口座と異なり、あくまでも個人口座に該当します。法人は法律で人格が認められているため、法人名義で口座を開設できますが、個人の人格しか存在しない個人事業主では、屋号のみの口座を開設できないケースがほとんどです。
なお、屋号付き口座を開設すると、事業に対する信用を得やすい・経理事務の負担軽減などのメリットが期待できます。一方で、開設手続きに手間がかかったり、審査に時間がかかったりなどのデメリットもあるため、開設の際には注意が必要です。
そもそも「屋号」とは?
「屋号」とは、個人で行う事業の名前を指します。簡単にいえば「お店(事務所)の看板に掲げる名前」です。例として「○○事務所」や「○○本舗」などが挙げられます。
基本的には、個人事業に対してどのような屋号を付けても問題ありません。ただし、一部制限があるため注意が必要です。
具体的には「法人として付ける名称(○○会社/○○法人など)」や「商標登録されている名称」などは使えない点に留意しましょう。
個人事業主に屋号の設定は義務付けられていません。実際に自分の名前のみで事業を行っている方も存在します。
実店舗を持って事業運営を行う場合は屋号を名乗り、フリーランスのように自分の名前を売って事業を行う場合は、屋号を決めないケースが多いです。
屋号を登録するには、開業届に屋号を記載して税務署に提出する必要があります。
屋号付き口座と個人口座の違い
屋号付き口座と一般的な個人口座の違いは、以下の2つです。
- 名義の表記方法
- 口座の開設方法・必要書類
個人口座の名義には、個人事業主の名前が記載されます。一方、屋号付き口座では「屋号+個人名義」のように、個人名に加えて屋号の記載が可能です。
取引先や顧客から入金がある場合、口座に屋号を記載することで、信用につながります。
また、屋号付き口座と個人口座では、開設時の手続きに違いがあります。具体的には、口座開設時に別途審査があったり、本人確認書類に加えて以下いずれかの追加書類を求められたりします。
- 個人事業の開業届出書
- 屋号で個人事業を営んでいること確認できる書類:税金関係の領収証や事務所の賃貸契約書など
- 確定申告書
- 個人事業の内容が確認できる資料:ホームページや契約書など
- 事業に関する許認可証
上記は、あくまでも必要書類の一例です。金融機関や取引内容によって追加書類を求められないケースもあります。ただ、一般的に屋号付き口座は、個人口座よりも開設に手間と時間がかかるため注意が必要です。
個人事業主が屋号付き口座を開設するメリット
屋号付き口座を開設すれば、事業運営が有利になる複数のメリットを受けられます。事務負担の軽減や顧客の信頼の獲得が可能となるため、ぜひ開設を検討してください。
ここでは、屋号付き口座を開設するメリットを3点解説します。
事業に対する信用を得やすい
屋号付き口座の開設によって、顧客からの信用を得やすくなります。振込先が個人名義の口座の場合「本当に事業をしているのか」と不安を覚える方も少なくありません。
一方で振込先の口座名義に屋号が含まれていれば、確実に事業をしていると判断でき、安心して振込みが可能となるでしょう。
また、クライアントに対して「本気で事業に取り組んでいる」という印象も与えられます。長期での取引や人脈の紹介に繋がるケースもあります。
経理事務の負担が減る
屋号付き口座を開設していれば、プライベートと事業の支出を明確に区別でき、経理事務の負担の軽減につながります。
まず、プライベートの支出について「事業主借」「事業主貸」などの仕訳をしなくて良くなるため、会計ソフトや帳簿への記入量が減少します。また屋号付き口座を開設すれば、事業の支出かプライベートの支出かを分ける作業も不要です。
確定申告の時期にまとめて帳簿を整理する方の場合、支出の内容が把握できずに適切な申告ができない可能性も生じます。確定申告の内容が間違っていると延滞税などの罰則が生じるため、適正な税務手続きができる点は大きなメリットとなるでしょう。
従業員との共有もしやすい
屋号付き口座であれば、従業員との共有もしやすいです。
