バーチャルオフィスを使った開業届の書き方を徹底ガイド!注意点も解説

[投稿日]2022年12月01日 / [最終更新日]2024年11月22日

開業届の書き方徹底ガイド

開業届の住所に、バーチャルオフィスは使用できますか?

バーチャルオフィスの住所は、開業時に使用することが可能です。バーチャルオフィスを使えば自宅の住所を公開することなく、コストを抑えながら開業手続きが完了します。

プライバシーを守るため、自宅住所ではなくバーチャルオフィスの住所を利用する事業者は増えています。しかし、バーチャルオフィスを使って開業届を出す場合、どうやって書けばいいのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

今回は、バーチャルオフィスを使った開業届の書き方を徹底ガイドします。「本当に開業時にバーチャルオフィスの住所は使えるの?」という疑問にもお答えしているので、ぜひ参考にしてくださいね。

開業時にバーチャルオフィスの住所は使える?

開業時にバーチャルオフィスは使える

個人事業主が、開業時にバーチャルオフィス住所を使用することは、法的に何ら問題ありません。これは、開業届に記載する「納税地」と「住所地・事業所等」に関する規定がないためです。

実際、バーチャルオフィスの住所を利用して活動する個人事業主は数多く存在します。ただし、開業にあたって事務所要件が定められた以下の業種では、バーチャルオフィスの住所利用が認められていません。

  • 税理士、弁護士、司法書士、行政書士などの士業
  • 古物商
  • 有料職業紹介業
  • 人材派遣業
  • 宅地建物取引業
  • 金融商品取引業
  • 産業廃棄物収集運搬業など

もし不安な場合は、開業している業種の事務所要件を確認したり、バーチャルオフィス事業者へ問い合わせたりすると良いでしょう。

バーチャルオフィスを利用できる具体的な業種について詳しい記事はこちら▼

バーチャルオフィスを使用して開業するメリット・デメリット

開業時にバーチャルオフィスを利用するメリット・デメリット

バーチャルオフィスを使えば、自宅の住所を公開することなく、コストを抑えながら開業手続きが完了します。しかし、利用に際してのデメリットもあります。

以下ではバーチャルオフィスに不安を抱く方に向けて、バーチャルオフィスで開業するメリット・デメリットを紹介します。

メリット

バーチャルオフィスの主なメリットは、以下の3つです。

  • プライバシーが守られる
  • 費用を大幅に削減できる
  • 都心一等地の住所が利用できる

「自宅住所を法人登記や名刺に利用するのは不安」という方にとって、バーチャルオフィスは最適です。都心一等地の住所が格安の値段で借りられるのは、大きなメリットといえるでしょう。

また個人事業主の場合、あらかじめバーチャルオフィスを契約しておくことで、わざわざオフィスを探す手間なく法人化がスムーズにできます。

デメリット

バーチャルオフィスはメリットがある一方でデメリットもあります。主なデメリットは以下の2つです。

  • 開業できない業種がある
  • まだ新しいサービスのため不信感を抱く人がいる

気をつけたいのは、バーチャルオフィスには開業できない業種がある点です。特に個別専有スペースが必要で、特定の許認可を取得しなければならない業種が開業できません。事業が開業できない業種ではないか、バーチャルオフィスを契約する前にしっかり確かめましょう。

【徹底ガイド】バーチャルオフィスを使った開業届の書き方

開業届の書き方ガイド

バーチャルオフィスを使用して開業届を出す場合、住所をどのように記入したらいいのか迷ってしまいますよね。以下では、バーチャルオフィスを使った開業届の書き方を詳しく解説します。開業届の書き方に悩んでいる場合は、ぜひ参考にしてください。

開業届

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

0.開業届を用意する

開業届の正式名称は、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。最寄りの税務署で入手する方法と、国税庁のホームページからダウンロードする方法があります。いずれかの方法で開業届を入手しましょう。

マイナンバーカードを発行していれば、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して、オンラインで開業届を提出することも可能です。

1.提出する税務署・提出日

税務署・提出日

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

納税地を管轄している税務署の「税務署名」と「提出日」を記入します。開業届は事業を開始してから1ヶ月以内に提出しましょう。1ヶ月を過ぎることでペナルティがあるわけではありませんが、原則1ヶ月以内という提出期限が設けられています。

