起業するときに役立つ資格10選!業種別におすすめの資格を紹介

[投稿日]2024年02月29日 / [最終更新日]2024年10月15日

起業するときに役立つ資格10選!業種別におすすめの資格を紹介

起業するときに資格は必須ではありませんが、あると役に立つことが多くなります。しかし、どのような資格を持っておけば良いのか、起業したい業種でどのような資格が必要なのか、わからない方は多いのではないでしょうか。

本記事では、起業するときに役に立つ資格や、資格を取るメリットについて紹介します。また業種ごとにおすすめの資格をまとめていますので、参考にしてください。

起業するときに資格は必須?

起業するときに資格は必須ではありません。資格がなくても起業はできますが、税理士・公認会計士・不動産業(宅地建物取引士)・司法書士・行政書士などの職種は資格が必須です。たとえば、税理士の場合、資格がないまま事業を始めると、税理士法違反で罰せられます。

とはいえ、資格がなくても起業できる職種は多いので、その資格が本当に役に立つのか考慮することが大切です。資格を取得するには、時間と労力が必要となり、使わない資格を取っていると無駄になってしまいます。

また仮に必要であったとしても、必ず自分が取得する必要があるのかも考えるべきです。必要な資格を取得した人を雇い補える場合は、自分で資格を取る必要はないでしょう。起業するときの環境や状況を考えてから、資格を取得するか検討してください。

司法書士の独立開業について、ぜひ参考にしてください。
司法書士の独立開業の現実とは?年収や独立までの4ステップを解説

起業するときに資格があると良い理由

起業するときに資格があると役に立つことが多くあります。資格があって越したことはありませんが、資格があるとなぜ良いのか見ていきましょう。

信頼を得られやすい

資格を取得していると、その分野において専門知識があることの証明になり、取引先や業界内において信頼を得られます。特に起業したばかりの時期は、周囲との関係性がまだ構築できていない段階です。その際に資格を取得しているほうが信頼を得られ、有利に進められます。

たとえば、金融系の記事ライティングを依頼するとしましょう。そこでファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持っている人と、何も資格を持っていない人のどちらかと契約するとなれば、FPの資格を持っている人を優先的に採用するはずです。

また資格を取得していると、取引先だけでなく自社の従業員に対しても信頼関係を築けます。資格を取得していることは、正しいノウハウがあるという証明のひとつです。従業員も安心してついていきやすいでしょう。

未経験者でも始めやすくなる

起業が未経験であっても、資格を取得し専門的な知識を身につけておくことで、未経験者でもスムーズに進められます。資格を取得しておいて損はありません。

起業するときに役立つおすすめの資格10選

続いて、起業するときに役立つおすすめの資格10選を紹介します。

①ファイナンシャルプランナー(FP)

1つ目のおすすめの資格は「ファイナンシャルプランナー(FP)」です。ファイナンシャルプランナーは、不動産・住宅ローン・年金・保険・金融などお金に関する知識を身につけられます。ファイナンシャルプランナーの資格を持っていることで、起業するときに実用的な資金運用ができるでしょう。

ファイナンシャルプランナーは、日本FP協会が認定する「CFP®資格」(上級資格)および「AFP資格」と、国家検定であるFP技能士(1~3級)の3種類があります。

ファイナンシャルプランナーとして独立開業する場合、特段資格は必要ありません。ただし、資格があったほうが信頼感は増します。個人事業の場合は3級以上、ファイナンシャルプランナーとして独立する場合は2級以上、さらなる高みを目指す場合はAFP資格やCFP®資格を目安に取得しましょう。

②ビジネス実務法務検定

2つ目のおすすめの資格は「ビジネス実務法務検定」です。ビジネス実務法務検定は、法務・営業・販売・総務・人事など、あらゆる職種で必要となる法律知識を習得できます。実際のビジネスシーンに適した内容で法律を学ぶことで、業務上のリスク回避や会社へのダメージを未然に防ぐことが可能です。

また、ビジネス実務法務検定を習得することで「仕事の質を高める」ことができます。従業員へのリスク管理、人事、採用業務など幅広い分野の応用能力が身につき、経営者として必要な知識を学べるでしょう。主要分野を多くカバーしていることもあり、業種を問わず起業する方ならどなたでもおすすめです。