入出金や記帳の手続きを従業員に依頼するケースもあるでしょう。その際にプライベート用の通帳だと渡しにくいと感じる方も多いです。その結果、本来自分で行う必要がない業務も負担する必要があり、事業効率の低下に繋がるリスクが生じます。
その点、屋号付き口座であれば比較的第三者に預けやすいでしょう。
個人事業主が屋号付き口座を開設するデメリット
屋号付き口座を開設する大きなデメリットはありません。上述した通りメリットが大きいため、屋号を名乗る場合は口座の開設も検討しましょう。
しかし、普通預金口座と比較して手続きに手間がかかる点に注意が必要です。手続きに手間がかかる要因には、大きく以下の3つが挙げられます。
開設手続きに時間がかかる
屋号付き口座は、普通預金口座よりも開設に手間がかかります。
まず、屋号付き口座の開設の際には、普通預金口座の開設よりも提出書類の種類が多いです。具体的な書類は口座を開設する金融機関によって異なりますが、基本的には以下のものが必要となるケースが多いです。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 個人事業主であるという確認書類(開業届、確定申告書等)
- 事業概要の確認できる書類(パンフレット、納品書等)
また屋号付き口座の開設は、窓口でしか行えないケースが多いです。ネットバンキングは例外ですが、基本的に窓口での受付となるため、金融機関の営業時間内に窓口へ足を運ぶ必要があります。
金融機関の営業時間内に手続きが難しい場合は、ネットバンクでの口座開設を検討しましょう。
審査に時間がかかる
普通預金口座とは異なり、屋号付き口座は口座開設の審査に時間がかかります。
審査機関は金融機関によっても異なりますが、実店舗型の場合は2週間から1ヶ月程度要する場合も多いです。
申込をしてすぐに口座を使えるわけではないため、開業初期の売上金の振込先に悩む可能性も生じます。
そのため、審査期間から逆算して早めの手続きを行いましょう。
開設できる支店に制限される場合がある
屋号付き口座は、開設できる支店が限られている場合もあります。具体的には、「事業所の最寄りの支店でのみ開設が可能」などです。
このような制限があると「自宅から事業所が離れていて、自宅の近くの支店を選びたい」などの希望には沿わない可能性があります。場合によっては、金融機関での手続きのためだけに交通費や時間を費やす必要があるため注意しましょう。
このような制約を受けたくない場合は、ネット銀行の屋号付き口座の開設も視野に入れましょう。
個人事業主は屋号付き口座を開設すべきか?
個人事業主として事業を行うのであれば、屋号付き口座の開設がおすすめです。もちろん、個人口座よりも開設に手間がかかるデメリットはありますが、それ以上に、以下のメリットの恩恵が大きいです。
- 事業に対する信用を得やすい
- 経理事務の負担が減る
- 従業員との共有もしやすい
とくに、事業に対する信用を得やすい点は、大きな魅力です。通常、取引先や顧客からの信用を得るには、多くの時間をかけ実績や良好な関係性を構築していく必要があります。
「屋号付き口座だから信用する」と直接的に効果があるわけではありませんが、取引先や顧客の不安を軽減する効果は十分に期待できます。こうした積み重ねが信用へとつながるため、個人事業主として事業を行う方は、ぜひ屋号付き口座の開設をご検討ください。
個人事業主が屋号付き口座を開設する際の注意点
屋号付き口座を開設する際の注意点は、2点あります。スムーズに口座開設を行うためにも理解しておきましょう。
開業届に屋号の記載が必要
屋号付き口座の開設には、屋号や事業の実態を確認できる開業届が必要となります。
そのため、屋号付き口座を開設したい場合は、必ず開業時に屋号欄の記載を行いましょう。また、提出用に加えて控え用にも収受印を押してもらいます。
もし屋号の記載を忘れていた場合は、開業届の追加の提出が可能です。屋号の変更や追加の際は原則として開業届の提出が不要ですが、屋号を記載して備考欄に「屋号の登録」と記載すれば問題なく収受してもらえます。