2.納税地・上記以外の住所地・事業所等

納税地・上記以外の住所地・事業所等

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

バーチャルオフィスを使用した際に、もっとも影響がある記入欄が納税地と上記以外の住所地・事業所等です。個人事業主の方は、納税地に「住所地」「居所地」「事業所」のいずれかを記入しましょう。

バーチャルオフィスを納税地にしたい場合は、「納税地」にバーチャルオフィスの住所を記入し、「上記以外の住所地・事業所等」に自宅住所を記入します。自宅住所を納税地にしたい場合は、「納税地」に自宅住所、「上記以外の住所地・事業所等」にバーチャルオフィスの住所を記入しましょう。

なお、開業届にバーチャルオフィスの住所を記入していなかったからといって、経費にできないことはありません。バーチャルオフィスを事業用に使用していると証明できれば、経費にすることが可能です。

バーチャルオフィスと自宅のどちらを納税地にしたほうがいい?

バーチャルオフィスと自宅のどちらを納税地に設定するかは、それぞれのメリット・デメリットを考慮して判断すると良いでしょう。

メリットデメリット
バーチャルオフィス・郵便物を事業用とプライベートで分けやすい
・引越しによる納税地の変更が不要
・賃貸契約絡みのトラブルを避けられる
・管轄の税務署が遠くなる恐れがある
自宅・各種手続きを簡素化できる
・管轄の税務署が近く、窓口を利用しやすい
・事業用とプライベートの郵便物が混同する
・引越し時に納税地の変更が必要

なお、バーチャルオフィスと自宅の納税地の市区町村が異なる場合は、住民税の均等割の金額に差異が生じたり、超過課税が課されたりする場合があります。納税地によって納税額が異なるため、少しでも節税したい場合は各地域の税率を比較して納税地を決定してみてください。

3.氏名・生年月日

氏名・生年月日

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

事業者の氏名とフリガナ、生年月日を記入し、押印します。印鑑は個人印と屋号印のどちらを選んでもかまいません。

4.個人番号

個人番号

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

マイナンバーカード(通知カード)にある「個人番号」を確認し、記入しましょう。

5.職業

職業

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

「職業」は具体的な職業名を記入します。書き方に明確な決まりはありませんが、業種によっては個人事業税の税率が異なります。すべての職業が個人事業税の課税対象ではなく、ライターや漫画家は法定業種に該当しません。

個人事業税の詳細については、東京都主税局が公開している「法定業種と税率」を確認しましょう。

6.屋号

「屋号」の欄に事業名を記入します。ない場合は記入しなくても問題ありません。

7.届出の区分

届出の区分

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

新規開業の場合、「開業」に〇をつけます。そのほかは空欄で問題ありません。事業を引き継いだ場合は住所と氏名を記入します。

8.所得の種類

所得の種類

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

不動産所得、山林所得以外は事業所得に分類されます。

9.開業・廃業等日

開業日は自由に決められます。自分が開業日にしたい日付を記入しましょう。

10.事業所等を新増設、移転、廃止した場合

新規開業の場合は空欄です。

11.廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合

上記と同様に、新規開業の場合は空欄です。

12.開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出する場合は、上段で「有」を選びます。

下段の「課税事業者選択届出書」は、消費税の課税事業者になる際に提出する書類です。課税事業者として事業を始める場合は、「課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。開業届と同時に提出する場合は、下段で「有」を選択しましょう。

13.事業の概要

事業の概要

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

事業内容を簡潔に記入します。「職業」の欄よりも具体的に記載しましょう。

14.給料等の支払の状況

給料等の支払の状況

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

従業員がいない場合はすべて空欄にします。開業当初から従業員を採用する場合は、記入が必要です。「従業員数」の欄にある「専従者」は、雇用する人が親や配偶者、子の場合に人数を記入します。そうでない場合は「使用人」の欄に人数を記入しましょう。

「給与の定め方」の欄では、「日給」や「月給」など、給与の支払い方を記入します。「税額」の欄には、従業員の月給が8万までなら「無」、ひとりでも8万を超えていたら「有」を選びましょう。

また、従業員を雇い、給料を支払うとなると源泉徴収が必要です。源泉徴収は、給料や報酬を支払った翌月の10日までに納付しなければなりません。

しかし特例で、まとめて納付できる「源泉所得税の納期の特例」制度があります。一定の要件を満たしていれば、毎月ではなく年2回の納付で済むので、この書類を提出する場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」の欄で「有」を選択しましょう。

