dely創業者 堀江裕介氏:経歴から創業エピソード、成功までの軌跡を一挙解説

[投稿日]2024年08月29日

dely創業者 堀江裕介氏:経歴から創業エピソード、成功までの軌跡を一挙解説

学生起業をしてみたいという人は数多くいます。しかし、「実際に学生起業を行い、大きな成功を収める」というイメージが湧きにくいことも事実です。そこで、今現在、日本国内や世界で活躍している経営者のなかで、学生時代に事業を起こした人物についてピックアップし、どのようなルートで起業にいたったのか、その生い立ちなどに迫っていきます。

今回紹介するのは、レシピ動画サービス「クラシル」を立ち上げた「堀江裕介氏」です。国内最大のレシピ動画サービスは、どのような発想から生まれたサービスだったのでしょうか。

堀江裕介氏のプロフィール・経歴

堀江裕介氏のプロフィール・経歴は以下のとおりです。

生年月日1992年
出身群馬県
出身校群馬県立前橋高校
慶應義塾大学
経歴2014年4月:大学在学中にdely株式会社を設立
2016年2月:「クラシル」の運営を開始
2017年:Forbes「アジアを代表する30才未満の30人」に選出
2019年3月:TRILL株式会社を連結子会社化
2020年4月:TRILL株式会社の代表取締役に就任
2020年6月:「クラシル」のアプリが2,300万DLを超える
2023年7月:「クラシル」のアプリが4,100万DLを超える

堀江裕介氏は、慶應義塾大学に進学し、在学中にdely株式会社を起業します。初めはフードデリバリーサービス・キュレーションメディアを立ち上げ、学生ながら5,000万円の資金調達に成功します。

ただ、市場でのシェアに限界を感じたことで事業を撤退し、2017年にはあの「クラシル」の運営を開始しました。「クラシル」は運営開始からわずか1年で、1,000万ダウンロードを記録しています。

堀江裕介氏の業績が認められ、同年には世界的な経済誌である「Forbes」にて、「アジアを代表する30才未満の30人」に選出されています。

なお、堀江裕介氏は、これまでの経歴や自身の考え方を「note」にて公開しています。詳しく知りたい方は、こちらもご参考ください。

堀江裕介氏が経営する「dely株式会社」の概要

dely株式会社のホームページ

dely株式会社は、「BE THE SUN」というビジョンのもと、”世界を明るくする事業を生み出し「幸せの半径」を広げること”を目指している会社です。2014年に設立されて以来、レシピ動画サービス「クラシル」をはじめ、女性向けメディア「TRILL」や、ライバー事務所「LIVEwith」を運営しています。

以下、dely株式会社の概要です。

社名dely株式会社 (dely, Inc.)
代表取締役堀江 裕介
資本金1億円
設立2014年4月
メールアドレスinfo@dely.jp
所在地〒108-0023東京都港区芝浦3丁目1-1msb Tamachi 田町ステーションタワーN 23階
事業内容レシピ動画プラットフォーム「クラシル」
お買い物サポートアプリ「クラシルリワード」
ライフスタイルメディア「TRILL」
ライバーマネジメント事務所「LIVEwith」
公式サイトhttps://dely.jp/

同社の主要な事業内容は、アプリやメディア運営、ライバーマネジメントです。2014年に設立されて以来、さまざまな事業に取り組んでいます。

同社の特徴は、「クラシル」にて培われたユーザー基盤を活かし、多角的にサービスを展開している点です。過去には、クラシルの関連事業として、ネットスーパー事業にも取り組んでいました。

なお、新たな事業を立ち上げる際には、積極的にM&A(買収・合併)を活用しています。過去には、株式会社ENLOOPやTRILL株式会社などの買収・連結子会社化に成功しており、ヤフー株式会社とは、資本提携関係にあります。

クラシルってどんなサービス?

クラシルのホームページ

クラシルは、1分間の動画で料理の材料や作り方を伝えるレシピ動画サービスです。「80億人に1日3回の幸せを届ける」というミッションを持っています。

日常的に作れて、誰かのために、さりげなくおしゃれでおいしい料理」をテーマに、毎日の献立から、特別な日に作れるスイーツまで、さまざまなレシピを紹介しています。また、レシピの手軽さや動画の豊富さから人気を呼び、2023年7月には4,100万ダウンロードを記録しました。

レシピ動画サービスとしては後発ながら、さまざまな工夫を行い、今現在のサービスへとつながっています。なお、クラシルのレシピは、専属のシェフが調理したもののみ。

レシピ動画には、「冷蔵庫の残り物で作れる!」や「ささっとおつまみ」など、つい見てみたくなるものが数多く並んでいます。またアプリのUIも使いやすく、映像でレシピを紹介しているのでイメージも付きやすいサービスです。