また金融機関によっては、開業届ではなく、屋号が記載された確定申告書の提出でも認められる場合があります。開業して確定申告の経験がある方は、提出書類を確認しましょう。
「屋号付き口座」という口座の種類はない
一般的に口座名義人に屋号が入っている口座を「屋号付き口座」と呼びますが、これは通称の呼び方です。金融機関によって「営業性個人口座」や「ビジネス口座」などと、同一の意味でも異なる名称が付けられている点に留意しましょう。
異なる名称でも、いわゆる「屋号付き口座」と把握しておけば、開設時に慌てずに手続きを行えるでしょう。
個人事業主が屋号付き口座を開設する流れ
屋号付き口座の開設手続きは各金融機関によっても異なりますが、大きな流れは共通しています。ここでは、屋号付き口座の開設手続きの大きな流れを解説します。
①開業届の提出
上記した通り、個人事業主に屋号を名乗る義務は存在しません。言い換えると、どのタイミングで名乗り始めても問題ないのです。
しかし屋号付き口座を開設するには、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(以下「開業届」)」の提出が必要となります。
開業届は、事業を開始してから1ヶ月以内に提出する義務がありますが、罰則がないため提出していない方もいます。しかし屋号付き口座を開設するには、開業の事実を客観的に証明する必要があるため、屋号欄の記載がある開業届の提出が必要となるのです。
開業届の提出先は、住所地を管轄する税務署です。提出用は税務署に保管されるため、控えを受け取るようにしましょう。
もし、「屋号付き口座を開設したいが開業届を提出していない」という人は、期限後であっても税務署へ届出を行いましょう。他にも、控えをもらい忘れた場合は開示請求の手続きが可能です。ただし、手数料や発行までの期間を要する点に注意が必要です。
また、金融機関によっては、開業届ではなく直近の確定申告書や領収書、納税証明書でも認められる場合があります。各金融機関のホームページを確認しましょう。
参考:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
参考:開示請求等の手続
②金融機関の選定
屋号付き口座はさまざまな金融機関で開設できるため、自分に合った金融機関を選定しましょう。
詳細は後述しますが、まず実店舗型の銀行かネット銀行かを選択します。
また、各実店舗型銀行やネット銀行でも、手数料やビジネスローンの制度、各種サポートなどが異なるため、事業の実態に合わせた選択が重要です。
③必要書類の準備・提出
必要書類の内容は金融機関によっても異なりますが、以下のようなものが求められるケースが多いです。
- 本人確認書類(運転免許証/マイナンバーカードなど)
- 個人事業主である旨が確認できる確認書類(開業届/確定申告書など)
- 事業概要の確認できる書類(パンフレット/納品書など)
また、実店舗型の銀行であれば窓口での提出、ネット銀行であれば郵送もしくはデータでの提出となります。
提出書類の詳細は必ず各金融機関のホームページを確認しましょう。
④審査・口座開設
必要書類を提出したら、金融機関の審査結果を待ちます。
審査期間は金融機関によっても異なりますが、1週間〜1ヵ月程度要する場合が多いです。
また書類に不備がある場合は、追加の提出書類を求められる場合もあります。提出が遅れると審査期間も伸びるため、早めに対応を行いましょう。
審査に通れば口座が開設され、取引ができるようになります。
屋号付き口座は「実店舗型銀行」「ネット銀行」のどちらを選ぶべきか
金融機関の選択肢は、大きく「実店舗型銀行」と「ネット銀行」に分けられます。これらは特性が大きく異なり、メリット・デメリットの双方があるため、事業の実態に合った金融機関を選択しましょう。
ここでは各銀行の形態の特徴やメリット・デメリットなどを解説します。
実店舗型銀行:対面対応や高い信頼性が強み
実店舗型の銀行の大きなメリットは、店舗が各地にあり、対面での対応を受けられる点です。ネット銀行のなかには、チャットやメールでのやりとりに限定している銀行もあるため、対面で対応してもらえる点は大きな安心感を生むでしょう。
