今注目の田舎起業!メリット・デメリットとおすすめのアイデア、成功例を解説

[投稿日]2025年01月20日

今注目の田舎起業!メリット・デメリットとおすすめのアイデア、成功例を解説

近年、都市部を離れて田舎で起業するケースが注目されています。競争率が高い都市部ではなく、あえて田舎で起業する場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

本記事では、田舎起業のメリットデメリットを、都市部の起業と比較しつつ解説します。またエリアや業種ごとに、具体的な起業アイデアも紹介していますので、ぜひご覧ください。

田舎で起業するメリット

田舎で起業するメリット

ここでは、田舎で起業する以下4つのメリットを紹介します。

  • 開業資金・運転資金を抑えられる
  • 競合が少ない環境で事業ができる
  • 補助金・助成金を利用できる
  • ワークライフバランスを実現できる

開業資金・運転資金を抑えられる

田舎で起業する大きなメリットは、都市部に比べて開業資金・運転資金を抑えられる点です。一般的に、田舎では、土地や物件の価格が都市部よりも安く、店舗や事務所の初期費用を抑えやすい傾向にあります。

駐車場の設置や広いスペースの確保が容易なため、店舗型のビジネスに適した環境です。なお、運転資金を抑えられる要因として、人件費の相場が都市部に比べて低い点が挙げられます。

厚生労働省のデータによると、令和6年度の地域別最低賃金は以下のとおりです。

都道府県最低賃金時間額
東京1,163円
神奈川1,162円
大阪1,114円
山梨988円
新潟985円
鳥取957円
岩手952円

参考:地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省

都市部と地方の最低賃金時給額を比較すると、最大で50円以上の差が見られました。よって、都市部で起業して従業員を雇用するよりも、田舎起業のほうが事業コストを抑えやすいと言えます。

競合が少ない環境で事業ができる

田舎で起業する利点として、競合が少ない環境で事業を展開できる点が挙げられます。都市部では同業者が密集し、価格競争やサービスの差別化が求められるため、独自性を維持することが難しくなります。

一方、田舎は同業種の競合が比較的少ないため、独自性を発揮しやすい環境です。特に、地域に根ざしたニッチなサービスや独自の製品を提供することで、地元住民の支持を得られやすくなります。

たとえば、地域特産品を活用した加工食品の製造販売や、高齢化が進む地域での介護サービスといった事業は、既存の競合が比較的少なく、地元に根ざしたビジネスです。こうした環境では、顧客を獲得するための過剰な広告費用を抑えられ、地域住民との信頼関係を築くことで継続的な売上が期待できます。

補助金・助成金を利用できる

田舎で起業する場合、補助金や助成金を利用できるケースがあります。近年、国や多くの地方自治体では、地域活性化や移住促進を目的に、新規事業者を支援するプログラムを提供しています。

たとえば、地域創生を目的とした「起業支援金」では最大200万円、移住を伴う起業の場合には「移住支援金」として最大100万円が提供される可能性があります。

これらの支援金は、事業の立ち上げや初期投資の大きな助けとなるでしょう。また、一部の地域では、自治体が主導するスタートアップ支援プログラムがあります。

こうした制度をうまく活用すれば、田舎起業に必要なノウハウや地域ネットワークを受けられるでしょう。

ワークライフバランスを実現できる

田舎での起業は、ワークライフバランスを重視する方に適しています。自然豊かな環境や都市部の喧騒から離れたゆとりある暮らしは、ストレスの軽減につながるでしょう。

田舎に移住して起業した場合は、通勤時間がほとんどかからないため、その分家族や趣味に時間を費やすことが可能です。また、近年ではリモートワークの普及により、ITやWeb関連事業を田舎で展開することも容易です。

これにより、都市部と同等の収入を得ながら、田舎ならではの生活コストの低さを享受できます。このように、田舎での起業は、働き方だけでなく生活全般を豊かにする可能性を秘めています。

田舎で起業するデメリット・注意点

田舎で起業するデメリット

メリットの多い田舎起業ですが、以下の点には注意が必要です。

  • 集客が難しい
  • 優秀な人材の確保が難しい
  • 地元の取引先・顧客との関係構築が難しい

集客が難しい

田舎での起業では、集客の難しさが大きな課題となるでしょう。田舎は都市部に比べて人口が少ないため、顧客の絶対数が限られています。

特に一般消費者を対象とするビジネスでは、顧客を確保することが難しく、売上が安定するまでに時間を要することが想定されます。また、地元の人々は馴染みのある商店やサービスを利用する傾向が強く、新しい事業に興味を示しにくい点も課題です。

