法人口座開設で求められる必要書類は何?取得方法や審査の流れを解説

[投稿日]2025年01月24日 / [最終更新日]2025年01月28日

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法人口座開設で求められる必要書類は何?取得方法や審査の流れを解説

法人口座開設をスムーズに進めるには、事前に必要書類を準備することが重要です。初めて開設する場合、どのような書類を用意すれば良いか疑問に思うのではないでしょうか。

本記事では、法人口座で求められる必要書類と、それぞれの取得方法を紹介します。後半では、必要書類が少ない銀行も紹介しますので、あわせてご参考ください。

法人口座開設で一般的に求められる必要書類は?

法人口座開設で求められることの多い必要書類

ここでは、店舗型銀行・ネット銀行の法人口座開設で求められる必要書類を紹介します。

店舗型銀行

店舗型銀行の法人口座開設で一般的に求められる必要書類は、以下のとおりです。

  • 履歴事項全部証明書
  • 法人の印鑑登録証明書
  • 建物謄本もしくは賃貸借契約書
  • 手続者の本人確認書類
  • ※主たる事業の許認可証
  • ※実質的支配者の確認ができる書類
  • ※代表者および取引担当者の在留カード
  • ※委任状

※は状況に応じて提出を求められる書類です。

法人の印鑑登録証明書と履歴事項全部証明書は、発行から6ヶ月以内のものと規定されていることが多いです。

ネット銀行

ネット銀行の法人口座開設では、一般的に以下の必要書類が求められます

  • 代表者の本人確認書類
  • 事業内容が確認できる書類
  • ※法人住所の補完書類
  • ※外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)に係る確認書
  • ※主たる事業の許認可証

法人口座開設で求められる必要書類の各概要

ここでは、法人口座開設で求められる必要書類の概要を紹介します。今回紹介するのは、以下7点の必要書類です。

  • 履歴事項全部証明書
  • 法人の印鑑証明書
  • 本社確認書類
  • 代表者の本人確認書類
  • 事業内容確認書類
  • 事業実態確認書類
  • 許認可証等

履歴事項全部証明書

履歴事項全部証明書

履歴事項全部証明書とは、法人の登記内容を証明するためのものであり、会社名・所在地・代表者・資本金・事業内容など、法人の基本情報が記載されています。一般的な有効期間は発行から3ヶ月以内とされていますが、店舗型銀行のホームページを確認すると、6ヶ月以内であれば可としているケースが多くみられます。

6ヶ月を超える古い証明書では、必要書類の要件を満たさない可能性が高いです。そのため、過去に発行した履歴事項全部証明書を使用する場合は、注意が必要です。左下部に発行日が記載されているので、提出前に有効期限内か否かを確認しておくと安心です。

履歴事項全部証明書の取得方法は、最寄りの法務局での窓口申請とオンライン申請の2つです。窓口では即日取得ができますが、法務局へ訪れる必要があり、手間と時間がかかります。

オンライン申請は郵送に数日かかるため、受け取りまでに時間がかかります。急ぎ必要書類をそろえたい場合は、法務局で取得するのがおすすめです。

法人の印鑑証明書

法人の印鑑証明書

法人の印鑑証明書は、法務局に登録された法人代表印が正式なものであることを証明するための書類です。こちらも、一般的な有効期間は3ヶ月以内とされていますが、法人口座開設においては6ヶ月以内とされているケースがほとんどです。

法人の印鑑証明書は、法人の本店所在地を管轄する法務局で申請するか、オンライン申請サービスを利用することで取得できます。窓口申請では即日、郵送の場合は数日かかるため、緊急度に合った取得方法を選択すると良いでしょう。

本社確認書類

本社確認書類は、法人が実際に登記された住所で事業を運営していることを確認するための書類です。具体的には、以下が本社確認書類に該当します。

  • オフィスの賃貸契約書
  • 公共料金の領収書(電気・水道・ガスなど)
  • 固定電話やインターネット回線の請求書

上記の書類は法人名義であり、登記上の本店所在地の住所が記載されている必要があります。登記住所が賃貸物件である場合は、賃貸借契約書のコピーが求められることが多く、自宅を本社としている場合は公共料金の請求書が有効です。