また、ネット銀行と比較して信頼性が高い点もメリットです。知名度が高いため、顧客や取引先からの信頼感を得ることができます。
一方で、各種手数料がネット銀行よりも割高で、サイトの操作性も低い傾向にあります。審査の基準も厳しい傾向にあるため、必ずしも口座開設ができるとは限らない点にも留意しましょう。
ネット銀行:手数料の安さや操作性の良さが強み
ネット銀行のメリットは、各種手数料が低い点です。なかには、一定回数の取引手数料が無料といった金融機関も存在するため、長期的に考えた際の負担は大きく減少するでしょう。
また、ネットでの操作が前提となっているため、ウェブサイトの操作性が高めです。いつでも場所を選ばずに取引できるため、時間を柔軟に使えます。
一方で対面での対応を受けられず、実店舗よりも信頼性が低めです。しかし現在はネット銀行の知名度も上がっているため、信頼性の面は大きなデメリットとなりにくいでしょう。
実店舗型銀行の屋号付き口座のおすすめと、開設方法
一言で実店舗型の銀行といってもさまざまな金融機関が存在します。ここでは、メガバンクを中心に実店舗型銀行の屋号付き口座の開設方法について解説します。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行で屋号付き口座を開設する場合は、以下の書類が必要です。
- 開業届(控用)または個人事業開業届出済証明書
- 屋号等で個人事業を営んでいる旨が確認できる書類(納税証明書/社会保険料の領収書など)
- 事業の財務状況が確認できる書類(確定申告書/収支内訳書など)
- 事業の内容が確認できる資料(契約書/パンフレット/ホームページなど)
- 本人確認書類
- 許認可証(許認可が必要な事業の場合)
必要書類の提出後は、平均1ヶ月程度の審査が行われます。なお、屋号付き口座はあくまでも個人口座として扱われます。そのため、預入限度額(1,300万円)以上の利用ができない点に注意が必要です。
みずほ銀行
みずほ銀行で屋号付き口座を開設する際は、初回来店時に以下の2つを持って相談を受けます。
- 本人確認書類
- 印鑑
初回来店時には口座開設の理由や、口座の利用目的などのヒアリングが行われます。当日中の開設ではなく、審査の結果に応じて口座開設の可否が判断されます。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行で屋号付き口座を開設する際は、本人確認書類と印鑑のほかに「屋号付での営業事実確認書類」の提出が必要です。具体的には、以下の書類がこれに該当します。
- 国税・地方税の領収書や納税証明書(原本)
- 社会保険料の領収書(原本)
- 商号登記簿謄本(原本)
- 事務所の賃貸契約書(コピー可)
- 公共料金の領収書(原本)
- 税務署収受印付の確定申告書(原本)等
上記の書類を持って、最寄りの店舗に足を運びましょう。
りそな銀行
りそな銀行で屋号付き口座を開設するには、「りそなビジネスダイレクト口座」が必要です。開業届と本人確認書類を持参して、窓口へ足を運びましょう。
当日に窓口で受付を行い、審査の結果が後日連絡されます。ただし、りそなビジネスダイレクト口座は、最低でも月額3,300円の費用を要する点に留意しましょう。
三井住友銀行
三井住友銀行で屋号付き口座を開設するには、Webで事前申し込みをしたのち、支店へ来店して手続きをします。また、屋号付き口座の開設には、本人確認書類と印鑑、開業届が必要です。
また、審査には約1ヶ月ほどかかるため、余裕を持って申請するのがおすすめです。
地方銀行・信用金庫
地方銀行や信用金庫でも、屋号付き口座の開設が可能です。基本的には窓口での手続きが必要で、以下のような申請書類を求められます。
- 事業主の写真付本人確認書類
- 来店者の写真付本人確認資料
- 屋号・事業内容が確認できる書類(a.~f.のいずれかひとつ)
- 確定申告書(税務署受付印のあるもの)
