※本ページにはプロモーションが含まれています
振込手数料は、法人口座のコストの大半を占める要素です。将来的に事業が成長し、振込件数が増加すれば、振込手数料の負担も大きくなります。
こうした背景から、「法人口座の振込手数料がかからない方法はないか?」と疑問に思うでしょう。
本記事では、法人口座の振込手数料がかからない方法を紹介します。また、振込手数料を削減するアイデアもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
法人口座では振込手数料が負担になりやすい
法人口座では、振込手数料が大きな負担になりやすいです。個人口座よりも振込手数料が高く設定されているのも一要因ですが、それ以上に、法人は月々の振込件数が多い傾向にあります。
たとえば、従業員への給与や仕入れ先、外注先への支払いは、毎月発生します。関係者が多ければ、その分振込手数料の負担も大きくなるため注意が必要です。
仮に、1件あたりの振込手数料が600円で、月に50件の振込をした場合、月々のコストは30,000円です。1年間で換算すると、360,000円もの振込手数料がかかります。
資金移動にこれほど多くのコストをかけるのは、非常にもったいないでしょう。事業資金をより効率良く運用するためにも、法人口座の振込手数料を見直すことが重要です。
振込手数料の負担義務はどちらにある?
振込手数料を削減する際にまず考えるのは、取引先や従業員への振込金額から控除することではないでしょうか?ここでは、取引先・従業員別に、そもそもどちらが手数料負担をしなければならないのかを解説します。
取引先への振込:当方負担が原則
「お金を受け取る側」と「お金を振り込む側」のどちらが振込手数料を負担するかによって、「先方負担」「当方負担」と呼び方が異なります。それぞれの違いは以下のとおりです。
- 先方負担:請求書を発行する側(お金を受け取る側)が振込手数料を負担
- 当方負担:請求書を受け取る側(お金を支払う側)が振込手数料を負担
ビジネスシーンでは先方負担・当方負担の両方を目にしますが、民法上は「持参債務の原則」により、当方負担が原則とされています。そのため、請求書を発行する側に手数料の負担を求めることは少なく、多くの場合、請求書を受け取る側がすべての手数料を負担しています。
ただし、これはあくまでも原則であり、双方で事前に契約や合意がなされた場合は、先方負担にすることも可能です。法人口座では、振込手数料が負担になりやすいため、コスト削減の観点ではできるかぎり先方負担にするのがおすすめです。
しかし、相手側にとってはコスト負担が増えるため、抵抗感を頂かれる可能性があります。相手との関係を保ちながら、慎重に決定してみてください。
従業員への振込:会社負担が原則
従業員への振り込みについては、会社負担にするのが原則です。手数料分を控除した金額を振り込むと、労働基準法違反になる可能性があります。
上記の根拠になる規制は、労働基準法の「賃金支払5原則」のひとつ、「全額払いの原則」です。ただし例外として、労働者との合意のもと、賃金控除協定を結べば、別途で控除ができるとしています。
いずれにせよ、実務上は会社負担にするのが一般的です。従業員負担にすると、法に反する可能性が高いので、できるだけ避けましょう。
法人口座の振込手数料がかからない方法はある?
法人口座の振込手数料を削減したり、一定の間だけ無料にしたりする方法はありますが、常時、振込手数料がかからない方法は存在しません。振込手数料は銀行にとっての主要な収入源のため、完全に無料とはしづらいのです。
コスト削減を目指すには、振込手数料の構造を理解して、適切な方法をとる必要があります。振込手数料は、以下の計算式で求められます。
振込手数料=「振込単価」×「振込件数」
つまり、「振込単価」と「振込件数」のいずれかまたは、両方を抑えられれば、コストを削減できます。次章以降で、その具体的な方法を紹介していきます。
個人口座を使って無料にする方法もある
振込手数料がかからない方法として、個人口座の利用が挙げられます。一部の銀行では、「月◯回まで振込手数料が無料」のようなプログラムを用意しているため、規定回数までは無料で振込めます。
ここで疑問に思うのが、「法人が個人口座を利用できるかどうか」でしょう。法律上、法人が個人口座を利用することに問題はありません。実際、起業直後で法人口座を開設できていない時期に、個人口座を利用するケースがあります。
ただし、法人による個人口座の利用には以下のデメリットもあるため、あまりこの方法を推奨できません。
- 取引先や顧客からの信用リスクに関わる
- 事業用・私用の入出金が混在すると、会計処理に手間がかかったり、税務調査で不信感を抱かれたりする恐れがある
- 銀行の利用規約で、法人による個人用口座の利用を禁止している場合がある
法人口座の振込手数料が一定の間かからないようにする方法
ここでは、法人口座の振込手数料が一定の間かからないようにする方法を2つ紹介します。具体的には、下記2つの方法です。
- 法人口座の口座開設キャンペーンを活用する
- 口座の利用状況に応じた、プログラム・制度を活用する
口座開設キャンペーンを活用する