堀江裕介氏の成功エピソード|学生起業~現在のクラシルに至るまで

堀江裕介氏の成功エピソード

ここでは、堀江裕介氏が学生起業をし、現在のクラシルに至るまでのエピソードを解説いたします。

孫正義氏の100億円寄付を機に、学生起業を決意

dely株式会社の代表である堀江氏が創業したのは、慶應義塾大学環境情報学部に在学中の2014年でした。

起業を決意したきっかけは、「ソフトバンク株式会社」の孫正義氏が、東日本大震災の際にに100億円を寄付したことだそうです。自分も孫正義氏のように社会に大きな影響を与える存在になりたい」と思ったことから起業を決意しました。

その背景もあり、堀江氏は大学の授業よりも、企業でのインターン活動や、ベンチャーキャピタルの方との交流を積極的に行っていました。

こうした活動のなかで、メルカリやグノシーに投資をしている投資家「松山大河氏」と出会います。当時、松山氏と話す機会を得て事業のアイデアを話したところ、「今すぐにでも起業をすればいいのに」とアドバイスを受け、学生起業にいたります。

しかし、当初開始した事業は、今現在のクラシルとは少し違ったものでした。

フードデリバリー事業で失敗し、窮地に追い込まれる

堀江氏が起業して最初に取り組んだ事業は、今で言うフードデリバリー事業のようなものでした。

当時、日本はアメリカと比べてCtoCの物流がそこまで発達していませんでした。また、労働人口が減少する一方、eコマースの台頭により物量業界の需要がひっ迫します。

ここに目をつけた堀江氏は、今で言う「UberEats」のようなサービスを始めたそうです。なお、「食品の配達で顧客を獲得できれば、ほかの物流事業にも活かせる」と考え、5,000万円にも及ぶ資金調達を実施しました。

しかし、結果は惨敗です。当時の市場ではサービスが受け入れられず、窮地に追い込まれます。務めていた社員は全員辞めてしまい、さまざまな事業に取り組むも失敗ばかり。

そんななかで始めたサービスが「クラシル」でした。

クラシル誕生秘話~その場しのぎの事業が成長の芽に~

失敗を繰り返すなかで生まれた、その場しのぎの事業がクラシルです。食・ライフスタイル・美容・ペットなどの女性向けキュレーションメディアとして立ち上げると、2年目には黒字化に成功します。

しかし、それも束の間、成長に疑問を持っていた共同創業者のエンジニアに、「3ヶ月以内に事態が好転しない限り会社を辞める」と言われる事態が起こりました。会社が存続の危機にたたされている中、堀江氏は動画市場が急成長していることを耳にし、「動画に何を掛け合わせたら良いのだろう」と考えた結果、「料理の市場」を狙うことに決めました。

料理市場は、それまでも数多くの大企業がトライしている市場でもあります。そのなかで誰も絶対王者である「クックパッド」に勝つことができていないと気づいたそうです。

クックパッドに立ち向かうためにはただ同じことをやっていては到底勝つことはできない、そこで動画と掛け合わせることで突出することを狙いました。

社内に動画を撮影する人、編集する人が居なかったため、始めのうちは堀江氏自らが動画を制作していました。最初のデモ動画が完成し、社員に見せたところ反応は上々。

3ヶ月以内に好転しなければ会社を辞めると言った共同創業者も、この雰囲気を見て会社に残ることに決めたそうです。

クラシルの成長軌跡~自社メディアに注力し、先行者利益を獲得

ここからの堀江氏の行動は凄まじく、一気に「動画×料理」へとクラシルをシフトさせていきます。

料理を作る専属のシェフを雇い、一日で数十本もの料理動画を制作し始めます。そこからは、今私達がよく知っているクラシルの形になりました。経済大国アメリカの先行企業をも追い越し、レシピ動画数で世界一位に躍り出ます。

これまでに約40億円の資金調達に成功しており、Zホールディングス傘下(現:LINEヤフー株式会社)となった現在でも、株式上場へ向けて成長を続けています。孫正義氏にあこがれて起業をした堀江氏、今ではその孫正義氏の関連企業にまで成長させたその手腕はお見事です。

なお、クラシルが現在でも多くのユーザーを抱えている理由は、当初から自社メディアの成長に注力していたためです。

当時、多くの競合企業が、GoogleやFacebookなどに分散して動画を配信するなか、堀江氏は逆行して自社メディア・アプリの成長のみに注力しました。実際に堀江氏は、「FacebookやGoogleは、自社で管理するメディアとは違い、再生回数や露出度が左右されてしまう点が問題である」と述べています。

