起業を考えている方は、「ビジネスプランコンテスト」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?ビジネスプランコンテストは、全国で開催されており起業時に役立つイベントのひとつです。
本記事では、ビジネスプランコンテストに参加するメリット・デメリットを紹介しています。また参加に向けて起業アイデアの見つけ方も紹介していますので、ビジネスプランコンテストに参加するか検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ビジネスプランコンテストとは?
ビジネスプランコンテストとは、ビジネスプランを評価し競い合うコンテストです。ビジネスプランコンテストは、社内だけで行われるコンテストと一般公開で行われるコンテストの2種類があります。社内で行われるコンテストは、もちろんその企業の従業員のみが参加できます。
一般公開されているコンテストは、個人・法人・学生が参加できるもの、年齢制限があるもの、誰でも参加できるものなどがあり、さまざまです。
ビジネスプランコンテストでは、ビジネスプランやビジネスアイデアをプレゼンテーションし、新規性・革新性・実現性・発展可能性といった観点から総合的に評価し、優劣を決めていきます。一般的には「書類審査」「面接審査」「プレゼンテーション審査」の3つのプロセスで審査することが多いです。
企業経営や起業においての実績のある審査員が公平に審査するため、参加者にとって良い刺激になります。入賞すれば賞金や特典をもらえるうえに、ビジネスプランのブラッシュアップにもなるでしょう。
ビジネスプランコンテストに参加するメリット
ビジネスプランコンテストに参加するメリットを見ていきましょう。
①事業計画書を評価してもらえる
ビジネスプランコンテストに参加すると、事業計画書を評価(ブラッシュアップ)してもらえます。
起業する際には事業計画書が必須です。自分自身でアイデアを見直すことでも事業計画書を磨き上げることは可能ですが、自分では気づかないミスや課題もあります。そこで、ビジネスプランコンテストに参加すると、審査員(第三者)から評価をしてもらえるため、自分の事業計画書をブラッシュアップすることが可能です。
審査員からフィードバックやアドバイスをもらうことで、自分だけでは補えない箇所までブラッシュアップできるでしょう。
②ビジネスの人脈が広がる
ビジネスプランコンテストは同じ目的を持った人が集まる場所なので、人脈を広げるには大いに役立つ場所です。参加者だけでなく、審査員、協賛企業の担当者、主催者など、さまざまな人と交流を深められます。
ビジネスプランコンテストを活用し、人脈を広げれば起業に関する情報やノウハウなどを共有でき、自分の成長に役立てられます。また、普段何もしていなければ、出会うことのない人たちと出会える絶好の機会です。
ビジネスプランコンテストに参加し人脈を広げれば、相談相手やビジネスチャンスを見つけるきっかけにもなるでしょう。
③入賞すると起業資金が手に入る
ビジネスプランコンテストで入賞すれば、賞金や特典が手に入れられるのも大きなメリットです。たとえば、「TOKYO STARTUP GATEWAY 2023」というコンテストでは、最優秀者(1名)300万円、優秀者(2名)150万円、ファイナリスト賞(7名)30万円の賞金が提供されます。コンテストによって賞金や特典は異なりますが、入賞し賞金を手に入れることができれば起業資金として活用することが可能です。
ただし、入賞し賞金を手に入れられるのは一部の参加者です。起業資金目的に参加するとモチベーションの低下につながる恐れがあります。あくまで賞金は付加価値としてとらえ、他のメリットのために参加しましょう。
④広報活動にもなる
ビジネスプランコンテストは自分のビジネスプランを発表する場なので、参加者や審査員、協賛企業などに自分の名前をアピールできます。入賞すれば効果的にアピールできますが、入賞していなくても印象に残すことができれば、ビジネスチャンスが生まれるきっかけとなるでしょう。
ビジネスプランコンテストは無料で参加できるため、コストをかけずに広報活動ができることはメリットのひとつです。
ビジネスプランコンテストに参加するデメリット
次に、ビジネスプランコンテストに参加するデメリットを見ていきましょう。
①ビジネスアイデアを盗まれる可能性がある
ビジネスプランコンテストに発表するビジネスアイデアは、まだ世間に公表していないものばかりです。そのため、場合によってはビジネスアイデアを盗まれる可能性があります。もちろん必ず盗まれるわけではありませんが、万が一に備えて対策を行っておくことが重要です。