※確定申告書をe-Tax(電子申告)で行っている場合、確定申告書と併せて「受信通知」 - 個人事業の開業届出書(受付印のあるもの)
- 所得税の青色申告承認申請書(受付印のあるもの)
- 事業開始申告書(受付印のあるもの)
- 各行政機関発行の許認可証(許認可業種の場合)(有効期限内のもの)
- その他、屋号・事業内容が確認できる書類
参照:法人・個人事業主・任意団体の口座を開設されるお客さまへ|福井信用金庫
窓口では、口座の利用目的や事業内容に関するヒアリングを実施しているケースがほとんどです。なお、前述の大手金融機関よりも審査期間が短い傾向にあり、1〜2週間で口座を開設できます。
ただし、すべての地方銀行・信用金庫が屋号付き口座に対応しているわけではない点に注意が必要です。また、屋号付き口座に対応していても、すでに個人口座を開設している場合は取引を断られる恐れもあります。
すでに口座開設予定の金融機関がある場合は、ホームページを参照したり、問い合わせたりして詳細を確認するのがおすすめです。
ネット銀行(ネットバンク)の屋号付き口座のおすすめと、開設方法
現在は、ネット銀行も主流な手段のひとつです。ここでは、大手ネット銀行の屋号付き口座の開設方法を解説します。
GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行で屋号付き口座を開設するには、通常の個人口座の開設が必要です。個人口座の開設には「本人確認書類」が必要となります。
その後、個人口座よりWebサイトにログインし、屋号付き口座の開設手続きを行います。申込フォームから屋号付き口座を申請する際は、以下の2つのアップロードが必要です。
- 個人事業主の確認書類(開業届や確定申告書など)
- 事業内容が確認できる書類(ウェブサイトのアドレス/パンフレットなど)
審査の後にログインIDやキャッシュカードが郵送されます。初期設定を行うと口座が使用できるようになります。
参考:屋号付口座を作りたい
PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)
PayPay銀行の屋号付き口座の開設で必要な書類は以下の通りです。
- 本人確認書類
- 事業実態確認書類(開業届/営業許可証など)
申込では、最初に申込フォームに個人情報と事業内容を入力します。その後、パスワードと暗証番号の登録を行い、スマートフォンで書類を撮影する方式で本人確認を行う流れです。
申込が完了すると審査が行われ、カードと書類の郵送が行われます。最後に初期設定を行えば口座の開設が完了です。
楽天銀行
楽天銀行で屋号付き口座を開設するには、前提として個人口座の開設が必要です。個人口座の開設には「本人確認書類」が必要となります。
個人口座の開設が済んだ後に、屋号付き口座(個人ビジネス口座)を申し込む流れです。申し込み後は楽天銀行より返信用封筒が発送されるため、その封筒を使って「業務内容の確認資料(開業届等)」を返送してください。
審査の後に口座開設の準備が完了した旨のメールが届きます。そのメールからユーザーIDやパスワードなどの設定を行えば、屋号付き口座の開設手続きは完了します。
住信SBIネット銀行(開設不可)
住信SBIネット銀行では、屋号付き口座の開設ができません。ネット銀行での屋号付き口座開設をお考えの方は、別の金融機関を検討しましょう。
参考:〔口座開設〕 口座名義にショップ名(屋号)や団体名のついた口座は開設できますか?
ソニー銀行(開設不可)
ソニー銀行も、屋号付き口座の開設ができません。ネット銀行での屋号付き口座開設をお考えの方は、別の金融機関を検討しましょう。
参考:【口座開設】 ソニー銀行ではどうして法人・屋号の口座を開設できないのですか?
セブン銀行(開設不可)
セブン銀行では屋号付き口座の開設ができません。ネット銀行での屋号付き口座開設をお考えの方は、別の金融機関を検討しましょう。
個人事業主の屋号付き口座でよくある質問
ここでは、個人事業主の屋号付き口座に関するよくある質問とその回答を紹介します。
今持っている個人口座を、屋号付き口座に変更することはできますか?
