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バーチャルオフィスの住所は住民票に使えますか?
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バーチャルオフィスの住所は住民票に登録できません。
バーチャルオフィスは、ビジネスで利用する住所をレンタルできるサービスです。住民票は、生活拠点がある住所を登録することが求められているため、バーチャルオフィスの住所では登録が認められません。
バーチャルオフィスの利用を検討する方のなかには、事業用ではなく住民票の住所として使いたいと考える方もいるかもしれません。しかし、バーチャルオフィスの住所で住民票登録をすることはできません。
当ページではバーチャルオフィスの住所が住民票では使えない理由について紹介していきます。
目次
バーチャルオフィスの住所は住民票に登録できない
バーチャルオフィスの住所は、事業用として使用することはできても、生活の拠点とする住所に利用することはできません。したがって、住民票に登録することはできません。
バーチャルオフィスは事業用として使える住所
バーチャルオフィスとは、ビジネスで利用する住所をレンタルできるサービスです。
具体的には、下記のような場面で活用できます。
- 法人登記する際の本店所在地
- 個人事業主として開業するとき、開業届に記載する住所
- ネットショップ開設時の所在地
リアルなオフィスを持たず、ビジネス用の住所だけを借りられることで、事業者は賃貸費を削減したり、個人情報を守ったりできるメリットを得られます。
住民票の住所にバーチャルオフィスが使えない理由
バーチャルオフィスの目的は、生活拠点の提供ではなく事業拠点となる住所を提供することです。そもそも住民票は、生活拠点がある住所を登録することが求められているため、バーチャルオフィスの住所では登録が認められません。
その理由を裏付けるものとして、住所に関する法令での定義をいくつか挙げてみましょう。
民法 第四節 第二十二条
地方自治法 第十条第一項
市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。
住民基本台帳法 第四条
住民の住所に関する法令の規定は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第十条第一項に規定する住民の住所と異なる意義の住所を定めるものと解釈してはならない。
つまり住所は「個人の生活の本拠であり、生活の本拠かどうかは客観的事実によって判定することになる」とされていることがわかります。なお、民法上の居所とは「居住の事実がある場所をいい、単に起居している事実ではなく、送達等の宛先となることを要する」とされています。
したがって、バーチャルオフィスはビジネス目的に限定して住所を提供するサービスであるため、生活の本拠とはいえず、住民票に登録するための住所の要件を満たさないと解釈できると考えられます。
くわえて、どのバーチャルオフィスの利用規約にも、「住民票を登録するための住所としては利用できない」といった内容が記載されているはずです。
以上によって、バーチャルオフィスは住民票に利用できないとされています。
バーチャルオフィス事業者も法律に倣って事業を運営している
住民票に利用する利用者の登録を避けるためにも、各バーチャルオフィスはさまざまな対策をしています。
たとえばバーチャルオフィス1では、個人で契約する利用者には「個人の住民票」「本人確認書類」「住所地が確認できる顔写真付きの身分証明書」を求めたり、法人で契約する場合も「代表者個人の本人確認書類」「住所地が確認できる顔写真付きの身分証明書」の提出を必須としたりしています。
また生活上の拠点が別にあることを確認してから契約を結び、契約後も住所変更があった場合は速やかに変更するよう利用規約で定めています。
バーチャルオフィス1を例にあげましたが、他のバーチャルオフィスサービスも同様の対策を行っています。上記の取り組みからも運営しているバーチャルオフィス事業は、住民票登録を行うための住所提供ではないことが明らかであると判断できるでしょう。
現住所以外に住民票をおく行為は違法の可能性も
そもそも住民票の住所とは、生活の本拠地を明らかにするものです。実際には住んでいない住所で住民票の登録をする行為は、虚偽の住民登録をしたと見做され違法となる可能性が高いでしょう。
住民基本台帳法では、下記のように明示されています。
住民基本台帳法
<第三条第三項>
住民は、常に、住民としての地位の変更に関する届出を正確に行うように努めなければならず、虚偽の届出その他住民基本台帳の正確性を阻害するような行為をしてはならない。
<第五十二条>
第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出に関し虚偽の届出(第二十八条から第三十条までの規定による付記を含む。)をした者は、他の法令の規定により刑を科すべき場合を除き、五万円以下の過料に処する。
つまり第三条第三項では、住民は虚偽の届け出によって住民基本台帳の正確性を阻害する行為をしてはならないと明示されています。そして第五十二条では、虚偽の届け出をした場合は5万円以下の罰金となる旨が記載されているのです。
引っ越しをした際も、転入手続きや転居手続きは住所を移してから14日以内に行うルールがあります。正確な住所を届け出ることは、法律観点でも重要視されていることがわかります。
「面倒だから」という理由で、正確な住所地の申請を怠る行為は必ずやめましょう。
『バーチャルオフィス1』は事業用の住所を貸し出すサービス!
当社が運営しているバーチャルオフィス1は、事業者用住所の貸し出しを行っているサービスです。開業・起業する際の所在地をどうしようか悩んでいる方に対して、月額880円+郵送費用(税込)でレンタルを行っています。
どのような理由であっても、誰でも住所を使える状態になってしまうと、第三者の手によって当社の住所を利用して犯罪などに悪用されてしまうリスクが生まれます。
そうしたトラブルを排除し、利用者さまに安心してご利用いただくためにも、当社では利用規約で「住民票への登録はできない」ことを明記かつ契約には「本人確認と審査」を設けて運営をしております。
まとめ
「長期的な出張や海外滞在が多くて、毎回手続きするのが面倒」「仕事が忙しくてほとんど自宅に帰らない、家賃がもったいない」などのさまざまな理由から、バーチャルオフィスの住所を住民票に登録したいと考える方がいると思います。
しかしバーチャルオフィスは事業用に貸し出す住所であり、住民票に登録するための住所として利用することはできません。
また法律観点からみても、実際に住んでいない拠点を住民票の住所に登録するのは違法と見做される可能性があるので注意してください。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
弁護士 北村 尚弘
2013年登録 東京弁護士会所属
東京大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。一般企業法務、人事労務、紛争処理(訴訟・保全・執行)、M&A・事業承継、宇宙ビジネスなど多角的な分野に取り組んでいる。