企業の成功率は、年齢や業種、起業家のモチベーションなど、さまざまな要因によって異なります。そこで、起業の成功率が何%か気になる方は多いのではないでしょうか。
企業ごとに成功の定義が異なるので起業の成功率を厳密に数値で表せられませんが、本記事では「企業の生存率=成功率」と仮定して、企業の成功率について解説します。また、起業で失敗しないためにするべき10のポイントについて詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
起業の成功率は?
結論から言えば、起業の成功率を数値で表すことはできません。なぜなら企業ごとに何を持って「成功」とするのか、基準が異なるからです。たとえば、起業して10年間経営が続けば成功とする企業や、売上目標を達成できれば成功という企業などさまざまです。
そこでここでは「企業の生存率=成功率」と仮定しました。企業の生存率とは、設立後から何年間、企業が生存しているかを表す確率です。
上記のグラフは、中小企業庁が発表した「中小企業白書2016年版」から抜粋した企業の生存率を表すデータです。創業してから10年後には72%、20年後には55%、30年後には43%の企業が生存しています。30年続く企業を「成功した」と捉えるのであれば、起業の成功率は半分以下といえるでしょう。
上記のグラフは、データベースに企業情報が収録されている企業のみで集計されています。実際の数値よりも高くなっている可能性があるので、あくまで目安として考えてください。
中小企業庁が発表した「中小企業白書2017年版」の調査結果によれば、海外(米国、英国、ドイツ、フランス)に比べると、日本の企業生存率が高いことがわかります。上記の2つのグラフから考察すれば、日本は海外(米国、英国、ドイツ、フランス)と比較すると起業に成功しやすい国だといえるでしょう。
起業で失敗しないためにするべき10のポイント
誰しも起業して成功を収めたいと思っています。起業で失敗しないためにどうすれば良いか、10のポイントを紹介しますので、見ていきましょう。
①副業として始めてみる
いきなり起業するのではなく、副業として挑戦してみることが失敗しないためのポイントのひとつです。副業であれば、仮に失敗したとしても本業で収入を得ているため、リスクが低くなります。副業として始めるとリスクが軽減される以外にも、さまざまなメリットがあります。
起業が自分に向いているかチェックできる
起業したけど自分には向いていないと感じる人も少なくありません。経営者と労働者では思考が異なるので、経営者としての考え方を持てない人は起業に向いていないでしょう。副業として始めると起業をシミュレーションできるため、自分が起業に向いているか確かめることが可能です。
経営者としての経験値が上がる
起業すると、資金計画や利益など自分自身でお金について学ぶ必要があります。会社員では体験できない、経営者としての経験が積めるでしょう。
またたとえ副業での起業が失敗したとしても、そのときの経験値をもとに再挑戦することが可能です。
起業資金にもなる
副業で収入を得られれば、その収入を起業資金として利用することが可能です。本業での収入は生活費に充て、起業資金は副業で貯めるといった運用なら、無理をせずに起業資金を貯められます。
②起業に関する基礎知識を学ぶ
起業に関する基礎知識は非常に多く、以下のようなものがあります。
- お金(資産)に関する知識
- 法律に関する知識
- マーケティングに関する知識
- 営業に関する知識
- 起業する分野の専門知識 など
これらの知識は義務教育(学校)で教わることではありません。知識が多ければ多いほど、臨機応変に対応しやすくなるので、自分自身で学ぶ必要があります。
効率良く基礎知識を学ぶなら、資格取得がおすすめです。たとえば、お金に関する知識を増やしたい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を目指しましょう。資格を取得していると、社会的信用も高くなり、起業時にも役立ちます。
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③自分の強みを活かして起業する
自分の強みを活かして起業すると知識量や経験値が備わっているため、的確に行動できます。また、他社との差別化を図れるでしょう。
自分の強みがわからない人は以下の方法を試してみてください。
- 自分の好きなことや熱中したことを洗い出す
- 自分の得意なことを洗い出す
- 自分の実績(数値で表せるもの)を振り返る
- 過去に困難なことを克服したときの経験を振り返る
- 他人に教えてもらう
- 強みを診断できるツールを使う など
起業するうえでは、自分の強みが非常に重要です。自分を知ることは、失敗しないためのポイントのひとつといえるでしょう。
④協力し合える仲間を作る
起業すると、不安や悩みが出てきたり、行き詰まったりすることが必ずあります。そんなときに協力・相談できる仲間がいると心強いでしょう。第三者の視点からアドバイスをもらうことで、自分では気が付かないことも発見できます。
また、ひとりで考えるよりも2人、3人で考えたほうがアイデアも出やすく、段取り良く物事を進めることが可能です。協力し合える仲間を見つけるためには、セミナーに参加したり、SNSで探したり、ビジネスプランコンテストに参加したりなど、いくつかの方法を試しましょう。
⑤綿密な事業計画書を作成する
起業の際に、綿密な事業計画書を作成することは大切です。事業計画書は、経営者がもつイメージを可視化することで整理し、明確にすることを目的として作成されます。事業計画書を作ることで、事業が計画通りに進んでいるか、事業内容を見直すところはないか、といったことを判断できます。
事業計画書に記載する内容は以下の通りです。