こうした状況に対処するには、地域のコミュニティに溶け込み、信頼関係を築くことが重要です。口コミや紹介を積極的に活用するなどして、地元の顧客を効果的に取り込む工夫が求められます。

優秀な人材の確保が難しい

田舎での起業で課題となるのが、優秀な人材を確保する難しさです。多くの若者は大学進学を機に田舎を離れ、その後も都市部での生活を続ける傾向にあります。

この背景には、都市部における就職機会の豊富さや、キャリアアップの可能性が大きい点があります。また、田舎の企業は都市部に比べて給与や福利厚生の面で劣る場合が多く、人材の確保において不利な状況です。

このような環境では、事業の成長に必要な人材を集めるのが難しくなる可能性があります。人材不足に対処するためには、地元の人材育成に力を入れるほか、都市部からのUターン人材を積極的に採用する取り組みが重要です。

地元の取引先・顧客との関係構築が難しい

田舎で起業する際、地元の取引先や顧客との関係構築に時間がかかる場合があります。田舎では、長年築かれた信頼関係や既存の取引慣行が重視される傾向にあるためです。

地域差はあるものの、新規の事業者が入り込むには、一定の時間と努力が必要です。また、田舎では「顔の見える関係」が重視されるため、一度会っただけでは信頼を得られないこともあります。

田舎で起業する場合は、地域特有の文化を理解し、地域行事へ参加したり、地元の人々と積極的にコミュケーションを取ったりすることが重要です。時間をかけて誠実に関係を築けば、地元の人々から大きな支持・協力を得られる可能性が高まります。

【エリア別】田舎に欲しいサービス例

田舎に欲しいサービス例

ひとえに田舎と言っても、主に以下のエリアに分かれ、それぞれで求められるサービスが異なります。

  • 農村地域
  • 山間地域
  • 沿岸地域

ここでは、上記3エリアの特色と地元で求められるサービス例を紹介します。

農村地域

農村地域では、主に以下のようなサービスが求められています。

  • 農作物の生産・農業体験サービス
  • 農作物の流通・販売
  • 飲食店
  • 高齢者向け移動販売

豊かな自然と農地が広がる農村地域では、地元の農産物を活かした事業が求められる傾向にあります。

新鮮な農作物を生産するだけでなく、観光客向けに農業体験を提供すれば、地域活性化と収益の両方を目指せます。また、地元産の食材を用いた飲食店の開業や、都市部の消費者に向けた農産物の流通・販売も良いでしょう。

高齢化が進む地域では、日用品や食品を届ける移動販売の需要が高まっています。農村地域では、自動車がなければ生活が難しいエリアが多いため、複数の地域を移動販売で回ることで収益化が期待できます。

山間地域

山林や自然豊かな景観が特徴の山間地域では、地元資源を活用した事業が中心です。主に以下のようなサービスが求められています。

  • 林業
  • 製炭・きのこ栽培
  • 自然ガイド
  • ジビエ加工・販売
  • グランピング施設運営

林業や製炭は山間地域の伝統産業であり、近年では持続可能な森林管理を目的としたビジネスとしても注目されています。また、特産品のきのこ栽培のように、付加価値を高めた農産業も比較的大きな収益が期待できます。

自然を生かした観光事業として、登山やトレッキングに関連する自然ガイドや、宿泊施設を備えたグランピング運営も人気です。一時期に比べて衰えたものの、都市部の人々が自然のなかでリフレッシュを求めるニーズは今でも健在です。

また、山間地域で捕獲されるシカやイノシシなどを利用したジビエ料理や加工品の販売との相性も良く、将来的に事業規模の拡大が望めるでしょう。地域独自の食文化を発信することで、外部からの観光客や飲食店からの需要を取り込むことができます。

沿岸地域

海に面した沿岸地域では、観光と海産資源を活用した事業が人気です。沿岸地域には、主に以下のようなビジネスが適しています。

  • マリンレジャー
  • 漁業
  • 魚介類の加工・販売
  • リゾートホテル運営

釣り体験やダイビング、クルージングといったマリンレジャーは、都市部から訪れる観光客に人気があります。こうしたアクティビティは地域の魅力を高め、観光収入の増加につながります。

