高校生でも起業できる!事業の始め方や注意点を解説

[投稿日]2024年02月28日 / [最終更新日]2024年07月09日

高校生でも起業できる!事業の始め方や注意点を解説

起業とは新しく事業を起こすことであり、つまり自分の力でビジネスを始めることです。社会人では起業は珍しいことではありませんが、高校生でも起業できるのでしょうか。

答えは「できます」

この記事では、高校生でも起業できる理由を紹介したうえで、高校生起業家の強みや、起業するときの注意点などを解説します。また、起業しないほうが良い高校生のタイプもあわせて紹介します。

起業とは何か、高校生起業家とは何か

そもそも起業とはどのような経済活動なのか、そして、高校生起業家とはどのような存在なのか、について解説します。

事業を起こして利益を得る

起業とは事業を起こして事業を行い、利益を得ることです。利益を得る方法には、企業などに雇用されて働く労働もありますが、労働は事業を起こしていないので起業ではありません。

起業でもうひとつ重要なことは利益を得ることです。ここでいう利益とは、ほとんどお金のことです。事業である以上、ビジネスである以上、利益を上げることが最終目標のひとつになります。

事業者になること

どのような事業でも、起こせば起業になるのかというとそうではありません。社会的、経済的に「起業している」と認知されるには、個人事業主になったり会社を設立したりする必要があります。つまり、起業では事業者になることが求められます。

高校生が起業家になるのは、珍しいことでありすごいこと

起業するのは大抵は大人、つまり社会人です。したがって高校生起業家は珍しい存在であり、ときにすごい存在になります。珍しいこととすごいことは異なります。

高校生が起業することは珍しいことですが、残念ながら「起業しただけ」で終わってしまうこともあります。高校生は学業に専念しなければなりませんし、事業経験はおろか労働経験もないので、起業に成功する確率は高くありません。

したがって起業したものの失敗して、つまり利益を上げることができず廃業することもあります。そのため、高校生起業家が利益を上げて事業を軌道に乗せたら、すごいことといわれるわけです。

「高校生でも起業できる」とする根拠

冒頭で高校生でも起業できると紹介しましたが、その根拠は次のとおりです。

  • 会社法で年齢制限がないため

以下で、詳しく解説します。

会社法で年齢制限がないため

個人事業主とは個人で事業を行っている人のことです。個人事業主になるには、税務署に開業届を提出する必要がありますが、これには年齢制限がありません。したがって高校生でも個人事業主になることができます。

会社の設立に関するルールは会社法で定められていますが、ここにも年齢に関する項目はありません。たとえば会社法第331条は、取締役の資格を提示していますが、年齢については言及されていません。そのため、会社法によると何歳でも会社を設立できます。

ただし会社の設立には印鑑証明書が必要となり、15歳未満では、印鑑証明書の発行に必要になる印鑑登録ができません。したがって会社は事実上、15歳以上でないと設立は不可能です。15歳以上であれば中学生でも高校生でも会社を設立できます。

高校生起業家の強み

高校生起業家は、社会人起業家より一般的に不利といえるでしょう。なぜなら高校生より社会人のほうが一般的に社会、経済、ビジネスなどについてよく知っているからです。

しかしこれは一般的な話であり、例外的に高校生起業家が有利になることがあります。それは高校生ならではの強みを発揮できたときです。

高校生ならではの創造性

高校生起業家の強みは創造性と柔軟性です。先に創造性から解説します。

高校生にとって世の中の多くの事象は新鮮に映るでしょう。新鮮な視点やアプローチは、社会人では思いつかない発想を生みます。また新鮮な視点を持っているからこそ得られる気づきがあり、これも事業の種になるでしょう。

また高校生は、社会人たちが持つ思考パターンを持っていないことが多いので、自由に思考して事業を考えることができます。発想、気づき、自由な思考は創造につながります。

高校生ならではの柔軟性

高校生は感受性が強い傾向があるので、世の中の動きを敏感に察知できます。さらに、察知した世の中の動きに対して素早くアクションを取ることができます。柔軟に動けることは事業では有利です。

また、失敗を恐れず挑戦できることも高校生起業家の強みといえるでしょう。高校生による事業は規模が小さいものが想定されるため、失敗したときの損失が少なく、大胆に行動できます。