金融機関によって、個人口座から屋号付き口座への対応可否が分かれると考えられます。また、本記事で紹介した金融機関のホームページを調べましたが、ほとんどで対応可否に関する記載がありませんでした。
仮に変更が可能な場合でも、屋号付き口座の開設時と同様、必要書類の提出を求められるケースがあるため、当該金融機関へ問い合わせてください。
屋号なし(個人名のみ)の個人事業主用口座は作れますか?
屋号なしの個人事業主用口座の開設は可能です。屋号の有り無しはあくまでも名義表記の違いですので、口座の種別・用途による影響を受けないことがほとんどです。
口座名義を屋号のみにすることはできますか?
弊社、バーチャルオフィス1で調査したところ、現状、屋号のみの口座開設に対応してる金融機関はありませんでした。以前は、ゆうちょ銀行で屋号のみ口座を開設できましたが、2024年現在では開設できません。
将来的な法人化(法人成り)を見据えている場合に準備すべきこと
ここでは屋号付き口座の開設とは別に、将来的な法人化(法人成り)も見据えて準備しておくべきことを説明します。
ビジネス用クレジットカードの作成
事業を行ううえで、ビジネス用のクレジットカードを作ることもおすすめです。ビジネス用のクレジットカードを作るメリットには、以下のような点が挙げられます。
- 利用限度額が大きい
- 帳簿の管理が簡単になる
- プライベートの出費・事業の出費が明確になる
開業すると、事業内容によっては仕入等の決済で大きな金額を動かします。その際に個人用のカードでは、限度額が足りない可能性が生じるため注意が必要です。
限度額の引き上げができるカードもあるため、大きな決済を行う場合は、ビジネス用のカードを作ることがおすすめです。
また、ひとつの個人用カードで支払いをまとめている場合、経理事務の際に事業での支出かプライベートでの支出かを分ける作業が必要となります。そこで、事業用のカードで一本化すれば経費等の支出が明瞭化されます。
ほかにも、特定の会計ソフトを使うと、クレジットカードの明細を自動的に反映させることが可能です。経理事務の手間が大きく削減されるでしょう。
バーチャルオフィスの契約
法人化を見据えているなら、バーチャルオフィスの契約を検討するのがおすすめです。法人登記をすると、代表者名や本店所在地などの情報が国税庁のポータルサイトで公開されます。
仮に、自宅住所を本店所在地とした場合、第三者に個人情報が流出することになります。これにより、ストーカー被害にあったり、取引先とトラブルになった際、自宅を訪問されたりする恐れがあります。
また、賃貸物件の場合、本店所在地としての住所利用を禁止しているケースもあるため注意が必要です。
バーチャルオフィスとは、物理的なスペースではなく、事業用の住所をレンタルできるサービスです。賃貸オフィスのように物理的なスペースを借りない分、月額数千円と安価で住所を借りられます。
バーチャルオフィス業者によっては、郵便物の受取・転送や電話番号貸し、事業支援などのサービスも提供しているため、事業が有利に進む要因ともなるでしょう。「自宅住所で法人化をお考えの方」や「プライバシーを保護したい方」におすすめです。
まとめ
本記事では、個人事業主が屋号付き口座を開設するメリット・デメリットと、開設方法について紹介しました。個人事業主が屋号付き口座を開設する一番のメリットは、事業の信用を得やすくなることです。
とくに、屋号があることで、取引先や顧客に安心感を与えられ、結果的に事業の信用につながります。個人事業主として屋号を名乗る場合は、積極的に開設を検討しましょう。
ただ、屋号付き口座は、個人口座よりも提出書類が多かったり、審査に時間を要したりするため注意が必要です。開設をお考えの方は、スケジュールに余裕を持ち、口座開設を申し込むのがおすすめです。
当メディア「バーチャルオフィス1」では、東京都渋谷区と広島県広島市の2拠点にてバーチャルオフィスを運営しています。月額880円+郵送費のプランで個人事業主や法人登記の住所が手に入ります。将来的に法人化をお考えの方は、ぜひご検討ください。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
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