また、漁業を基盤にした事業も沿岸地域ならではのビジネスです。新鮮な魚介類を使った加工食品の製造や、都市部の高級飲食店への出荷は安定的な収益が期待できます。地元の名産をブランド化することで、ほかの地域との差別化を図りつつ付加価値を高められます。

美しい景観を活かしたリゾートホテルや宿泊施設の運営は、観光需要の高まりに応える重要なビジネスです。近年は、沿岸地域でのインバウンド需要が高まっているため、地域の自然と資源を最大限に活かすことで事業の成功率を高められるでしょう。

【業態別】田舎で起業しやすいおすすめのアイデア7選

田舎で起業しやすいおすすめのアイデア

次に、田舎で起業しやすいおすすめの事業アイデアを紹介します。ここで取り上げるのは、以下の7業態です。

  • IT・Web関連事業
  • ネットショップ
  • デリバリー・移動販売
  • 飲食店
  • 農業
  • 漁業
  • 介護サービス

IT・Web関連事業

田舎起業において、ITやWeb関連事業は特に人気のあるビジネスです。この業態の大きな特徴は、地理的な影響を受けにくい点です。

Webデザインやプログラミング、Webライター業など、インターネットを活用する仕事であれば、自宅や小規模なオフィスでも始められます。また、田舎に居住していても、リモートで都市部の取引先・顧客とやりとりができるため、田舎ならではの低コストな暮らしを実現しながら事業に打ち込めます。

なお、請負型の業態であれば、自身のスケジュールに合わせた働き方が可能です。IT・Web関連事業を軌道に乗せたのち、空いた時間でほかの田舎ビジネスに着手するなど、柔軟な事業展開が望めます。

ネットショップ

ネットショップは、不動産価格や人件費の安い田舎に適した職種です。オンライン上で商品を販売するため、実店舗を構える必要がなく、初期投資を抑えながら全国や海外をターゲットにできます。

都市部に比べて在庫の保管場所を低コストで用意できるため、事業の運営コストを抑え、利益率を高められます。また、田舎で起業した場合、地元の特産品など地域の特色を活かした商品を扱うことで、都市部の競合と差別化を図れる点が魅力です。

ただし、物流インフラが整っていない地域では注意が必要です。商品の発送に時間がかかることで、顧客満足度が悪化する恐れがあります。

この課題を克服するためには、配送スケジュールに余裕を持たせたり、複数の物流業者を併用し、その時々で最適な方法を選択するのが効果的です。

デリバリー・移動販売

デリバリーや移動販売は、田舎での起業において地域のニーズを的確に捉えたビジネスモデルです。特に高齢化が進んだ地域では、買い物の利便性を向上させるサービスとして期待されています。

食料品や日用品を自宅まで届けるデリバリーサービスはもちろん、移動販売車を使って各地域を回る業態も需要が高い分野です。固定店舗を持たないことで初期投資を抑えられるのも大きなメリットです。

ただし、店舗型の小売店とは違い仕入れ量が限定的なため、商品の仕入れ価格が高くなる傾向にあります。また、商品の販売価格には相場があり、高値での販売が難しい点に注意が必要です。

デリバリー・移動販売で収益性を高めるには、自社で製造したお弁当や産地の品を販売するなどして、利益バランスを確保することが重要です。なお、事業が軌道に乗ったら規模を拡大し、スケールメリットを狙うのも良いでしょう。

飲食店

飲食店は、田舎に限らず都市部でも人気の事業内容です。

地元で採れる新鮮な食材を活用し、観光客向けの店舗を目指したり、地域に根ざした地元向けの店舗を目指したりとさまざまな選択ができます。また、田舎の土地や物件は都市部に比べて安価なため、ランニングコストを抑えられる点もメリットです。

一方で、飲食店を一から開業する場合、厨房設備や店舗物件の取得など、多くの初期費用がかかる点に注意が必要です。なお、店舗商売であるため、エリアによっては集客が難しく、収益化に時間がかかる可能性もあります。

こうした課題を解決するには、売りに出されている既存の飲食店を買収したり、ほかの事業で資金を確保して起業したりするのが効果的です。失敗時のリスクヘッジをするには、できるだけコストを抑え小さく起業すると良いでしょう。