また高校生なら事業に失敗したとき、すぐにギブアップできます。失敗したあとの状況に柔軟に対応できることも事業に有利です。

高校生起業家に向いている事業

高校生起業家に向いている事業は次のとおりです。

  • インターネットを使う事業
  • 今の自分と関係する事業
  • 投資額が小さい事業
  • 高額な設備や機械が要らない事業
  • 高いスキルや豊富な経験が要らない事業
  • 長時間の稼働が要らない事業

ここではインターネットを使う事業と、今の自分と関係する事業に注目してみます。

インターネット関連事業は低コストかつ挑戦しやすい

インターネット関連事業が高校生起業家に向いているのは、インターネットが低コストで使える一方、できることが多く、さまざまなことに挑戦できるからです。

もし高校生起業家がホームページを制作するスキルを持っていたら、ホームページ制作会社を立ち上げられるかもしれません。もし高校生起業家がプログラミングを得意にしていれば、アプリを作ってそれを販売できるかもしれません。

インターネット関連事業は、インターネット経由で販売や代金の回収ができるので、販売ルートを構築する必要はありませんし、代金回収業務を大幅に縮小できます。たとえば、イラストを描くことができる高校生なら、そのイラストをデジタルデータにしてインターネット経由で販売すれば、それほどお金をかけずに事業化できるでしょう。

参考サイト:【テックジム】自習型・定額制の格安プログラミングスクール

今の自分に関係したものはアイデアが浮かびやすい

今の自分に関係したものなら、さまざまなビジネス・アイデアが浮かんでくるはずです。たとえば手芸が好きな高校生なら、「もっとこういう手芸があれば売れるのに」とか、「こんなところで手芸ができたら良いのに」といったことを思いつくでしょう。

高校生が喜ぶものでも、大抵は大人が作っているので、どうしても高校生のニーズを掴みきれない部分が出てきてしまいます。その点、高校生が高校生目線で高校生向けのものを作れば、高校生が喜ぶものを作れるはずです。事業はアイデア勝負なので、発想が膨らむ、今の自分に関係したもので起業してみてはいかがでしょうか。

高校生が起業するときに必要な準備

高校生が起業するときは、次のような準備が必要になります。

  • 時間を作る
  • 事業計画を練る
  • 資金を集める
  • 仲間を集める(必要であれば)
  • 事業の準備をする
  • 事業者になる
  • 経理と税金の知識を身につける

事業の準備以外にも多くの準備があることがわかります。

時間を作る

高校生の本分は、たとえ起業家であっても学業や高校生活です。事業は学業以外の時間を使って行うことになります。

しかし起業の準備にも事業の実施にも多くの時間が必要になるので、時間作りはとても重要になってきます。

事業計画を練る

事業は、投資をして事業をして利益を得る、という過程を経ます。「投資をして」の段階と「事業をして」の段階は、お金が出ていくだけで入ってきません。つまり、お金を失っている状態になります。「利益を得る」ことで初めて投資したお金を回収でき、さらに別のお金を手にすることができます。

この過程(投資をして事業をして利益を得る)が実現可能かどうかを判断するのが、事業計画です。事業計画に無理があれば、その事業は失敗する可能性が高いでしょう。「その事業はしない」または「事業計画を見直す」という行動が必要になります。

資金を集める

事業計画に無理がなく、多くの人から利益が出る可能性が高いと評価してもらえたら、次は投資に必要な資金を集めます。高校生起業家の事業は小さく始めたほうが良いので、多額の資金は必要ないでしょう。

高校生起業家に小さな事業を勧める理由はあとで解説します。高校生であれば、お小遣いやアルバイトで貯めたお金を資金にしても良いですし、親から借りても良いかもしれません。

仲間を集める(必要であれば)

ひとりで事業を行うときは仲間は必要ありませんが、人手が必要な事業を行うときは仲間が必要です。

社会人起業家の場合、「仲間」は経営陣(一緒に経営する人)や従業員(労働者)になります。したがって高校生起業家も事業規模を拡大するときは、お友達レベルの仲間ではなく、経営陣や従業員が必要になることもあります。

事業の準備をする

資金と仲間を確保できたら、事業の準備に入ることができます。インターネット関連事業を行うのであれば、資金を使ってインターネット環境を整備したり、パソコンを購入したりします。