対策として有効なのは、事前に特許申請を出しておくことです。特許申請を出さない場合は、どこまで自分のアイデアを公開するか事前にまとめておくことをおすすめします。
②参加準備に時間がかかる
ビジネスプランコンテストでアイデアを発表するには、クオリティの高いプレゼンテーションを行うことがポイントです。もちろんクオリティを上げれば上げるほど、準備に時間と労力を要することになります。資料作成のほか、メンターとの面談にも時間がかかるため、時間に余裕がなければなりません。
③入賞しても起業に成功するとは限らない
ビジネスプランコンテストに入賞すれば、必ずしも起業に成功するわけではありません。もちろん入賞すれば、起業資金も手に入り、注目されやすくなることで起業が成功しやすくなります。しかし「入賞=起業成功」と高望みをしていると、現実とのギャップによりモチベーションが下がる可能性もあるので気を付けましょう。
ビジネスプランコンテストを終えた後の行動は、自分次第です。コンテストの入賞をゴールにするのではなく、起業を成功させるためにどうすれば良いか考えて行動していきましょう。
起業時におすすめのビジネスプランコンテスト
ビジネスプランコンテストは全国各地で開催されています。そのなかでも、定期的に開催され知名度の高いビジネスプランコンテストを5つ厳選しましたので、見ていきましょう。
Japan Venture Awards
Japan Venture Awardsは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が主催しているコンテストです。このコンテストは、革新的で潜在成長力のある事業や、社会的課題の解決に取り組む事業など志の高いベンチャー企業の経営者を対象としています。
2000年以来、344名のベンチャー経営者等が受賞し「経済産業大臣賞」、「SDGs特別賞」、「地域貢献特別賞」、「ベンチャーキャピタリスト奨励賞」など、合計9種類の表彰部門があります。
第22回JVAでは、40代(38%)、30代(26%)、50代(17%)の年齢層が多く参加していますが、20代、60代の参加もあり、幅広い年代が参加しています。
日経ソーシャルビジネスコンテスト
日経ソーシャルビジネスコンテストは、日本経済新聞社が主催しているコンテストです。このコンテストは、持続可能な社会の実現や、社会課題解決に向けてチャレンジする人を応援しています。第7回(2023年)のコンテストテーマは「SDGsに定められた17の開発目標を意識したソーシャルビジネス」です。
第7回目のコンテストでは、大賞(100万円)、優秀賞(50万円)、学生部門賞(10万円)の賞金が用意されており、3ヶ月間のブラッシュアップミーティングも設けられています。
TOKYO STARTUP GATEWAY
TOKYO STARTUP GATEWAYは、NPO法人エティック(ETIC.)が主催しているコンテストです。このコンテストは、分野を超えて「世界」を変える若い起業家の輩出を後押しする、ブラッシュアップ型コンテストです。400文字のアイデアでエントリーでき、起業家やベンチャーキャピタリストなどの強力な支援体制があるため、参加しやすくなっています。
賞金は、最優秀者(1名)300万円、優秀者(2名)150万円、ファイナリスト賞(7名)30万円が用意されています。またセミファイナリスト以上には、協賛会社からの支援が提供されるほか、翌々年度までに都内で法人設立すれば東京都から活動資金として100万円が提供されるなど、手厚いサポートが魅力的です。
ASIAN ENTREPRENEURSHIP AWARD
ASIAN ENTREPRENEURSHIP AWARD(AEA)は、アジア・アントレプレナーシップ・アワード運営委員会が主催しているコンテストです。
AEAは、成長の著しいアジアからチャレンジする若き起業家を呼び込み、アジアのイノベーション創造におけるエコシステム(生態系)構築を目指しているコンテストです。そのため、日本の企業だけでなく、海外の企業も多く参加しています。
個人で参加することはできず、スタートアップ企業のみ参加できます。参加条件がいくつかあり、公用語が英語なので参加のハードルは高いといえるでしょう。
優勝(300万円)、準優勝(100万円)、第3位(50万円)の賞金のほかにも、マイクロソフト賞、富士通アクセラレーター賞、日本ベンチャー学会賞など、さまざまな表彰部門が用意されています。サポート体制としては魅力的なビジネスプランコンテストです。
EO GSEA
EO GSEAは、一般社団法人 EO ALL KANSAI GSEA委員会が主催しているコンテストです。このコンテストは、世界中の学生が集結し、起業に関するアイデアや自身の手がけた事業を競い合う学生向けのコンテストです。