農業

農業は、農村地域の田舎で起業する方におすすめの業種です。その土地にあった作物を生産することで、比較的高い生産性を確保できます。

また、ブランドを設立し販路を固めることで、都市部の市場に向けて高い付加価値を提供できるでしょう。近年は農業用のデジタル技術が発展しており、作業の一部を自動化するなど効率の良い生産形態を目指せます。

ただし、農業を始めるには、クリアすべき条件があります。たとえば、農地を借りるためには、以下の条件を満たして農地法に基づく農業委員会の許可が必要です。

  • 農地を効率的に利用すること
  • 農地取得後の農地面積が50a(アール)以上であること
  • 周辺の農地利用に悪影響を与えないこと
  • 必要な農作業に常時従事すること(個人の場合)

参考:法人が農業に参入する場合の要件|農林水産省

個人事業主として新規で起業する場合は、農作業に常時従事しなけれななりません。もちろん多くの初期投資も必要なため、手軽には参入しづらい業態と言えます。

漁業

漁業は、沿岸地域で起業を考える方にとって魅力的な業態です。

漁業は、地元での消費だけでなく、都市部や海外への出荷も視野に入れることで、安定した収益を期待できます。また、事業規模を拡大したのち、魚介類を使った加工品の製造や直販などの展開も図れます。

しかし、農業と同様に、漁業を始めるにはいくつかのハードルがあります。まず、漁業を行うためには漁業協同組合への加盟が必要であり、漁業権を取得しなければなりません。

なお、本格的な漁業を行う場合には、船舶操縦士免許や海上特殊無線技士免許の取得が必要になるでしょう。これらの条件を満たすには、時間とコストがかかるため、事前に計画を立て起業準備を着実に進めることが重要です。

介護サービス

介護サービスは、高齢化が進む田舎での起業において需要が高い業種のひとつです。

特に、訪問介護やデイサービスといった在宅介護は、近年需要の高まっている業態です。高齢者が増加している田舎では、安定して利用者の登録が見込めるため、継続性のあるビジネスとなり得ます。

ただし、介護サービスの事業所を立ち上げるためには、設立要件・人材要件・設備要件を満たす必要があります。まず、介護事業所を設立するには、法人格の取得が必須です。

事業所の設置には、施設面積や設備の基準を満たすことが求められます。また、各施設には、介護職員初任者研修を修了した人材を管理者として配置するなど、多くの要件をクリアしなければなりません。

よって、現在介護職をしている方や必要な資格を有している方におすすめの業態と言えます。

田舎起業に成功した3つの事例

田舎起業の成功事例

ここでは、田舎起業に成功した以下3つの事例を紹介します。

  • 田舎で移住定住促進事業で起業:安達鷹矢氏
  • 古民家を再生したゲストハウスで起業:江上尚氏
  • 田舎へUターンし無農薬農園で起業:足達智子氏

成功の要因や具体的な事業内容を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

田舎で移住定住促進事業で起業:安達鷹矢氏

田舎での起業を成功させた事例として、兵庫県丹波篠山市福住地区で活動する安達鷹矢氏の取り組みが挙げられます。安達氏は大阪府高槻市出身で、大学卒業後に楽天グループ株式会社に勤務していました。

しかし、地域資源の価値を高め、人を呼び込むエリアマネジメントに魅力を感じ、2011年に丹波篠山市へ移住して古民家再生や地域活性化プロジェクトに携わりました。福住地区では、ボランティアとして移住促進活動を開始し、空き家の紹介や改修工事の手配をサポートします。

これらの活動が評価され、エリアマネジメント事業や移住コーディネーターとしての役割を担うようになりました。2017年には株式会社Local PR Planを設立し、セレクトショップ「Littleaf」やシェアハウス、一棟貸し宿「NIPPONIA 後川 天空農園」の経営など、多角的に事業を展開します。

安達氏が大切にしているのは、地域とのコミュニケーションだそうです。地元の行事や会合に積極的に参加し、地域住民との交流・信頼関係に重きを置きました。

結果、地域資源の価値を育み、人を呼び込むエリアマネジメントを通じて、福住地区を「稼げるまち」に変革しています。

古民家を再生したゲストハウスで起業:江上尚氏

江上尚氏は、古民家を再生したゲストハウスで起業した方です。江上氏は当初、社会課題の解決に関心を持っていました。

そのようななか、雑誌で島根県江津市のUIターン者の活躍を知り、実際に現地を訪問します。その後、江津市主催のビジネスプランコンテストで古民家を再生したゲストハウスの計画を提案し、2015年度の大賞を受賞しました。