自宅で事業を行う場合なら場所代はかかりませんが、自宅が使えない場合は事務所を借りるお金が必要です。

経理と税金の知識を身につける

事業を行って利益が出たら税金を納めなければなりません。そのため高校生起業家は、事前準備として経理業務と税金業務の知識を身につける必要があります。

経理も税金の納付も他者に依頼することはできますが、それでも起業家である以上、基本的な経理・税金の知識は必要です。

事業者になる

事業の準備と並行して、事業者になる手続きをします。個人事業主になる場合は、税務署に開業届を出します。会社を設立するときは、登記、定款、銀行口座、印鑑登録などの手続きが必要です。

高校生が起業するときの注意点

高校生が起業するときに注意しなければならないのは次の3点です。

  • リスクを見込み、リスクヘッジする
  • 事業は小さく始める
  • だまされないようにする

ひとつずつ解説します。

リスクを見込み、リスクヘッジする

事業に絶対はなく、必ず成功するわけではありません。失敗する確率がゼロではないことを、「リスクがある」といいます。

事業を始める際は、その事業にどの程度のリスクがあるのか見込みを立てます。たとえば、10万円で、自分が描いたイラストを販売する事業を始めるとしましょう。10万円で、イラストを描く器具を購入し、イラスト販売サイトを作れたとします。この場合の事業の失敗リスクは、10万円と見込まれるでしょう。

リスクを見込んだら、リスクが現実のものになったとき(事業が失敗したとき)に備えます。それをリスクヘッジ(危険回避)といいます。10万円で事業を行う場合、そのうち7万円を自分の預貯金から出し、3万円を親から借りることにしたとします。事業に失敗したら、自分の7万円が消えるだけでなく、親に3万円返済しなければなりません。

そこで事前に親と「事業が失敗しても借りた3万円を返さない代わりに、事業に成功したら3万円を返済したうえで、さらに1,000円支払う」と約束します。この約束があれば事業に失敗しても自分の7万円がなくなるだけで、借金は残りません。

このような約束をしていれば、自分の7万円はリスクヘッジできませんが、親から借りる3万円分はリスクヘッジできます。

事業は小さく始める

高校生起業家の事業は失敗するリスクが高いので、規模が小さい事業から始めましょう。小さい事業から始めることもリスクヘッジになります。実は社会人の起業でも小さな事業から始めることは鉄則です。

では高校生起業家がいきなり大きな事業を始めたらどうなってしまうのでしょうか。失敗したときのダメージが大きくなり、「もう起業はしない」と思ってしまうかもしれません。小さな事業であれば失敗したときのダメージも小さく、再起を図ることができます。

だまされないようにする

高校生といえども起業家になって事業を始めれば、ビジネスや経済活動に加わることになります。ビジネスや経済活動には大きなお金が動くので、悪意ある者や、ときに犯罪目的の者も関わってきます。

経済犯罪に巻き込まれるリスクは、高校生起業家も社会人起業家も同じです。したがって高校生起業家も、社会人起業家や既存の企業並みに警戒する必要があります。

さらにいえば、悪意ある者たちは「高校生ならだましやすい」と考えるかもしれません。つまり経済犯罪に巻き込まれるリスクは高校生起業家のほうが高いとはいえ、より強い警戒が必要になります。

中学生起業の事例|株式会社SOSを紹介

大阪市の広告業、株式会社SOSは、想空(そそら)さんが2020年に15歳のときに設立した会社です。株式会社SOSは高校生起業どころか中学生起業です。

株式会社SOSが行っている事業は、子供が普段使うものに、企業の社名やロゴ、QRコードなどを印刷して子供に無償で配布する、という内容です。株式会社SOSではこの広告事業を使用型配布広告と名づけています。

「想空」は仮名で、20歳になるまで本名を明かさないと両親と約束したそうです。株式会社SOSの資本金300万円は全額、想空さんが調達しました。株式会社SOSの企業理念(わたしたちの想い)はこのようになっています。

■わたしたちの想い

  • コドモへの想い:コドモには無償で勉強道具やおもちゃを贈ります。
  • オトナへの想い:オトナが進める製品やサービス、会社などを広めます。
  • シャカイへの想い:未來を本当に良くしたい。お手伝いして下さい。