ビジネス実務法務検定は1~3級まであり、各級の基準は以下の通りです。

各級の基準
1級業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる。(実務的対応能力としてのアッパーレベルを想定。)
2級企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家に対する相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している。(知識レベルのアッパーレベルを想定。)
3級ビジネスパーソンとして、業務上理解しておくべき基礎的法律知識を有し、問題点の発見ができる。(ビジネスパーソンとして最低限知っているべき法律実務基礎知識を想定。)

引用元:東京商工会議所検定サイト

③日商簿記検定

3つ目のおすすめの資格は「日商簿記検定」です。日商簿記検定は、日々の経営活動の記録・計算・整理など経営成績や財務状況を明確にする、経理周りに関する資格です。個人・法人問わず、会計業務は必須であるため、起業する場合に大いに役立ちます。

ビジネスの基本である経理管理や財務諸表を読む力が身につくことで、コストを意識した業務ができます。また後ほど紹介する「公認会計士」や「税理士」などの資格を目指す人にも必要な資格です。

各級の基準
1級極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析するために求められるレベル。合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。
2級経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析するために求められるレベル。
3級業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格。基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理をするために求められるレベル。
簿記初級業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが日常業務をこなすための基礎知識。簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用できる。
原価計算初級業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが事業の収益性を把握するための基礎知識。原価計算の基本用語や原価と利益の関係を分析・理解し、業務に利活用できる。

引用元:簿記 | 商工会議所の検定試験

④ビジネス著作権検定

4つ目のおすすめの資格は「ビジネス著作権検定」です。ビジネス著作権検定は、著作権に関する日本で唯一の資格です。今までは「著作権は守るもの」という認識でしたが、近年では著作権の知識と活用方法が問われる時代となっています。適切な権利処理を活用することで、新しいビジネスチャンスを生み出すきっかけになるでしょう。

また著作権は一般常識として知識を身につけておく必要があるため、経営者としては欠かせない資格です。ビジネス著作権検定は、BASIC、初級、上級の3種類あり、それぞれの基準は以下の通りです。

各級の基準
上級著作権に関する知識を活用し、著作権利用に関する問題点を発見し、解決できる。契約、司法制度、条約に関する知識を活用し、専門家の助力を得ながら著作権に関する実務を展開できる。
初級著作物とは何か、著作権とはどのような権利かを知っている。利用者として、他人の著作権を侵害せず正しく著作物を利用できる。
BASIC日常生活において著作物を扱う際、トラブルを起こさないために知っておきたい、著作権制度の初歩的・入門的な知識を持っている。

引用元:ビジネス著作権検定

⑤コミュニケーション検定

5つ目のおすすめの資格は「コミュニケーション検定」です。コミュニケーション検定は、対面交流において「話す」・「聞く」の2つの能力を測定し、コミュニケーションの高さを証明する資格です。

ビジネスやプライベートにおいて、コミュニケーション能力は欠かせません。コミュニケーション検定の資格を取得することで、良好な対人関係・環境を構築する力を身につけられます。コミュニケーション検定は初級、上級の2つがあり、各級の基準は以下の通りです。

各級の基準
上級場面に応じて言語・非言語を使い分けたコミュニケーションを展開できる。また、職場や公共の場などの社会活動の場面において、自己の考えや主張を整理し、第三者に対して効果的に伝達できる。
初級周囲の人々と「話す」こと、「聞く」ことによって円滑なコミュニケーションができる。また、就職面接やアルバイト先などの社会活動の場面において、自己の考えを第三者に対して正しく伝達できる。

引用元:コミュニケーション検定

⑥中小企業診断士

6つ目のおすすめの資格は「中小企業診断士」です。中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言をする資格です。中小企業診断士は、経営状況を診断し、現状分析を踏まえたうえで成長戦略をアドバイスします。

また、成長戦略を実現するために経営計画を立ててサポートするのが役目です。経営コンサルタントとして起業する場合に大いに役立ちますが、自社を分析するためにも有効な資格です。

試験は一次試験・二次試験、実務補習または実務従事の3つの工程があります。令和4年の合格率を見てみると、一次試験(28.9%)、二次試験(18.7%)と非常に難しい試験です。難関資格ではありますが、その分信頼性も高いので、しっかり対策してから試験に挑みましょう。