受賞を機に、築80年以上の母屋と築130年の離れをリノベーションし、2016年10月にゲストハウス「アサリハウス」を開業します。この施設は宿泊だけでなく、シェアオフィスやシェアスペースとしても活用されています。

改修作業にはワークショップ形式を取り入れ、全国から150人以上の協力者が参加しました。また、地域住民との交流を深めるため、自治会への挨拶や地域行事への参加など、地元に溶け込む努力を続けています。

江上氏の取り組みは、地域資源を活かし、地元住民との信頼関係を築きながら事業を展開する成功例として注目されています。

田舎へUターンし無農薬農園で起業:足達智子氏

足達智子氏は、千葉県南房総市で無農薬のタイ野菜やイタリア野菜を栽培する「大紺屋農園」を運営しています。幼少期から家業である農業と民宿を手伝いながら育ち、料理好きだった足達氏は、大学卒業後に調理師免許を取得しました。

その後、都内の金融企業で働きましたが、タイ旅行で現地の料理に魅了され、自ら安全で新鮮なタイ野菜を作りたいと考えるようになります。家業の民宿が少子化の影響で閉業したことを機に、農業を継ぐ決意を固めて地元へUターン。

女性起業家として、完全無農薬での栽培に挑戦し、年間80種類以上の野菜を育てています。当初は両親から無農薬栽培や珍しい野菜の栽培に対する懸念もありましたが、足達氏の努力により、土壌は改善され、野菜の味も向上します。現在では、都内の有名レストランや全国の顧客から高い評価を受けています。

彼女の取り組みは、地域資源を活用し、地元との強い結びつきを築きながら事業を展開する成功例として注目されています。

田舎起業を成功させる3つのポイント

田舎起業を成功させるポイント

前述の成功事例を見ると、田舎起業を成功させるポイントは主に以下の3つだと考えられます。

  • 地域の人とのつながりを大切にする
  • 起業の目的を明確にする
  • 集客に力を入れる

地域の人とのつながりを大切にする

田舎での起業を成功させるためには、地域の人々とのつながりを築くことが重要です。田舎では、古くからの人間関係やコミュニティが事業の成功に大きな影響を与えるケースが多いです。

よって、地元住民からの信頼を得ることが、ビジネスの基盤を強固にするポイントと言えます。たとえば、地域の行事やイベントに積極的に参加することで、住民との交流を深めるきっかけを作れます。また、地元のニーズや課題を直接聞き取ることで、地域に根ざしたサービスを提供するヒントを得られるでしょう。

地域とのつながりは、ビジネスの持続性と発展性を支える基盤です。地元住民と協力しながら、地域全体を活性化させる意識を持つことが重要です。

起業の目的を明確にする

田舎起業を成功させるためには、「なぜ起業するのか」という目的を明確にすることが重要です。目的が明確であれば、事業の方向性が定まり、必要な準備や計画がスムーズに進むためです。また、困難な状況に直面した際にも軸を見失わずに乗り越えられるでしょう。

たとえば、「地元の特産品を全国に広めたい」「地域の高齢化問題を解決するサービスを提供したい」といった具体的な目的があれば、その目的に沿ったターゲット設定やサービス内容を具体化しやすくなります。地域の課題解決や貢献を目指す事業であれば、共感を得やすく、協力を得るきっかけにもなるでしょう。

起業の目的を明確にすることは、事業の基盤を築くうえで欠かせないプロセスと言えます。田舎起業の目的を軸にして、一貫性のある事業を展開しましょう。

集客に力を入れる

田舎起業を成功させるためには、積極的に集客を行うことが重要です。田舎では人口が少なく潜在顧客が限られているため、業種に応じた効果的な方法を選ぶ必要があります。

主な集客方法として、以下が挙げられます。

  • SNSやWeb広告の活用
  • 地域イベントへの参加
  • 口コミの促進

SNSやWeb広告を活用した情報発信は、コストを抑えつつ広範囲の顧客にアプローチできる手段です。特に、若い世代や都市部の顧客層をターゲットとする場合に効果的です。