引用元:SOSとは | 株式会社SOS

想空さんは10歳のころ、アメリカの大富豪が子供のための慈善団体に多額の寄付をしたニュースを知り、「私も子供のために何かやりたい」と思いました。これが原体験となり、会社が作れる年齢(印鑑登録ができる年齢)の15歳になって株式会社SOSを設立しました。想空さんは、子供の声が大人に届いていないと思い、届けるには起業しかない、と考えたそうです。

起業しないほうが良い高校生

ここまで高校生の起業をポジティブに紹介してきましたが、最後に起業しないほうが良いタイプの高校生について解説します。

強い想いがない

事業を起こすことに強い想いがない高校生は起業しないほうが良いでしょう。高校生による起業は難易度が高いので、成功するには最低でも強い想いが必要です。

「なぜ起業したいのか」と聞かれて、明確に答えることができないうちは起業を延期しましょう。

起業の重さを理解できない

起業することの意味が持つ重さを理解できない高校生も、起業しないほうが良いでしょう。起業したらビジネスパーソンになり、社会人のビジネスパーソンと同じ土俵の上で競争することになります。起業家には「高校生だから」という甘えが許されません。利益を上げなければなりませんし、事業を継続しなければなりません。

そしてお金を儲けることができたら税金を納める必要があります。ゲーム感覚での起業、遊び感覚での起業、アルバイト感覚での起業は避けたほうが良いでしょう。

ビジネスの勉強をしない

ビジネスの勉強をしない高校生や、ビジネスの勉強をしたくない高校生は起業に向いていません。ビジネスの勉強には、事業の勉強以外に、経理の勉強、税金の勉強、経済の勉強、行政の勉強、法律の勉強などが含まれます。もちろん専門家レベルの知識は必要ありませんが、基本的なことは押さえておく必要があります。

ビジネスの勉強をしないと「販売する」ことも「代金をいただくこと」もできないので、ビジネスになりません。

リスクを取れない

リスクを取れない高校生は起業しないほうが良いでしょう。「リスクを取る」とは、リスク(失敗する可能性)が現実のものになったとき(実際に失敗してしまったとき)に生じる責任を取ることにほかなりません。

たとえば高校生が、商品を客に販売する事業を始めたところ、失敗して事業を終わらせることになったとします。このとき、代金を支払っているのに商品を受け取っていない客がいて、なおかつ、代金も返還できない状況に陥っていたら責任を取れていません。その状態では客に訴えられてしまうかもしれません。起業は、リスクを取れる範囲に留めておきましょう。

起業以外の方法がある

強い想いやかなえたい夢があっても、起業以外の方法でそれを実現できるのであれば、その方法を採用したほうが良いでしょう。

たとえば高校生が「お金を稼ぎたい」と強く想っているものの、そのほかの想いがないのなら、起業するよりアルバイトのほうが良いかもしれません。もちろんアルバイトも未成年のうちは保護者の許可などが必要ですが、アルバイトには起業のようなリスクがないので、起業より確実にお金を稼げます。

高校生の本分を犠牲にする

高校生の本分を犠牲にしてしまうような起業はしないほうが良いでしょう。高校生の本分とは、勉強したり、友達を作ったり、友達と遊んだり、部活をしたり、進路を決めたりすることです。起業して事業に忙しくなって高校生の本分が犠牲になってしまったら、たとえ事業がうまくいっても将来、後悔することになりかねません。

ただ、「この事業を一生続ける」といったような強い想いがある場合は話が違ってきます。高校生で起業した事業が大きくなって、それが社会貢献につながり、利益もたくさん出て、一生仕事にできる可能性もあります。

高校生が起業を思い立ったら、親をはじめとする周りの大人に相談することをおすすめします。

まとめ

この記事の内容を箇条書きでまとめます。

  • 高校生でも起業できる
  • 高校生起業家の強みは創造性と柔軟性
  • 高校生に向いている事業は、インターネット関連や、自分に関係したものなど
  • 起業は準備が大切
  • リスクを取れるかどうか確認を
  • 強い想いがなければ起業は見送ったほうが良いのでは

高校生による起業は無限の可能性を秘めているといえますが、高校生であっても厳しいビジネスの世界で戦うことが求められます。「甘くはない」という覚悟が必要になるでしょう。

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1

月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。

https://virtualoffice1.jp/

この記事の監修者

株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑

株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役

2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。

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