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複数の法人口座をうまく使い分ければ、事業を運営するうえでのさまざまなメリットが期待できます。しかし、ただ闇雲に口座を開設すると、デメリットが生じる可能性があります。
この記事では、複数の法人口座を開設するメリット・デメリットを説明します。また、複数の法人口座の使い分け方も補足しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
法人口座を複数保有するケース・メリットとは?

まずは、法人口座を複数保有するメリットや、それが適したケースを紹介します。
振込手数料を削減するため
2つ目以降の法人口座を、振込手数料の安い銀行で開設すると、コスト削減が期待できます。一般的に、都市銀行・信用金庫などの店舗型銀行は、ネット銀行よりも振込手数料が高めに設定されています。
よって、ネット銀行の法人口座を開設して振込専用口座として使えば、手数料の節約につながります。以下では、銀行形態別に振込手数料の目安をまとめています。
振込手数料の目安(1件あたり) | |||
銀行形態 | 【同行同一支店宛】 | 【同行本支店宛】 | 【他行宛】 |
メガバンク・都市銀行 | ・3万円未満:0〜110円 ・3万円以上:0〜330円 | ・3万円未満:110〜330円 ・3万円以上:330〜440円 | ・3万円未満:160〜490円 ・3万円以上:330〜660円 |
信用金庫・地方銀行 | ・3万円未満:0〜110円 ・3万円以上:0〜330円 | ・3万円未満:0〜110円 ・3万円以上:0〜330円 | ・3万円未満:160〜380円 ・3万円以上:330〜550円 |
ネット銀行 | 0〜50円 | 0〜50円 | 140〜230円 |
一見小さな差にも思えますが、仮に、他行宛に3万円以上の振込を100件実行した場合、手数料の金額はそれぞれ以下になります。
- メガバンク・都市銀行:3万3千〜6万6千円
- 信用金庫・地方銀行:1万6千〜3万8千円
- ネット銀行:1万4千〜2万3千円
現在、メガバンク・都市銀行の法人口座を使用している場合、ネット銀行の法人口座を利用することで、手数料を約1/3に削減できます。
また、店舗型銀行では、振込金額が「3万円未満・3万円以上」で手数料が異なるケースがほとんどです。一方、多くのネット銀行は振込手数料が一律のため、まとまった金額を多くの仕入れ先・取引先へ振込む場合に、大きな削減効果が期待できます。
用途別に口座を開設し、資金の流れを可視化するため
複数の法人口座をうまく使い分けることで、資金の流れを把握しやすくなり、管理業務を効率化できます。仮に1つの法人口座で管理する場合、通帳に様々な項目の入出金が記載されるため、資金の流れを把握する際に手間がかかります。
一方、以下のような用途別に法人口座を開設すれば、資金の流れを把握しやすくなります。
- 入金用・振込用・納税用
- 事業別
- 店舗や事業所別
ここでは、上記のケースにおける、複数の法人口座の使い方や銀行の選び方を紹介します。
使い分け方1:入金用・振込用・納税用
入金用・振込用・納税用で法人口座を開設する場合、それぞれ以下の用途で使用するのがおすすめです。
法人口座の種類 | 用途 | 目的 |
入金用口座 | ・ほかの用途の法人口座や支店用口座への入金を目的とした口座 ・売上等はすべて入金用口座へ集約 | 収支の把握 |
振込用口座 | ・仕入費や光熱費など、事業に必要なお金を振込む際に使用する口座 | 支出の把握 |
納税用口座 | ・各種税金や社会保険料の支払いに使用する口座 | 納税額の確保 |
入金用口座は、売上の管理や別口座への送金を担う大元の口座です。会社の収支を正確に把握するためにも、原則入金用口座からは、取引先等への振込や各種支払は行いません。
なお、入金用口座は、振込先情報として取引先や顧客に公開する必要があります。そのため、会社の信用面を重視する場合は、メガバンクや都市銀行など、信用力・知名度のある銀行を利用するのがおすすめです。
振込用口座は、経費の支払いを管理するための口座です。上記3つの口座において、もっともコストがかかるため、手数料が安い銀行が適しています。
特に、インターネットバンキングに特化した、ネット銀行がおすすめです。店舗型銀行よりも振込手数料が安いうえに、口座維持手数料も無料です。24時間対応、取引にしているため、コスト面・利便性が優れています。
納税用口座は、まとまった納税資金を確保しておくためのものです。法人税や消費税などは、まとまった金額を支払うため、納税用口座にて別途資金を管理すれば、「お金が足りない」といった事態を回避できます。
納税用口座を選ぶ際は、ダイレクト納付やPay-easyでの納税に対応した銀行を選ぶことが大切です。特にネット銀行は注意が必要です。
最近は、法人税や社会保険料のPay-easy納付に対応するネット銀行が増えてきたものの、すべてが対応しているわけではありません。未だ、対応していない銀行もあるので、確認しておくと安心です。
使い分け方2:事業別
複数の事業を行っている場合、事業別に法人口座を開設するのも効果的です。この方法で法人口座を使い分けると、各事業の入出金を少ない手間で細かく把握できます。
また、売上やコストを正確に把握できれば、予算配分やコストの見直しといった経営判断も下せるでしょう。現状、各事業の資金の流れが不明確な場合は、ぜひ事業別に法人口座を振り分けてみてはいかがでしょうか。
使い分け方3:店舗や事業所別
先ほどの内容に付随して、複数の法人口座を店舗や事業所別に分けるのもおすすめです。特に、事業の拡大に伴い店舗数が増えた場合は、この使い分け方の方が適しています。
なお、店舗別に法人口座を使い分ける際は、同一銀行にて複数の口座を開設するのがおすすめです。具体的には、以下のメリットが期待できます。
- マスター口座にて、各店舗の資金の流れを一元管理できる
- 口座数を増やす際、別の銀行で新たに開設するよりも手続きが楽
- 入出金データが溜まり、好条件な融資の提案が期待できる
ただし、銀行によって開設可能な口座の上限数が異なります。店舗ごとに口座を開設したい場合は、複数口座の上限数が多い銀行を選択しましょう。
融資を有利に進めるため
複数の法人口座を開設すると、融資を有利に進められる可能性が高まります。仮に、1つしかなければ、その銀行が提案する融資しか選択できません。
また、万が一融資審査に落ちた場合、銀行からの資金調達が望めなくなります。一方、複数の銀行と良好な関係を作っておけば、融資の選択肢が増え、以下のメリットが期待できます。
- 融資を断られた場合でも、第二・第三の選択肢を取れる
- 各銀行の融資条件を比較し、好条件な方を選べる
- サブバンクから融資の情報を得ることで、メインバンクとの交渉材料にできる
複数の法人口座を開設して、各銀行と良好な関係性を構築できれば、融資を有利に進められます。ただし、多くのネット銀行やゆうちょ銀行などは、融資に対応していないため注意が必要です。
資金喪失のリスクヘッジをするため
複数の法人口座を開設することで、資金喪失のリスクヘッジになります。仮に、利息がつく普通預金や定期預金で法人口座を開設した場合、一銀行が破綻すると、預金額のうち1,000万円までしか保護されません。
たとえば、普通預金に8,000万円預けており、銀行が破綻すると、7,000万円が喪失する仕組みです。8,000万円を複数の法人口座で管理すれば、万が一銀行破綻があった場合でも、被害額を最小限に抑えられます。
法人口座を複数保有する際のデメリット・注意点は?