「給与支払を開始する年月日」の欄には、日付がわかる場合は記入、わからない場合は空欄で問題ありません。

15.関与税理士

関与税理士

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁(PDF)

開業届を作成している段階で税理士に依頼することを決めている場合は、税理士の氏名・住所・電話番号を記入します。決まっていない場合は空欄です。

なお、のちに税理士に依頼することが決まったからといって、開業届を出しなおす必要はありません。開業届を作成している段階の情報を記入しましょう。

開業届の届出・提出先

開業届の届出・提出先は、納税地を管轄する税務署です。納税地にバーチャルオフィスの住所を記載した場合は、そこを管轄する税務署へ、自宅の住所を記載した場合は、自宅地域を管轄する税務署へ提出します。

なお、すでに開業届を提出しており、バーチャルオフィスの利用に伴って事務所移転をする場合は、必要事項を記入のうえ、移転前の地域を管轄する税務署へ提出します。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

参考:No.2091 個人事業者の納税地等に異動があった場合の届出関係

バーチャルオフィスを使って開業する際の注意点

バーチャルオフィスで開業する際の注意点

バーチャルオフィスを使って開業する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、2つご紹介します。

バーチャルオフィスを契約してから届出をする

バーチャルオフィスの住所を使用して開業する場合は、届出をする前にバーチャルオフィスの契約が必要です。契約前に住所を使用するのは、たとえ後から契約する場合でも無賃乗車をしているようなものです。

バーチャルオフィスの規約違反にあたるため、必ず先に契約を済ませて住所の利用が認められてから届出をしましょう。

住民税の均等割が2箇所でかかるケースがある

バーチャルオフィスと自宅が異なる市区町村の場合、住民税の均等割が2箇所でかかるケースがあります。たとえば、A市に住所があり、B市のバーチャルオフィスを納税地に指定した場合は、A市・B市の両方で住民税の均等割が発生する恐れがあります。

これは、住民税の均等割の課税対象が、「地域内に住所がある人」と「地域内に住所はないが事業所等がある人」となっているためです。一部例外もあり、管轄の地域によっては発生しない場合もあります。実際に東京都港区と渋谷区へ問い合わせ、住民税の均等割が発生するか否かを質問しました。

問い合わせ先返答(一部抜粋)
東京都港区法律的には住民税均等割の対象となる。しかし現状の港区では、均等割の課税調査がしっかりと行われておらず、通知書の未送付が非常に多い。
東京都渋谷区決算書や確定申告書の内容を見て、渋谷区に事業実態があるかどうかを総合的に判断する。ないと判断した場合は、課税対象にならない。

港区のバーチャルオフィスを納税地にした場合、住民税の通知書が届かないために支払いが発生しないケースが多いとのことです。渋谷区は、事業実態の有無を判断基準にしているため、バーチャルオフィス住所の場合は、ほとんどで課税対象外になると考えられます。

バーチャルオフィスを使った開業ならバーチャルオフィス1がおすすめ

バーチャルオフィス1

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最短即日利用も可能なので、急ぎ事業用住所を取得したい方にもおすすめです。

まとめ

本記事では、バーチャルオフィス利用時の開業届の書き方を紹介しました。設定する納税地によって、バーチャルオフィス住所の記載項目が異なるため注意が必要です。

なお、バーチャルオフィス住所を納税地にする場合、プライバシー保護や賃貸契約絡みのトラブル回避など多くのメリットが期待できます。しかし、場合によっては管轄の税務署が遠くなったり、住民税が多く課税されたりする恐れもあるため、メリット・デメリットを考慮して納税地を設定してみてください。 

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1

月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。

https://virtualoffice1.jp/

この記事の監修者

株式会社バーチャルオフィス1代表取締役 牧野 傑

株式会社バーチャルオフィス1 代表取締役

2022年2月に株式会社バーチャルオフィス1の代表取締役に就任。東京(渋谷)、広島にて個人事業主(フリーランス)、法人向けにビジネス用の住所を提供するバーチャルオフィスを運営している。自ら起業した経験も踏まえ、「月額880円+郵送費用」といったわかりやすさを追求したワンプランで、利用者目線に立ったバーチャルオフィスを目指している。

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