代表者の本人確認書類

法人口座を開設する際には、代表者の本人確認書類が必須です。 一般的に、以下の書類が該当します。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • マイナ保険証
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

上記の書類は、有効期限内であることが必須です。なお、基本的には上記1点の提出で完了しますが、写真との不一致が発生した場合や、住所を変更した場合などには、補完書類を求められる可能性があります。

事業内容確認書類

事業内容確認書類は、法人がどのような事業を行っているかを明確に示すためのものです。一般的に、以下の書類が該当します。

  • ホームページ
  • パンフレット・チラシ
  • 事業計画書
  • サービス提案書

事業内容確認書類では、記載された内容の具体性と根拠に重きが置かれます。たとえば、ホームページを提出する場合、コンテンツ量の少ない簡易的なWebサイトではなく、第三者が見ても信頼できるように作り込んでいる必要があります。

一部の銀行では、法人口座開設の必要書類に関する要件を公開しているため、不安な場合は確認しておくと良いでしょう。

なお、設立直後の法人では、事業開始前で必要書類が揃わないケースもあります。この場合、事業内容を記載した自己申告書など数点の書類を提出し、銀行側に必要書類が揃わない旨を伝えておくのが効果的です。

事業実態確認書類

事業実態確認書類は、法人が実際に事業を行っているかどうかを金融機関に示すためのものです。一般的に以下の書類が該当します。

  • 他社発行の納品書・請求書
  • 通帳の入出金履歴
  • 締結済みの契約書
  • 商品・サービスに関する口コミ
  • 第三者が関与したメールの履歴

事業実態確認書類では、記載された情報の客観性が重視されます。これは、書類の偽造を防止するためです。

基本的には他社や行政機関が発行した書類が求められ、用意できない場合は、自社発行書類と補完資料の両方が求められます。設立直後で取引を開始していない場合は、事業計画書や見積書、ホームページのURLなどを補完書類として提出しましょう。

許認可証等

許認可証や届出書類、登録証明書が必要な業種の場合、これらの必要書類を提出します。許認可証等が求められる業種は以下のとおりです。

  • 飲食業:飲食店営業許可証
  • 古物商:古物商許可証
  • 建設業:建設業許可証明書
  • 運送業:有償運送許可証

これらの許認可証は、事業所を管轄する各地方自治体の窓口や業界団体に申請して取得するのが一般的です。申請時には事業内容や所在地、代表者情報の提出が求められ、発行までに一定の期間がかかります。

なお、許認可が必要な業種でありながら、上記の必要書類を提出しないと、銀行側から追加提出を求められます。その分、審査の開始が遅れるため、忘れずに必要書類を提出してください。

その他で求められることのある必要書類

法人口座を開設する際には、上記以外にも以下の必要書類を求められる可能性があります

書類名概要必要な場合
代表者および取引担当者の在留カード外国籍の代表者・担当者の在留資格や在留期間を確認する書類代表者または取引担当者が外国籍の場合
実質的支配者を確認できる資料法人を実質的に支配する人物(株主など)の情報を示す書類実質的支配者が複数いる、もしくは不透明な場合
外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)に係る確認書国際的な税務コンプライアンスを確保するための確認書類法人が海外取引を行う場合
特定取引を行う者の届出書特定の業種や高額取引に該当する法人が提出する書類特定業種(金融業、貴金属取引など)に該当する場合

法人の事業形態や代表者の属性などによって必要書類が異なるため、不安な場合は法人口座を開設する銀行へ確認すると良いでしょう。

一般的な法人口座開設の流れ

一般的な法人口座開設の流れ

一般的な法人口座開設の流れは以下のとおりです。

  1. 申し込み・申し込みフォームへの入力
  2. 必要書類の提出・アップロード
  3. 面談・審査
  4. 郵便物の受け取り・初期設定

申し込み・申込フォームへの入力

まずは、法人口座開設の申し込みです。Webサイトから申請する場合は、銀行のホームページから申請します。

また、窓口で申し込む場合は、法人口座開設に対応した最寄りの店舗にて手続きします。一般的に、法人口座開設の申し込み時には、以下の情報を求められます

  • 法人番号
  • 法人名
  • 所在地
  • 設立年月日
  • 資金の性質
  • 資本金額
  • 年間売上高
  • 事業内容
  • 従業員数
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • ホームページの有無
  • 代表者情報
  • 実質的支配者の情報