対して、法人口座の複数保有には、デメリットや注意点もあります。これらは銀行選びの参考にもなるため、ぜひチェックしてみてください。
口座管理が煩雑になりやすい
メリットで紹介した通り、法人口座を複数保有していると資金の流れを把握しやすくなりますが、口座や資金の管理は煩雑になりやすいです。具体的には、以下の手間がかかります。
- マスター口座から別の口座への振り込みが必要になる
- 通帳を記帳するために各銀行を回る必要がある
- 複数の銀行で開設した場合、それぞれの担当者との関係構築が必要になる
法人口座を複数保有・利用している場合、管理が足かせとなり、かえって資金の流れが見えづらくなる可能性もあります。よって、取引先の銀行数を絞ったり、総合振込・定期自動振込を活用して資金移動を効率化したりすることが大切です。
口座維持管理費用がかさむケースがある
法人口座のなかには、口座維持管理費用がかかる銀行もあります。こうした銀行で複数の法人口座を開設した場合、月々のコストが大きくなります。
具体的には、以下の料金が口座維持管理費用に含まれます。
料金項目 | 月額料金の目安 |
口座維持手数料 | 500〜2万2,000円 |
総合振込月額料金 | 5,000〜2万円 |
インターネットバンキング月額料金 | 2,000円〜5,000円 |
一般的に、上記の料金が発生するのは、メガバンクや都市銀行などの店舗型銀行です。一方、ネット銀行の多くは、上記の料金が無料です。
そのため、コスト削減を目的に複数の法人口座を開設する場合は、口座維持管理費用が無料のネット銀行を検討すると良いでしょう。
【用途別】2つ目以降の法人口座開設におすすめの銀行・金融機関は?
2つ目以降の法人口座を検討する際は、各銀行の特徴を理解しておくことが大切です。ここでは、用途別に2つ目以降の法人口座開設におすすめの銀行を紹介します。
メガバンク・都市銀行:入金用口座におすすめ