- 事業の概要
- 事業内容・コンセプト
- 経営者に関する情報
- 競合について
- 経営戦略・販売戦略
- 売上・利益・支出について など
最低でも月ごとの事業計画書と、年度ごとの事業計画書を作成します。3年や5年後の中期的な事業計画書があれば、さらに良いでしょう。
事業計画書は、事前に作成しておくものですが、起業後に変更しても構いません。起業してみると計画通りにはいかないときが何度もあります。そのたびに、修正を繰り返し、より良い事業計画書にしておきましょう。軌道修正を加える目安としては、毎月の終わりや四半期、年の終わりなどがおすすめです。
⑥資金調達ルートを確保する
事業内容によって異なりますが、自己資産だけでは足りない場合、資金調達する必要があります。その際には、何にどのくらいの金額が必要なのか、項目ごとに分けて考えることが大切です。また、足りない金額はどこから調達するのかをも考えておきましょう。
上記のグラフは、日本政策金融公庫が行った「2023年度新規開業実態調査」から抜粋した資金調達先と調達額を表したグラフです。年を重ねるごとに資金調達額が減っていることがわかります。
自己資金だけでは足りない人が借り入れするなら、銀行や金融機関からの融資を検討しましょう。そのほか、補助金や助成金を活用する人もいます。起業時におすすめの補助金・助成金は以下の通りです。
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
- 事業承継・引継ぎ補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 人材確保等支援助成金
自分の起業状況に合った資金調達ルートをいくつか確保しておきましょう。
⑦熱意を持って事業に取り組む
知識やノウハウも必要ですが、起業を成功させるためには事業に熱意を持って取り組むことが大切です。もちろん根性論ではなく、現状に妥協せず、常に向上心をもって事業を成長させる「ストイックさ」のことを指します。
しかし、ずっとモチベーションを高く維持することが難しい場合もあります。モチベーションが下がってしまうことは仕方ありませんが、モチベーションが下がったときの対処方法を知っているかが重要なポイントです。モチベーションを下げないために、相談仲間と話したり、達成可能な小さな目標を立てたり、なぜ起業したのかを思い出したりして、事業に対する熱意をキープしましょう。
⑧社会が求めるニーズを捉える
ビジネスとして成り立たせるためには、社会のニーズに応える必要があります。たとえば、次のA・Bの従業員を例に考えてみましょう。
【従業員A】
消費者がほしい商品の特徴を聞き、いくつかラインナップを提案しながら商品を紹介する
【従業員B】
自社が売りたい商品を売り込むために、その商品のみを熱心に紹介する
少し極端な例ではありますが、商品を購入するときに従業員Aに接客してもらいたいと思うはずです。起業もこのような考えと同じで、消費者(社会のニーズ)が求めているものを捉え、提供しなければ売上を伸ばせません。従業員Bのように自分の好きなこと(売りたい商品)を仕事にしていては、事業が成り立たないでしょう。
社会のニーズを捉えるためには、市場調査をし、展開したい起業アイデアに需要があるのかを分析する必要があります。
⑨短期・長期のどちらの視野も考える
起業を成功させるには、短期的かつ長期的な視野を持っていることが大切です。起業家には2つのタイプに分かれる傾向があります。1つは目の前を意識してしまう短期的なタイプ、もうひとつは、遠くを意識してしまう長期的なタイプです。
短期的なタイプは、目の前の顧客への対応や資金操りが得意で、着実に実績を積み上げられます。しかし、目の前ばかりを見すぎてしまい、ビジネスの方向性を誤ってしまうなど長期的に経営を判断することが苦手です。
長期的なタイプは、マーケティングや顧客のニーズに応えた商品開発など、ビジネスプランを構築することが得意です。しかし、商品自体は良いものの顧客への対応が上手くいかず、ビジネスを展開できなくなる可能性があります。
どちらかの視点だけに特化してしまうと起業は成功できないため、両方の視点から考えることが重要です。自分がどちらのタイプなのかを把握し、どちらか一方の視点に偏らないように気を付けましょう。
参考:株式会社Epace(イーペース)|総合マーケティングカンパニー
⑩日ごろから勉強する
起業してから事業が軌道に乗るまでは忙しい日々が続くでしょう。しかし、そんななかでも日々勉強を重ねることで、起業やビジネスについての知識も深まり、成功へと近づいていくはずです。
ライバルと差別化を図ることも成功へのポイントになります。日々勉強を欠かさず、知識や情報を増やしていくことが大切です。
まとめ
起業の成功率は企業ごとに基準が異なるため、一概に断言できません。「起業の成功率=企業の生存率」と仮定した場合、創業してから10年後には72%、20年後には55%、30年後には43%が起業の成功率です。
起業で失敗しないためには、最初は副業として始めてみたり、自分の強みを良く知ったりすることが大切です。本記事で紹介している失敗しないための10のポイントを参考にしつつ、起業に挑戦してみましょう。
参考
参考サイト:ノーコード・AI専門の開発会社Walkers
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑
株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役
2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。
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