上記の情報に誤りがあると、審査期間が長くなる傾向にあります。法人口座をスムーズに開設するためにも、情報の誤りが無いかを確認し慎重に記入しましょう。

必要書類の提出・アップロード

次に、以下の必要書類を提出します。

  • 代表者または手続き担当者の本人確認書類
  • 事業内容確認書類
  • 履歴事項全部証明書(発行から6ヵ月以内)
  • 法人の印鑑証明書(発行から6ヵ月以内)
  • ※許認可・届出・登録等の完了が確認できる資料
  • ※委任状
  • ※代表者および取引担当者の在留カード
  • ※実質的支配者を確認できる書類

※は、状況に応じて提出を求められる書類です。

なお、法人口座開設の必要書類は、以下の方法で提出します。

  • Webアップロード:Web申請の場合
  • 郵送提出:Web・来店申請の場合
  • 窓口提出:来店申請の場合

必要書類を準備する際は、銀行が定めた要件を満たしているかを確認することが重要です。銀行が求める情報が記載されていなかったり、有効期限が切れていたりすると、追加書類を求められる恐れがあるためです。

また、必要書類のみで審査に通過できるか不安な場合は、いくつかの補完書類も提出するのがおすすめです。積極的に情報を開示することで、銀行からの心象が良くなるでしょう。

審査・面談

必要書類の提出が完了すると、法人口座開設の審査が実行されます。審査では、提出された書類の内容確認や事業の実態調査、代表者の本人確認などが行われます。

店舗型銀行では、面談が行われることが多く、事業内容や取引目的について口頭で説明を求められるケースがあります。一方、ネット銀行では書類審査が中心で、面談が行われることはほとんどありません。

その代わり、書類の正確性や不足がないかがより厳しくチェックされます。審査期間は銀行形態によって異なり、ネット銀行では最短即日〜1週間、店舗型銀行では1週間〜1ヶ月が一般的です。

郵便物の受け取り・初期設定

法人口座の開設が完了すると、銀行から郵便物が送付されます。この郵便物には、口座開設通知書やキャッシュカード、インターネットバンキングのログイン情報などが含まれています。

これらを速やかに受け取り、初期設定をします。 初回ログイン時には、パスワードの変更や二段階認証の設定が必要です。初期設定が完了すると、法人口座の利用を開始できます。

法人口座の審査が「厳しい」と言われるのは本当?

法人口座の審査が厳しいと言われる理由

一般的に、法人口座の審査は厳しいと言われており、以下の理由から年々その厳しさも高まっています。

  • 口座の不正利用を防止するため
  • 長期的な関係構築を見据えているため

法人口座の審査が厳格な一番の理由は、不正利用やマネー・ロンダリングを防止するためです。法人口座は個人口座よりも取引額が大きい傾向にあり、正当な取引の中に高額な不正取引を紛れ込ませるといったことが行われます。

上記のような理由で個人口座よりも厳格に審査が行われるため、提出書類に不備があったり、事業内容が不透明だったりすると、審査落ちになる可能性が高いのです。

なお、金融機関が法人口座を開設する際、顧客との長期的な関係構築を前提として審査します。法人の経営状況や事業の安定性が確認できない場合、将来的な倒産のリスクがあるとして、審査落ちにするケースがあります。

法人口座の審査が厳しい理由や具体的な対応策を、以下の記事で紹介しています。審査に不安を感じている方は、ぜひご参考ください。

法人口座をスムーズに開設できる銀行の特徴

法人口座をスムーズに開設できる銀行の特徴

法人口座をスムーズに開設できる銀行には、以下の特徴があります。事業をいち早く開始するために急ぎ法人口座を開設したい方は、以下に該当する銀行を選ぶと良いでしょう。

  • 必要書類が少なくて済む
  • 審査期間が短い

必要書類が少なくて済む

法人口座をスムーズに開設するには、必要書類が少なくて済む銀行を選ぶことがポイントです。 特に、ネット銀行は必要書類が比較的少ない傾向にあります。

ネット銀行は店舗型銀行と異なり、オンライン完結型のサービスを提供しているため、審査や確認のプロセスが最適化されています。そのため、代表者の本人確認書類や事業内容の確認書類など、必要最低限の書類で審査を実行できるのです。

