バーチャルオフィスは古物商の営業所として使用できる?

[投稿日]2022年12月03日 / [最終更新日]2023年12月21日

バーチャルオフィスは古物商の営業所として利用できる?

バーチャルオフィスは古物商の営業所として使用できますか?

古物商を営む際、バーチャルオフィスは営業所として使うことはできません。

古物商は開業するにあたり、営業所の許可申請が必要です。しかし、バーチャルオフィスの住所は「法律(古物営業法)が定める営業所」の条件を満たしていないため、使用が認められていません。

中古販売事業を行いたいとき、古物商の許認可を受ける必要があります。その際、必ず必要になるのが営業所。しかしバーチャルオフィスの住所は、営業所として古物商の許可申請に使うことができません。

当ページではその理由や「営業所はどこに設定すればいいの?」という疑問にお答えしていきます。

バーチャルオフィスは古物商の営業所には使えない!

バーチャルオフィスは古物商の営業所に使えない!

バーチャルオフィスは古物商を営む際、営業所として使うことはできません。

古物商は開業するにあたって、都道府県公安委員会から「許可」を得なければなりません。なぜなら中古品を扱う事業であることから、盗品の流通の防止・発見するために許可が必要だと法律で定められているからです。

古物商の許可を受けるには営業所が欠かせませんが、バーチャルオフィスの住所は「法律(古物営業法)が定める営業所」の条件を満たしていないため、使用が認められていません。

一方で開業届に提出する住所や、本社の住所としてであれば利用できます。シーンに応じて賢く使い分けましょう。

古物商とは?

古物商とは?

古物商とは、古物営業法によって定められている古物を売買したり、交換したりする事業を営む法人・個人のことです。

たとえば、古着を買い取って販売したり、中古車を安く仕入れて販売したりする行為は古物商にあたります。リサイクルショップのように店舗で行う形態はもちろん、Webを介して行われる場合も同様に古物商と見做され、事業活動を行うには古物商許可を得る必要があります。

古物商を行うには古物商許可が必要

古物商許可が必要なのは、下記のような事業を行う場合です。

<一例>

  • 中古品を仕入れて販売する
  • 中古品を仕入れて、修理してから販売する
  • 仕入れた中古品の一部を販売する
  • 中古品販売を代理で担い、手数料を受け取る
  • 中古品を仕入れて有料でレンタルする
  • 中古品を物と交換して仕入れする
  • 日本で仕入れた中古品を海外で販売する

洋服、本、車、ガジェット機器など、仕入れるものが何であれ、「中古品」を仕入れて販売業・レンタル業などを行う際には、都道府県公安委員会から古物商許可を得なければなりません。

事実、古物営業法では下記の通り、明記されています。

第三条

前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会 (以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

※出典:「e-GOV法令検索 古物営業法」

一方で、下記のパターンでは古物商の許可は必要ありません。

<一例>

  • 自分が使用しなくなったものを販売する
  • 無償でもらったものを販売する
  • 新品を仕入れて販売する

たとえば自分が着なくなった洋服をメルカリで売ったり、読まなくなった漫画を古本屋に売ったりする行為では、古物商の許可は必要ありません。

そもそも古物商の許可は、盗品などの売買を防止・発見するために古物営業法で規定されているルールのひとつ。自分が所有していた物の所有権は「自分」にあるため、フリーマーケットやフリマアプリでの販売は認められています。

古物商の許可を得るには営業所が必要

古物商の許可を得るには、古物事業を行う拠点となる場所となる「営業所」が必要です。

古物営業法でも下記の通り、営業所に関する情報を提出するよう明記されています。

第五条

第三条の規定による許可を受けようとする者は、その主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。この場合において、許可申請書には、国家公安委員会規則で定める書類を添付しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

二 主たる営業所又は古物市場その他の営業所又は古物市場の名称及び所在地……(以下省略。)

※出典:「e-GOV法令検索 古物営業法」

上記のルールは、インターネットで古物事業を行う際も同様です。たとえばWebを介すことで在庫管理が不要だとしても、取引を行うための事務作業などを行う拠点として、営業所が必要になります。

ただし古物商の営業所は、営業の実態を確認できる場所でなければなりません。具体的には、一定期間の使用権限があり(賃貸契約など)、独立して管理できる場所である必要があります。

営業所として認められるのは、どんな場所?