⑦社会保険労務士

7つ目のおすすめの資格は「社会保険労務士」です。社会保険労務士は、労働基準、雇用保険、社会保険といった人材関係の知識を証明できる資格です。社会保険労務士の資格を取れば、社会保険労務士(開業社労士)として独立できます。資格の取得が非常に難しいため、開業社労士として独立したい人におすすめの資格です。

社労士として独立すると「労働社会保険の適用、年度更新、算定基礎届」、「各種助成金などの申請」、「労働者名簿、賃金台帳の調製」、「就業規則・36協定の作成、変更」といった業務を代行します。

令和5年度の受験者数は42,741人に対し、合格者は2,720人と合格率約6.4%の非常に難しい試験です。しっかりと勉強してから試験に挑まなければ合格することが難しいので、対策を怠らないようにしましょう。

参考:社会保険労務士(社労士)の通信講座【資格学校7社を徹底比較】

⑧公認会計士

8つ目のおすすめの資格は「公認会計士」です。公認会計士は、監査・会計の専門家として監査証明を主軸に、会計・税務・コンサルティング業務などをする仕事です。こちらも資格取得の難易度が高いため、公認会計士として独立したい人におすすめとなります。

公認会計士の業務は範囲が広いので、独立して重要のある「税務業務」を中心に仕事を請け負うか、会計コンサルティングや経理全般をアドバイスするコンサルティング業務が多いでしょう。あらゆるシーンで活躍できる公認会計士は、自分次第で働き方を自由に選べることが魅力です。

公認会計士の試験に合格するためには、公認会計士試験(短答式試験、論文式試験)に合格し、3年以上の実務経験を得なければなりません。資格を取得するまでに少なからず3年は必要なので、計画的に行動に移せるようにしましょう。

⑨行政書士

9つ目のおすすめの資格は「行政書士」です。行政書士は官公庁に提出する書類を代行して作成できる資格です。行政書士の資格を取得すれば行政書士として独立できます。主な仕事は以下の通りです。

  • 「官公庁に提出する書類」の作成とその代理、相談業務
  • 「権利義務に関する書類」の作成とその代理、相談業務
  • 「事実証明に関する書類」の作成とその代理、相談業務
  • その他特定業務

参考:行政書士の業務 | 日本行政書士会連合会

官公庁に提出する書類は、1万種類を超えるともいわれており、すべては覚えられません。そのため、需要の高い書類を中心に代理作成しましょう。

行政書士は、実務経験や登録後研修といった資格取得の条件がなく、未経験者でも目指せます。ただし、試験内容は難しく、令和5年度の合格率は13.98%と合格率が低いので、しっかりと対策してから試験に挑みましょう。

参考:行政書士通信講座・予備校おすすめランキング

⑩税理士

10つ目のおすすめの資格は「税理士」です。税理士は、会計業務や確定申告など税に関する書類の作成など、税に関する専門家です。税理士資格を取得し、税理士として独立したい人におすすめとなります。

主な仕事は、確定申告書や相続税申告書といった書類を作成する「税務代理」がメインです。その他にも税務に関する相談や記帳代行、コンサルティング、会計参与といった業務も行います。

ただし、税理士になるには「日商簿記検定1級」と「全経簿記検定上級」に合格している必要があるなど、受験資格を満たす必要があります。また試験範囲も広く、合格するまで数年は勉強する必要があるため、起業の状況を見ながら取得を目指しましょう。

業種ごとにおすすめの資格

上記では起業する人全般におすすめの資格でしたが、次に紹介する資格は業種ごとにおすすめする資格です。業種によって取得しておいたほうが良い資格が異なりますので、自分に合った資格を見ていきましょう。

不動産業におすすめの資格

不動産業におすすめの資格は「宅地建物取引士」と「不動産鑑定士」です。

宅地建物取引士

宅地建物取引士(宅建士)は、不動産の売買契約・賃貸契約などをする場合に必要であり、不動産取引に関する知識を証明する国家資格です。不動産取引する場合は、従業員5名につき1名以上の宅建士の設置が義務付けられています。

