法人口座を利用するメリット・デメリットは何?開設の是非を判断しよう

[投稿日]2025年01月20日

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法人口座を利用するメリット・デメリットは何?開設の是非を判断しよう

法人を設立して事業を始めるにあたり、法人口座の開設を検討する方が多いでしょう。ここで疑問に思うのが、法人口座を保有することに、どのようなメリットがあるのかです。

この記事では、法人口座を開設するメリット・デメリットを解説します。また、目的別に法人口座の選び方もまとめているので、ぜひご参考ください。

法人が「法人口座を開設しない」という選択肢はある?

法人が法人口座を開設しないことは可能?

法人が、「法人口座を開設しない」という選択をすることは可能です。法人口座は、あくまで金融機関が提供する商品のひとつであり、法律上、法人が個人口座を利用することに問題はありません。

その証拠に、起業直後で法人口座が開設されるまでの期間は、個人用口座を利用するケースがあります。ただし、法人が長期的に個人口座を利用する場合には、以下のデメリットがあるため、あまりおすすめはできません。

  • 取引先や顧客からの信用リスクに関わる
  • 会計処理に手間がかかる
  • 税務調査で不信感を与える恐れがある
  • 銀行によっては利用規約に抵触する

法人口座を利用するメリット

法人口座を利用するメリット

ここでは、法人口座を利用した場合に期待できる、以下4つのメリットを紹介します。

  • 社会的信用を高められる
  • 資金を管理しやすくなる
  • 法人の支払いがしやすくなる
  • 融資を受けやすくなる

社会的信用を高められる

法人口座を利用することで、企業としての社会的信用を高められます。

まず、法人口座を開設するには、銀行で厳格な審査が行われます。審査では、法人登記の有無や事業内容、経営者の本人確認など、多くの項目がチェックされ、その基準をクリアした場合に口座を開設できます。この審査を通過しているという事実は、取引先や顧客、従業員に対して「信頼できる企業である」という客観的な証明になります。

なお、一般的にメガバンクや都市銀行の法人口座は、開設審査が厳しいとされているため、こうした銀行で法人口座を開設できれば、より社会的信用を高めやすくなります。

資金を管理しやすくなる

法人口座を開設することで、資金を管理しやすくなります。これは、法人口座を使用することで、個人資金と法人資金を明確に分けられるためです。

仮に、個人口座をビジネス用途で使用していると、プライベートな支出と事業の経費が混在し、正確な財務状況を把握することが難しくなります。しかし、法人口座を使えば、事業のお金の流れが整理され、会計業務の負担が軽減されます。

また、多くの法人口座は会計ソフトとの連携が可能です。日々の入出金データを自動で取り込むことで、ミスや、手動で記帳する手間が減少し、月次や年次決算の精度も向上するでしょう。

法人の支払いがしやすくなる

法人口座を開設すると、法人の支払い手続きがスムーズになります。たとえば、法人名義のクレジットカードを発行し、その引き落とし口座として法人口座を指定することで、毎月の経費支払いを自動化できます。

これにより、支払い漏れや遅延のリスクを減らせるでしょう。また、口座振替やPay-easy(ペイジー)を利用することで、税金や各種公共料金、取引先への支払いをオンライン上で簡単に完了できます。わざわざ銀行窓口へ出向く手間や時間を大幅に削減できます。

融資を受けやすくなる

法人口座を開設することで、金融機関からの融資を受けやすくなります。一般的に、銀行は融資の際に、企業の財務状況や取引実績を重視します。

法人口座を通じて日々の取引を行うことで、企業の収支や経営状況が明確になり、銀行からの信頼性が向上します。事業拡大のために資金調達が必要な際、法人口座での取引実績が豊富であれば、銀行は企業の健全性を評価しやすくなるでしょう。

これにより、融資審査の際に有利に働き、必要な資金を迅速に調達できる可能性が高まるのです。

また、銀行の融資商品は、法人用と個人事業主用とで異なる場合があります。個人事業主用の融資商品は、法人用よりも借入上限額や金利などの条件面が悪い傾向にあります。そのため、より好条件で資金を調達するには、法人口座を開設するのがおすすめです。

法人口座を利用するデメリット

法人口座を利用するデメリット

一方で、法人口座を利用する際には、以下のデメリットがある点に注意が必要です。

  • 口座開設や審査に手間暇がかかる
  • 振り込みや口座維持に費用がかかる

口座開設や審査に手間暇がかかる

法人口座を利用する大きなデメリットは、口座開設や審査に多くの手間がかかることです。一般的に、個人口座の場合は、必要情報を申請し、本人確認書類をアップロードするだけで口座開設が完了します。

一方、法人口座の場合は、以下の必要書類を求められるケースが一般的です。

  • 代表者の本人確認書類
  • 実質的支配者に関する届出書
  • 印鑑証明書
  • 履歴事項全部証明書
  • 事業内容確認書類
  • 法人口座開設申込書(※郵送申請の場合)