一部の銀行では、一定の期間・回数だけ振込手数料を無料にする法人口座の開設キャンペーンを実施しています。実施している銀行とその概要を、下記にまとめています。
銀行名 | キャンペーン内容 |
GMOあおぞらネット銀行 | 口座開設月の翌々月まで、他行宛振込手数料が月20回無料 ※設立1年未満の法人は、設立月から12ヶ月間が無料の対象 |
住信SBIネット銀行 | 口座開設月の翌月まで、振込手数料が月10回無料 |
PayPay銀行 | 口座開設月の翌々月まで、※振込手数料が月10回無料 ※他行宛:5回/月 同行宛:5回/月 |
特に創業期の法人におすすめなのが、GMOあおぞらネット銀行が開催する法人口座の開設キャンペーンです。通常、対象期間が口座開設月〜翌々月までのところ、設立1年未満の法人なら設立月から12ヶ月間が無料の対象です。
一般的に、設立1年目は事業が安定しづらいとされる期間のため、手厚くサポートしてもらえる点は大きなメリットでしょう。
利用状況に応じた口座のプログラム・制度を活用する
前述の口座開設キャンペーンとは別に、法人口座の利用状況に応じた口座のプログラム・制度を提供する銀行も存在します。具体的には下記のとおりです。
銀行名 | プログラム・制度の対象 | プログラム・制度の特典 |
PayPay銀行 | 前月の預金平均残高が3,000万円以上 | 同行・他行宛振込手数料が月5回まで無料 |
PayPay銀行では、預金平均残高が3,000万円以上の場合に、同行・他行宛振込手数料が無料になるプログラムを実施しています。規定金額が高いだけにハードルは高めですが、振込手数料を抑えたい会社におすすめです。
法人口座の振込手数料を削減する6つのアイデア
ここでは、法人口座の振込手数料を削減する下記6つのアイデアを紹介します。実施できそうなものは、ぜひ取り入れてみてください。
- ネット銀行を活用する
- インターネットバンキングを使って振り込む
- 振込代行サービスを利用する
- 従業員に同じ銀行を開設してもらう
- 銀行と値下げ交渉をする
- パーチェシングカードを導入する
ネット銀行を活用する
法人口座の振込手数料を削減するには、ネット銀行の活用がおすすめです。ネット銀行とは、支店や店舗を持たず、インターネット上での取引に特化した銀行形態のことです。
三菱UFJ銀行やみずほ銀行などの店舗型銀行に比べて振込手数料が安く、コスト削減に適しています。下記では、ネット銀行と店舗型銀行の振込手数料の相場を比較しています。
振込手数料の目安(1件あたり) | |||
銀行形態 | 【同行同一支店宛】 | 【同行本支店宛】 | 【他行宛】 |
ネット銀行 | 0〜50円 | 0〜50円 | 140〜230円 |
店舗型銀行 | ・3万円未満:0〜110円 ・3万円以上:0〜330円 | ・3万円未満:110〜330円 ・3万円以上:330〜440円 | ・3万円未満:160〜490円 ・3万円以上:330〜660円 |
取引金額によっても異なりますが、ネット銀行を利用することで振込手数料を約半額以上削減できます。たとえば、他行宛に3万円未満の振込を50回した場合の振込手数料を比較すると、下記のとおりです。
- ネット銀行:7,000〜11,500円
- 店舗型銀行:16,500〜33,000円
振込手数料を削減したい方は、ネット銀行の法人口座を開設すると良いでしょう。
おすすめのネット銀行
下記では、振込手数料が安いおすすめのネット銀行をまとめています。
口座維持手数料 | 振込手数料(同行宛) | 他行宛 | 給与・賞与振込への対応 | |
GMOあおぞらネット銀行 | 無料 | 無料 | 145円 ※129円 ※振込料金とくとく会員 | × |
住信SBIネット銀行 | 無料 | 無料 | 145円 ※130〜145円 ※振込優遇プログラム | × |
楽天銀行 | 無料 | 52円 | 3万円未満:150円 3万円以上:229円 | ◯ |
PayPay銀行 | 無料 | 通常:55円 ※月5回まで0円 ※預金平均残高3,000万円以上 | 通常:160円 ※月5回まで0円 ※預金平均残高3,000万円以上 | × |
振込手数料が特に安価に設定されているのは、GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行です。この2行では同行宛の振込が無料で、他行宛も取引金額にかかわらず一律145円と安めに設定されています。
また、それぞれ以下の割引プログラムも用意しているため、振込手数料を削減しやすいでしょう。
銀行名 | 割引プログラム |
GMOあおぞらネット銀行 | 月額500円で「振込料金とくとく会員」に加入すると、以下特典が受けられる ・他行宛振込手数料が一律129円(回数制限なし) ・提携ATMの出金手数料が月5回無料 ・ビジネスデビットカード追加発行手数料無料 |
住信SBIネット銀行 | 前々月の振込件数に応じて他行宛振込手数料が優遇 ・5回未満:145円 ・5回以上:140円 ・20回以上:135円 ・50回以上:130円 |
ただし、多くのネット銀行が給与・賞与振込に対応していない点に注意が必要です。給与振込に対応していない銀行では、総合振込や通常の振込を利用することになるため、会計処理に手間がかかります。