入金用口座として複数の法人口座を開設するなら、知名度や信用力のあるメガバンクや都市銀行がおすすめです。
信用力のある銀行の法人口座を開設することで、見込み顧客や取引先、既存顧客からの信用につながります。
以下では、主要なメガバンク・都市銀行の各種料金と開設可能な口座、ネットバンキングアカウント上限数をまとめています。
銀行名 | 口座維持手数料 | 振込手数料 (他行宛) | 開設可能な口座数 | ネットバンキングアカウント上限数 |
三菱UFJ銀行 | 1,760円 | 3万円未満:484円 3万円以上:660円 | 記載なし | 1,000アカウント |
みずほ銀行 | ベーシック:5,500円 スタンダード:22,000円 | 3万円未満:490円 3万円以上:660円 | 記載なし | 20アカウント |
三井住友銀行 | デビュータイプ:2,200円 スタンダードタイプ:5,500円 エキスパートタイプ:22,000円 | 3万円未満:495円 3万円以上:660円 | 記載なし | 200アカウント |
ゆうちょ銀行 | スタンダードプラン:550円 エキスパートプラン:1,100円 | 165円 | 記載なし | 記載なし |
りそな銀行 | りそなビジネスダイレクト(Mini):3,300円 りそなビジネスダイレクト:7,700円 | 605円 | 記載なし | 100アカウント |
SBI新生銀行 | 無料 | 3万円未満:220円 3万円以上:330円 | 記載なし | 100アカウント |
基本的に、メガバンクや都市銀行では、合理的な理由がない限り複数口座の開設ができません。なお、メガバンク・都市銀行は信用力があり入金用口座に適していますが、口座維持手数料が高めに設定されています。
選択するプランによっても異なりますが、毎月550〜22,000円のコストは見込んでおきましょう。
ネット銀行:振込用口座におすすめ

振込用口座として法人口座を開設するなら、ネット銀行が適しています。これは、店舗型銀行よりもネット銀行のほうが、口座維持手数料や振込手数料が安いためです。
主要なネット銀行の各種料金・開設可能口座数などは、以下のとおりです。
銀行名 | 口座維持手数料 | 振込手数料(他行宛) | 開設可能な口座数 | ネットバンキングアカウント上限数 |
GMOあおぞらネット銀行 | 無料 | 145円 ※129円 ※振込料金とくとく会員(月額500円) | 20口座 | 100アカウント |
住信SBIネット銀行 | 無料 | 145円 ※130〜145円 ※振込優遇プログラム | 10口座 | 10アカウント |
PayPay銀行 | 無料 | 160円 ※月5回まで0円 ※預金平均残高3,000万円以上 | 20口座 | 20アカウント |
楽天銀行 | 無料 | 3万円未満:150円 3万円以上:229円 | 20口座 | 20アカウント |
イオン銀行 | 2,200円 | 5万円未満:220円 5万円以上:440円 | 記載なし | 記載なし |
イオン銀行以外のネット銀行は、口座維持手数料が無料です。また、他行宛の振込手数料もメガバンク・都市銀行に比べて、約1/3程度で済みます。
非常にコスパが優れており納税用口座としての利用にも適していますが、一部注意が必要です。ネット銀行は、比較的新しいサービスということもあり、法人税の支払に対応していない銀行もあります。
現状、上記ネット銀行のうち法人税の支払いに対応しているのは、以下の4行です。
入金用口座としてのみならず、納税用口座としてネット銀行の法人口座をご検討中の方は、各公式サイトにて支払対応可否を細かく調べるのがおすすめです。
信用金庫・地方銀行:融資を考える方におすすめ

使い分け方の部分では説明できませんでしたが、銀行融資をお考えの中小企業には、信用金庫や地方銀行がおすすめです。基本的に、信用金庫や地方銀行は、地元企業の支援に積極的です。
融資においても、中小企業やスタートアップを対象としたものが多く、ほかの銀行形態よりも好条件で資金調達できる傾向があります。また、独自の地域ネットワークを活かしたビジネスマッチングや補助金・助成金支援を実施する金融機関もあるため、サポート面が手厚い法人口座を開設したい方に適しています。
まとめ
本記事では、複数の法人口座を開設するメリット・デメリットを紹介しました。もちろん、複数口座を開設するデメリットもありますが、基本的にはメリットの方が大きい傾向があります。
デメリットを顕在化させないためには、本記事で紹介した複数口座の使い分け方を参考にしてみてください。
なお、以下の記事では、おすすめな法人口座を、手数料・機能面などの観点から比較しています。より自社のニーズに合った法人口座を選びたい方は、ぜひご覧ください。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
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