古物商の許可を得られる営業所として認められるのは、一定期間の使用権限があり、独立して管理することができる場所です。

  • 一定期間の使用権限があること
  • その場所が独立して管理できる構造であること

「一定期間の使用権限があること」とは、中長期的に利用できる権利がある場所を指します。たとえば自己所有物件や長期的な賃貸契約を結んでいる場所であれば、「一定期間の使用権限がある」といえるでしょう。

「その場所が独立して管理できる構造であること」とは、個別に占有可能な区画(個室)である場所を指します。たとえば自身で借りた賃貸物件であれば、個人で管理かつ自身の区画を持てるといえるので、営業所として認められるでしょう。

上記2点を鑑みると、短期契約している場所や個別の区画がないシェアオフィスやコワーキングスペースでは、古物商の許可は下りないと考えられます。

また古物商を行う際、営業所では「管理者が常駐すること」「古物台帳の管理をすること」「古物の保管ができること」「標識(古物商プレート)の掲示」など、さまざまなルールを守らなければなりません。すると営業実態が視認できる場所でなければ許可が下りないことは明白であり、バーチャルオフィスでは古物商の許可は得られないと考えられます。

<古物商の許可を得にくい・得られないスペース ※一例>

  • バーチャルオフィス
  • レンタルオフィス
  • コワーキングスペース
  • シェアオフィス
  • 短期間の賃貸契約物件

バーチャルオフィスが古物商に利用できない理由

営業実態が視認できないバーチャルオフィスはNG

バーチャルオフィスが古物商に利用できない理由は、営業の実態を視認できないからです。

<古物商で認められる場所の条件>

  • 一定期間の使用権限があること
  • その場所が独立して管理できる構造であること

上述してきた通り、古物商の申請を得るには「一定期間の使用権限があること」と「自身が独立して管理できる個室」である場所が必要となります。

しかしバーチャルオフィスで借りられるのは、事業用の住所です。実態のある空間を借りられるわけではないので、古物商の許可申請を得ることはできません。

シェアオフィスやレンタルシェアオフィスも古物商許可は下りにくい

バーチャルオフィスのほかにも、レンタルオフィスやシェアオフィスを選択肢にあげている方もいるかもしれませんが、それらスペースも同様に古物商の許可は下りにくいと考えるべきでしょう。

なぜならシェアオフィスは複数人が共同で利用するスペースであるため「自身が独立して管理できる個室」であるとは考えられないからです。(コワーキングスペースも同様。)

つぎにレンタルオフィスを時間単位で契約する場合は、短期契約でスペースを借りることになるので「一定期間の使用権限がある」とは考えられません。そのため営業所として認められない可能性が高いでしょう。

ただ、なかには個室タイプで長期契約できるレンタルオフィスも存在します。レンタルオフィスの運営会社が古物商での利用を認めている場合は、申請できる・申請が通る可能性も考えられます。

ただし、レンタルオフィスの利用を検討する場合には、レンタルオフィスの運営会社へ確認および管轄する警察署の生活安全課・防犯係に、事前に相談するようにしましょう!

古物商の「営業所」ではなく「本社」としてなら利用可能!

バーチャルオフィスは、古物商の営業所として利用することはできませんが、事業の「本社」としてなら活用することは可能です。

古物商では、営業所と本社の所在地は同一である必要はありません。そのため小さなオフィスなどをレンタルして営業所として申請しつつ、本社の所在地はバーチャルオフィスに設定することができます。

自宅住所の公開を避けたい、営業所の住所を本社にしたくない、信頼性のある住所を本社に据えて事業を進めたいという方にとっては、おすすめできる活用手法です。

適正な手続きを怠ると罰則となる可能性がある

適正な業務を行わないと罰則となる可能性もある

古物商は盗品の流通防止・発見のため、許可を得なければ事業を営んではならないことが法律で定められています。

そのため、適正な手続きを踏まずに事業をはじめてしまうと、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金となる可能性が大いにあります。

第三十一条

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者

二 偽りその他不正の手段により第三条の規定による許可を受けた者

三 第九条の規定に違反した者

四 第二十四条の規定による公安委員会の命令に違反した者

※出典:「e-GOV法令検索 古物営業法」

中古品を購入にやってくるお客さまからしても、古物商の運営ルールをしっかり守っているサービスでお買い物をしたいはず。堂々と自信をもって、お客さまに事業をアピールするためにもルールは必ず守りましょう

まとめ

古物商を行う際には、必ず古物商の許認可を得る必要があります。ただし、許可申請をする際に必須となる営業所には「バーチャルオフィス」を利用することはできません。自宅や実家、賃貸オフィス、個室かつ長期契約のレンタルオフィスなど、古物営業法が定める営業所を設定するようにしましょう

許認可を得られるか不安な際は、事前に事業をする地を管轄する警察署の生活安全課・防犯係に相談することをおすすめします。

ルールをしっかり守って、気持ちよく古物商をはじめましょう

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1

月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。

https://virtualoffice1.jp/

この記事の監修者

株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野傑

株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役

2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。

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