令和5年度の合格率は17.2%と難しい試験ですが、不動産業に携わるなら必須ともいえる資格です。独学が難しい場合は専門学校や通信講座を利用して対策しましょう。

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、不動産の地価を判断し、適正な価格・利用を判定する専門家です。不動産鑑定士は固定資産税標準宅地の評価、公共用地の取得、裁判上の評価、不動産に関するコンサルティングなど、さまざまな分野で活躍しています。

接客業におすすめの資格

接客業におすすめの資格は「サービス待遇検定」と「秘書検定」です。

サービス待遇検定

接客業におすすめの資格は「サービス接遇検定」です。サービス接遇検定は、サービス業務に対するマナー、態度、立ち居振る舞い、言葉遣いなどを審査する検定です。サービスに関する知識だけでなく、行動や考え方まで学べます。

サービス接遇検定は、1級~準1級・2級・3級まで11段階あり、令和5年度の合格率は1級(45.1%)、準1級(85.0%)、2級(72.9%)と比較的高いので、積極的に資格取得を目指しましょう。

秘書検定

高度なマナーや教養を身につけたい人は「秘書技能検定」がおすすめです。秘書技能検定は本来、秘書になる人が取得するものですが、接客業にも通ずる知識を学べます。

IT系業種におすすめの資格

IT系業種におすすめの資格は「ITパスポート」と「基本情報技術者」です。

ITパスポート

ITパスポートは、ITを利用するすべての社会人が知っておくべき、ITに関する基礎知識を証明できる資格です。具体的にはAI、IoT、アジャイル、経営全般の知識、セキュリティ、ネットワークの知識など幅広い分野の知識を身につけられます。

令和4年には約174万人が受験するなど人気の高い資格なので、IT系業種の起業を考えている人におすすめです。

基本情報技術者

ITパスポートは基礎知識を証明できる資格ですが、基本情報技術者は応用的な技術や知識を証明する資格です。そのため、まずはITパスポートを取得後に、基本情報技術者に挑戦しましょう。もちろん、ITパスポートよりも難易度は高くなるので、対策も念入りに行いましょう。

美容系業種におすすめの資格

美容系業種におすすめの資格は「AJESTHE認定エステティシャン」と「ネイリスト技能検定」です。

AJESTHE認定エステティシャン

AJESTHE認定エステティシャンは、エステティックサービスの基本知識・技能を持ち、適切にサービスを提供できる能力があることを証明する資格です。

この資格以外にも「AJESTHE認定上級エステティシャン」や「AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー」などエステ関連の資格はいくつかあります。自分の能力に見合った資格の取得を目指しましょう。

ネイリスト技能検定

ネイリスト技能検定は、「正しい技術」と「知識の向上」を目的とした実践に役立つ検定です。1級~3級まであり、ネイリストとして起業する際には取得しておきましょう。2023年秋期までの合格率は、1級(39.22%)、2級(43.04%)、3級(84.98%)です。

アパレル系業種におすすめの資格

アパレル系業種におすすめの資格は「サービス接遇検定」と「カラーコーディネーター」です。アパレル系業種は接客がメインなので、サービス接遇について学んでおきましょう。サービス接遇検定については先ほど紹介していますので、参考にしてください。

カラーコーディネーターは、実践的に色彩の知識を学べる検定試験です。商品やサービスの色によって、大きく売り上げが変わることもあり、色の持つ効果はビジネスシーンにおいて活用できます。センスが問われることの多いアパレル系業種において、カラーコーディネーターの資格が活かされるでしょう。

まとめ

起業するときに必要な資格は業種によっても異なるので、自分に合った資格を取得しましょう。一般的に資格を取得するためには、時間と労力を消費します。本当にその資格が必要なのか検討してから取得することが大切です。

たとえば、社会保険労務士や税理士などは資格を取得する難易度が非常に高いため、それらの独立を考えている人におすすめです。一方、コミュニケーション検定のような資格は、比較的取得する難易度が低いため、どんな人にも向いています。

起業には資格が必須ではありませんが、有利に働く場面は大いにあります。本記事で紹介した資格を参考に、起業を成功に収めましょう。

参考

社労士資格を取るならフォーサイト

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

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この記事の監修者

株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑

株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役

2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。

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