また、法人口座は審査が厳格な傾向にあるため、開設までに時間を要する可能性があります。個人口座のように手軽に開設できない点は、法人口座ならではのデメリットです。

振り込みや口座維持に費用がかかる

法人口座を利用していると、主に以下の費用が発生します。

  • 口座維持手数料
  • 振込手数料
  • そのほかサービスの利用費・手数料

ネット銀行のように、口座維持手数料を無料とする金融機関もありますが、店舗を持つ銀行・信用金庫の法人口座では、月額数千〜数万円の費用が発生します。また、別の口座へ振り込みをする場合、取引ごとに数百円程度の振り込み手数料が発生します。

加えて、インターネットバンキング利用料や外貨取引手数料、ビジネスデビットカードの年会費など、利用するサービスに応じて追加で費用がかかる場合があります。一般的に、法人口座の各種費用は高めに設定されているため、コストを抑えたい場合は手数料の安い銀行を選択することが重要です。

目的別における法人口座の選び方

目的に合った法人口座の選び方

法人口座のメリットを最大限に活かしたり、デメリットを最小限に抑えたりするには、目的にあった金融機関を選択することが重要です。ここでは、以下の目的別におすすめの金融機関の形態を紹介します。

  • 手数料の安さ・審査の柔軟さ:ネット銀行がおすすめ
  • 融資の受けやすさ:信用金庫・組合がおすすめ
  • 社会的信用の高めやすさ:メガバンクがおすすめ

手数料の安さ・審査の柔軟さ:ネット銀行がおすすめ

手数料の安さと審査の柔軟さを重視するなら、ネット銀行がおすすめです。ネット銀行は、基本的に店舗を持たず、インターネット上で取引を完結する銀行のことです。

従来の銀行のような店舗やATMを持たないことで、土地代や人件費などを削減し、その分、手数料を安価に設定しています。また、メガバンクや都市銀行が、中小企業〜大企業との取引をメインにする一方で、ネット銀行はスタートアップ〜中小企業をターゲットとしています。

対象とする事業者の規模が小さい分、必要書類が少なかったり、審査期間が短かったりと、比較的柔軟に口座の開設可否を判断する傾向にあります。以下では、主要なネット銀行を比較しています。

銀行名口座維持手数料当行宛振込手数料他行宛振込手数料
GMOあおぞらネット銀行無料無料145円
※129円
※振込料金とくとく会員
住信SBIネット銀行無料無料145円
※130〜145円
※振込優遇プログラム
楽天銀行無料52円3万円未満:150円
3万円以上:229円
PayPay銀行無料通常:55円
※月5回まで0円
※預金平均残高3,000万円以上
通常:160円
※月5回まで0円
イオン銀行2,200円無料5万円未満:220円
5万円以上:440円

融資の受けやすさ:信用金庫・組合がおすすめ

融資の受けやすさで選ぶなら、信用金庫・組合が適しています。信用金庫・組合は、地域密着型の非営利金融機関であり、地域経済の発展を目的として運営されています。

会員制を採用し、営業範囲が法律で限定されているため、地域内の住民や中小企業への支援に積極的です。特に、中小企業においては、企業の実情や将来性を総合的に評価し、柔軟な融資判断が行われます

また、金融支援にとどまらず、資金繰りや事業計画に関する相談支援など、経営全般のサポートも受けられます。信用金庫・組合は地域経済への理解が深く、大手銀行では評価しづらい部分も柔軟に考慮する傾向にあるため、中小企業にとって心強いパートナーと言えます。

社会的信用の高めやすさ:メガバンクがおすすめ

社会的信用の高さで選ぶなら、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行などのメガバンクがおすすめです。メガバンクは知名度が高く、なおかつ法人口座の審査が厳格だと言われています。

そのため、メガバンクで法人口座を開設できたという実績は、自社の信用度を示す根拠となります。たとえば、ホームページの取引企業欄にメガバンクの名前を記載できれば、それを見た取引先や顧客は、「信用できる会社だ」と判断しやすくなるでしょう。

ただし、メガバンクの法人口座開設には、多くの必要書類と手続きの時間がかかる点に注意が必要です。急ぎ法人口座を開設したい場合は、審査期間の短いネット銀行で法人口座を開設し、その後メガバンクへ申し込むのがおすすめです。

まとめ

本記事では、法人口座を利用するメリット・デメリットを紹介しました。法律上、法人が個人口座を利用することもできますが、信用リスクや会計処理の手間を考えると、法人口座がおすすめです。

また、法人口座があれば、企業向けの融資を受けやすくなるため、事業を少しでも有利に進めたい事業者に適しています。なお、銀行によって、法人口座のサービス内容が大きく異なるため、それぞれの特徴を細かく比較し、目的にあったものを選択してみてください。

以下の記事では、法人口座を開設できる11の銀行を比較しています。サービス内容を一覧表にまとめているので、ぜひご覧ください。

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1

月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。

https://virtualoffice1.jp/

この記事の監修者

株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑

株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役

2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。

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