以下では、ネット銀行のなかでも特に必要書類が少ない3行を比較しています。

必要書類
GMOあおぞらネット銀行・本人確認書類
・事業内容確認書類
※法人住所の補完書類
※外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)に係る確認書
※特定取引を行う者の届出書
住信SBIネット銀行【オンライン申請】
・本人確認書類
【郵送申請】
・本人確認書類
・口座開設申込書
PayPay銀行【ホームページ有】
代表者または取引担当者の本人確認書類
※口座開設申込書
※印鑑証明書
【ホームページ無】
口座開設申込書代表者または取引担当者の本人確認書類
会社実態の確認書類
事業内容確認書類
※印鑑証明書

※は、申込者の状況に応じて提出を求められる書類です。

上記のネット銀行では、必要書類の不備を防ぐために、ホームページにて各書類の要件を公開しています。非常に細かく記載されているため、申し込み前に確認しておくと審査をよりスムーズに進められるでしょう。

審査期間が短い

法人口座をスムーズに開設するには、審査期間が短い銀行を選ぶことが重要です。 ネット銀行やオンライン対応が充実している銀行は、審査が比較的迅速に行われる傾向にあります。

理由は先ほどと同様で、申し込み〜審査までの工程をオンライン上で最適化しているためです。申込内容や提出書類がデジタルで管理されるため、人的ミスや確認の時間が発生しにくいのです。

一方、メガバンクや地方銀行では、審査に1週間〜1ヶ月かかることもあります。法人口座をスムーズに開設するには、ネット銀行を選択するのがおすすめです。以下では、法人口座開設の審査期間が短い3行を比較しています。

銀行名審査スピード
GMOあおぞらネット銀行最短即日~平均2営業日
住信SBIネット銀行オンライン:最短翌営業日
郵送:1週間程度
PayPay銀行最短3日~10日程度

法人口座の開設なら、ネット銀行がおすすめ

法人口座の開設ならネット銀行がおすすめの理由

初めて法人口座を開設するなら、ネット銀行を選択するのがおすすめです。一般的に、ネット銀行は必要書類が少なく、審査期間が短いため、スムーズに法人口座を開設できます。

また、店舗型銀行よりも口座維持手数料や振込手数料が安価に設定されており、コストを削減しやすい点が魅力です。以下では、主要なネット銀行の各種手数料を比較しています。

口座維持手数料同行宛振込手数料他行宛振込手数料
GMOあおぞらネット銀行無料無料145円
※129円
※振込料金とくとく会員
住信SBIネット銀行無料無料145円
※130〜145円
※振込優遇プログラム
PayPay銀行無料通常:55円
※月5回まで0円
通常:160円
※月5回まで0円
楽天銀行無料52円3万円未満:150円
3万円以上:229円
イオン銀行2,200円無料5万円未満:220円
5万円以上:440円

各種手数料が特に安いのは、GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行です。この2行は、口座維持手数料と同行宛振込手数料が無料です。

他行宛振込手数料も1件あたり145円とお手頃です。また、振込手数料の割引制度もあるため、取引先や顧客などへの振込が多い場合でもコストを抑えやすいでしょう。

まとめ

本記事では、法人口座開設の必要書類を紹介しました。一般的には、店舗型銀行よりネット銀行のほうが、必要書類が少ない傾向にあります。

また、ネット銀行は審査期間が短く設定されているため、比較的スムーズに法人口座を開設できるでしょう。以下の記事では、法人口座を開設できる11の銀行を比較しています。

サービス内容ごとに一覧表へまとめているので、ぜひ銀行選びの参考になさってください。

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1

月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。

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この記事の監修者

株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑

株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役

2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。

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