地域イベントへの参加は、地元住民との直接的な接点を増やす方法として活用できます。地域密着型の事業にとって、地域のイベントや祭りは顧客獲得のチャンスになります。また、田舎では口コミの影響が大きいため、信頼関係を築くことで評判が広がりやすいのも特徴です。

なお、IT・Web関連での起業をお考えの方には、バーチャルオフィスの活用がおすすめです。バーチャルオフィスは、事業用の住所を借りられるサービスで、任意の拠点を事業所の所在地に設定できます。

一般的に、IT・Web関連では、都市部の事業者と取引する機会が多いでしょう。そのため、実際の作業拠点を田舎にしつつ、事業所の所在地を都市部に設定することで、事業の信頼性を高められます。

業種ごとに最適な集客方法を選び、複数の手法を組み合わせて効果的な集客を実現しましょう。

田舎起業で活用できる補助金・支援制度

近年、国や地方自治体を中心に、田舎起業を推進するための補助金・支援制度が整備されています。ここでは、内閣府地方創生推進事務局が公表している補助金・支援制度を紹介します。

起業支援金:最大200万円

起業支援金とは?

起業支援金とは、地域の課題解決に貢献する社会的事業を新たに起業する方に対して実施している制度です。各都道府県が独自の名前で実施しており、起業のための伴走支援や事業費への助成が受けられます。

助成金は最大200万円で、地方創生の実現を目的としています。本支援金の対象者は以下のとおりです。

1.新たに起業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)

ア.東京圏以外の道府県又は東京圏内の 条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと。

イ.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと。

ウ.起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。

2.事業承継又は第二創業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)

ア.東京圏以外の道府県又は東京圏の 条件不利地域において、Society5.0関連業種等の付加価値の高い分野で、社会的事業を 事業承継又は第二創業により実施すること。

イ.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、事業承継又は第二創業を行うもの。

ウ.本事業を行う都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。

引用:起業支援金|内閣府地方創生推進事務局

いずれも、要件を満たした起業と、田舎への居住が必要なため、やや申請ハードルが高いと言えます。しかし、上記の要件を満たした場合は、最大200万円の助成金が受けられるため、自身の起業計画と照らし合わせ、申請を検討すると良いでしょう。

移住支援金:最大100万円

移住支援金とは?

移住支援金とは、東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外へ移住して起業等を行う際に、交付金を交付する事業です。世帯の場合は最大100万円、単身の場合は最大60万円が支援されます。

次の①②③すべてに該当する方が対象

①【移住元】東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者

②【移住先】東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る)

③【就業等】地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施

引用:移住支援金|内閣府地方創生推進事務局

原則、要件を満たし適切な方法で申請すれば、起業支援金と移住支援金の併用が可能です。つまり、田舎へ移住し起業する場合に最大で300万円の支援金が受けられます。

これらの制度は支援金額が高額なため、うまく活用することで、田舎起業の必要資金を効率良く調達できるでしょう。

独自に起業支援をしている田舎

内閣府の起業支援以外にも、自治体が独自に起業支援をしているケースがあります。参考例として、自治体主導で進められる田舎の起業支援を以下にまとめています。

地名制度名概要
岐阜県高山市高山市特定創業支援事業補助金証明書を有する方が市内で起業した場合に、初期経費を対象とした補助金を交付
熊本県天草市起業創業資金利子補給補助金新たに事業を始める人が熊本県創業者支援資金、日本政策金融公庫などの融資を受けた場合、支払った利子の3年分または36回分を市が補助

参考:特定創業支援事業補助金|高山市
参考:創業者向け「起業創業資金利子補給補助金」|天草市

市区町村が独自に推進する起業支援事業では、常に最新の情報を確認することが重要です。一部で、すでに終了した支援事業の情報を公開している自治体も存在するためです。

公開されている情報の更新日などを確認し、現在進行している起業支援事業の情報を集めてください。

まとめ

本記事では、田舎起業のメリットデメリットを中心に紹介しました。一見、メリットの多い田舎起業にも、デメリット・注意点は存在します。

しかし、成功者の事例を参考に、課題の解決へ取り組むことで事業の成功率を高められるでしょう。本記事で紹介した注意点や成功事例を参考に、田舎で起業をするか否かを検討してみてください。

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1

月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。

https://virtualoffice1.jp/

この記事の監修者

株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑

株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役

2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。

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