振込手数料を抑えつつ、会計業務を効率化したい場合は、給与・賞与振込が使える楽天銀行の法人口座が良いでしょう。
インターネットバンキングを使って振り込む
法人口座での振込方法には、主に窓口とATM、インターネットバンキングの3種類があります。このうち、インターネットバンキングを利用することで、ほかの振込方法よりも手数料を安く抑えられます。
参考までに、下記ではみずほ銀行における振込方法別の手数料をまとめています。
お取扱区分 | 3万円未満 | 3万円以上 | |
窓口 | 710円 | 880円 | |
ATM | 現金 | 380円 | 550円 |
キャッシュカード | 270円 | 330円 | |
みずほダイレクト | インターネットバンキング | 150円 | 320円 |
みずほ銀行の場合、インターネットバンキングを使用することで、ほかの振込方法の約半額以下へ手数料を削減できます。一般的に、ほかの店舗型銀行でも同程度の削減効果が期待できるためおすすめです。
ただし、店舗型銀行のインターネットバンキングでは、2,000〜20,000円の月額利用料が発生する場合があります。そのため、手数料を確認する際は、インターネットバンキングの振込手数料と月額料金の両方を確認するようにしましょう。
振込代行サービスを利用する
振込手数料を削減する方法として、振込代行サービスの利用がおすすめです。振込代行サービスとは、多くの企業から振込業務を受注し、代わりに処理するサービスです。
通常、複数の取引先や従業員へ個別に振り込むため、取引件数とコストが大きくなります。一方、振込代行サービスでは、サービス会社が用意した専用口座に入金すると、申請した振込依頼を一括で処理する仕組みです。
振込代行サービスなら、複数の振込がある場合でも専用口座への振込だけで済むため、手数料を安く抑えられます。
従業員に同じ銀行を開設してもらう
給与・賞与振込の手数料を抑えるには、従業員に同じ銀行で口座を開設してもらうのが良いでしょう。これは、多くの銀行が同行宛の振込手数料を安く設定しているためです。
なお、店舗型銀行の場合は、振込先の店舗によっても手数料が異なるため、法人口座と同一支店で口座を開設してもらうのがおすすめです。下記では、銀行形態別に振込手数料の目安をまとめています。
振込手数料の目安(1件あたり) | |||
銀行形態 | 【同行同一支店宛】 | 【同行本支店宛】 | 【他行宛】 |
ネット銀行 | 0〜50円 | 0〜50円 | 140〜230円 |
店舗型銀行 | ・3万円未満:0〜110円 ・3万円以上:0〜330円 | ・3万円未満:110〜330円 ・3万円以上:330〜440円 | ・3万円未満:160〜490円 ・3万円以上:330〜660円 |
給与・賞与は、従業員が指定した口座に振り込むのが原則です。会社側が、強制的に振込先口座を指定することはできないため注意が必要です。
ただし、従業員の同意があればその限りではありません。「他行では振込手数料が高くなる旨」を説明すれば、納得してくれるケースもあるため、事情を説明し同行で口座開設をしてもらうよう打診してみましょう。
銀行と値下げ交渉をする
ややハードルが高いものの、銀行との値下げ交渉により振込手数料を削減することが可能です。具体的には、銀行との取引件数が多かったり、長期間取引をしていたりする場合は、交渉によって減免措置を受けられる可能性があります。
銀行との値下げ交渉と聞くと、関係の悪化や取引への悪影響などを心配する方もいるでしょう。しかし、銀行としては、優良顧客と長期にわたって取引を継続したいとの考えがあります。
そのため、銀行との取引実績や会社・事業規模などの交渉材料が揃っていれば、振込手数料の値下げに応じてもらえる可能性が十分にあります。少しでも有利に話を進めるためにも、複数の銀行に提案し相見積もりで交渉に望むと良いでしょう。
パーチェシングカードを導入する
パーチェシングカードを導入することで、振込手数料の削減が期待できます。パーチェシングカードとは、仕入れやシステム利用料の支払いなど、企業が行う購買に特化した仮想カードのことです。
利用することで、複数の支払いを集約でき、まとめて処理できるのが特徴です。通常、請求単位で振込が発生しますが、パーチェシングカードならカード会社への振込のみで支払いを完結できます。振込代行サービスと同様、月々の振込件数を削減できるため、手数料の節約につながります。
まとめ
本記事では、法人口座の振込手数料がかからない方法を紹介しました。結論、振込手数料が一定の間かからない方法はありますが、完全に無料にする方法は存在しません。
ただし、本記事で紹介したアイデアを実践すれば、手数料を削減することは十分に可能です。振込手数料を抑えたい方は、本記事を参考にぜひ取り入れてみてください。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
東商 社長ネット 株式会社バーチャルオフィス1 牧野 傑
キャリアコンサルタントドットネット 牧野傑(まきのすぐる)
Yahoo!知恵袋(株)バーチャルオフィス1牧野傑
Yahoo!知恵袋回答集