結果、広告費用の分散やプラットフォームの仕様変更によるリスクを回避でき、ユーザーの囲い込みに成功します。

先行者としてユーザーの囲い込みに成功したことで、他社の追随を許さず、大きな先行者利益を獲得しました。近年では、クラシルのように自社メディアの成長に尽力する企業が増えましたが、当時としてはまさに異端的な行動と言えます。

M&Aを実施し、事業を多角化

2020年には女子向けメディアである「TRILL」と合併を果たしました。

TRILLは2014年8月に設立された女性向けメディアです。2019年には女性向けメディアとして国内ナンバーワンのメディアへと成長しました。月間利用者数は2,000万を超える巨大メディアであり、ファッション・恋愛・結婚・お金・ライフスタイルなどの記事の中から、豊富なコンテンツを提供しています。

他のメディアよりもターゲット層が広く、20代から60代以上の女性までに役立つ情報を発信しているのが特徴です。その他にも人気モデルとのタイアップ記事や、「診断」のジャンルなど人気の記事が数多く配信されています。

TRILLとの合併により、堀江氏は料理のジャンルだけではなく、幅広いメディア運営にも関わることになりました。

堀江裕介氏が掲げるビジョン・野望

堀江氏は兼ねてから20代、30代、40代でのビジョンを掲げています。「20代のうちに1000億企業にする」というビジョンもそのうちの一つです。「長期的な目標を掲げ、そこから逆算して今何をするのか?が重要である」と語っていました。

なお、堀江氏は近い将来、クラシルを世界規模へと拡大させる野望も持っています。

dely株式会社は、料理レシピ動画の制作に関して、世界でもトップクラスの技術と経験を持ち合わせています。

海外の料理レシピ動画は、日常生活よりも、SNS映えを意識しているものが多く、その点でも差別化に成功できているという観点から世界各国への進出を考えているようです。世界的にも注目されている日本食という要因もかけ合わせれば、世界でも十分に規模を拡大させていくことができる要素はあると予測しているようです。

堀江裕介氏から学ぶ、成功のための2ヶ条

堀江裕介氏に学ぶ、成功のための2か条

これまで、堀江裕介氏の経歴や成功エピソードを紹介してきました。そんな堀江裕介氏から学ぶ成功のための2ヶ条は、以下のとおりです。

  • 大きな夢を描いて行動に移す
  • 自分・自社の軸を持つ

大きな夢を描いて行動に移す

堀江氏が成功した一番の要因は、大きな夢を描いて行動に移したことです。「自分も孫正義氏のように社会に大きな影響を与える存在になりたい」との思いから学生起業を決意し、多くの失敗を経験しながらも行動を続けています。

このビジョンを実現させるための圧倒的な行動力は、クラシルという業界トップのサービスにつながりました。これは、少し大げさに聞こえるかもしれませんが、仮にフードデリバリー事業の失敗でやめていれば、現在の成功はありません。

事業失敗という大きな挫折を味わいながらも、「孫正義氏のように!」と、行動を続けたからこそ掴めた成功なのです。

起業では、大なり小なり失敗・挫折が付き物です。ただ、「堀江裕介氏のような成功者を目指したい」との思いがあるのなら、ぜひ学生時代の堀江氏のようにビジョンに向けた行動を続けてみてください。

自分・自社の軸を持つ

2つ目の成功要因は、自分・自社の軸を持ち、他者に流されなかったことです。堀江氏のエピソードを振り返ると、一貫して自分・自社の軸を貫いています。

たとえば、「フードデリバリー事業が失敗して従業員が0になっても、成功を追い続ける」「多くの企業が複数のメディアに分散して動画を配信するなか、自社メディア・アプリの成長のみに注力する」などです。いずれも自分の判断軸に従い行動した結果、事業の成功につながりました。

起業後、事業の方向性や進行スピードはすべて自分の舵取り次第です。他者の意見に流されていては、いつまでも自分のビジョンを実現できません。

もちろん、周りの意見に耳を傾けることは重要ですが、最後は必ず自分の判断軸で物事を決定していくことが大切です。

まとめ

本記事では、堀江裕介氏の成功エピソードを紹介しました。

一見、成功ばかりにも思いますが、多くの失敗も経験しています。ただ、失敗後もすぐに立ち上がり、自分のビジョンを実現するために行動して成功に至りました。

堀江氏から学べる成功のための2ヶ条は、以下のとおりです。

  • 大きな夢を描いて行動に移す
  • 自分・自社の軸を持つ

堀江氏のような成功を目指す方は、ぜひ上記を押さえて新しいことにチャレンジしてみてください。 

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

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この記事の監修者

株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑

株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役

2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。

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