日本の大会で優勝すれば100万円の優勝賞金のほかに世界大会への出場権を獲得できます。世界大会の賞金は、1位に50,000米ドル(※約739万円)・2位に20,000米ドル(※約295万円)・3位に10,000米ドル(※約147万円)です。(2024年1月時点での為替レートを参考に計算)
優勝すれば海外での交流も深められるため、活躍次第ではグローバルに活動することも可能です。
ビジネスプランコンテストの開催情報を知るには
ビジネスプランコンテストは、全国各地で開催されており、開催期間がさまざまです。申込期限に遅れないためにも開催情報を収集しておきましょう。ビジネスプランコンテストの開催情報は、「J‐Net21」という中小機構が取り扱っているサイトから検索できます。
「J‐Net21」のページにアクセスし、「種類」から「ビジネスプラン、アイデア等の募集」を選択すれば、ビジネスプランコンテストの開催情報を見ることができます。
ビジネスプランコンテストに参加に向けて起業アイデアを見つける方法
ビジネスプランコンテストに参加するためには、起業アイデアが必要です。しかし、起業アイデアがなかなか見つからない人やどう見つければいいかわからない人は多いのではないでしょうか。そこで、起業アイデアを見つける方法を4つ紹介します。
①質よりも量を意識する
いきなりクオリティの高いアイデアを見つけるのではなく、まずは質よりも量を優先してアイデアを見つけることを意識しましょう。頭に浮かんだアイデアは忘れないために、すぐにノートやスマホに書き留めておくことが大切です。
量を優先するため、ひとつのアイデアについては深く考える必要はありません。あくまで最初は、多くのアイデアを作り出すことを優先しましょう。そのため、1日5分~15分間、アイデアを考える時間を設けノートに書き留めるなど、少しの時間でもアイデアを考える時間を設けることをおすすめします。
②不便・面倒と感じた実体験を活かす
日常生活のなかで不便・面倒と感じるサービスや商品を解消できるアイデアを思いつけば、起業のチャンスです。あなたが感じている不便さは、他の人も同じ悩みを抱えていることが多いはず。まずは日常生活を振り返り、不便・面倒と感じた出来事がないか考えましょう。
自分の実体験をもとに考えても思い浮かばないときは、他の人の実体験を活かしても問題ありません。家族や友達に聞いたり、SNSで検索してみたりするのもひとつの手です。何かに不便・面倒と感じている人は、世の中に大勢います。その人たちが抱えている悩みを解消することが起業への第一歩です。
③アイデアにつながりそうな情報を集める
先ほども少し述べましたが、自分自身の情報だけでアイデアが思い浮かばないときは、アイデアにつながりそうな情報を集めることが大切です。家族や友達など身近な人に聞いても良いですし、SNSなどで情報収集しても良いでしょう。
InstagramやX(旧Twitter)などはトレンドに敏感であるため、情報収集にはうってつけです。自分の気になる情報や最新情報などを調べているうちに、起業アイデアでつながるものが見つかるかもしれません。
また同じ起業を目指している人と交流を深め、相談してみても良いでしょう。誰かと話すことで自分では見逃していたことに気が付くこともあり、良い刺激になります。
④すでにあるアイデアを自分なりに改良する
0から1を生み出すのが難しい場合は、すでにあるアイデアをさらに改良することで起業アイデアとして活用できます。たとえば、先端の丸い白の綿棒をさらに取りやすくするにはどうすれば良いか考えた結果、黒いデコボコの綿棒が生まれました。
意識せずに商品を見てしまうと完成された状態に見えてしまいますが、商品はまだ「未完成」の状態だと考えれば改良点に気がつくかもしれません。日常生活で使っている身近な商品は、より多くの人が利用しているので、そういった商品をプラスに改良できれば多くの人から共感を得られるでしょう。
まとめ
ビジネスプランコンテストは起業家にとってプラスになるコンテストです。起業資金を獲得したり、事業計画書をブラッシュアップしたり、起業仲間と交流を深めたりなど、メリットがたくさんあります。起業に関するイベントに参加するだけでも自分にとって良い刺激になることが多いためおすすめです。
ビジネスプランコンテストに参加しなくても、コンテストの様子を視聴することもできます。本記事で紹介したJapan Venture Awardsや日経ソーシャルビジネスコンテストといったコンテストを見るだけでも構いません。起業を考えている人は、ぜひビジネスプランコンテストの参加も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
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