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犯罪収益移転防止法とはなんですか?
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犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)とは、マネーロンダリングやテロ資金の供与を防ぐことを目的に制定された法律です。
2008年から犯罪収益移転防止法によって、バーチャルオフィスを契約する際、バーチャルオフィス事業者には厳格な本人確認と審査が義務付けられるようになりました。
当ページでは犯罪収益移転防止法が適用されたことで、バーチャルオフィスにどんな影響が及んだのかについて詳しく解説していきます。
目次
バーチャルオフィス活用による犯罪を防ぐ|犯罪収益移転防止法
2008年より、バーチャルオフィスを契約する際、バーチャルオフィス事業者には、身分証明書の提示(本人確認)が義務付けられることになりました。なぜなら犯罪収益移転防止法によって、バーチャルオフィスサービスが規制の対象となったからです。
犯罪収益移転防止法の適用範囲となったことで、実態としては以前と比べ犯罪を目的とする利用者を排除しやすい体制が整備されました。
契約時の審査や本人確認が強化されたことによって、利用者からすると「バーチャルオフィスを利用するための審査が厳しくなった!」とも捉えられますが、安心して利用しつづけられるサービスであるためには、厳格な審査体制は欠かせません。
結果的に、信頼して利用できるバーチャルオフィスサービスを契約しやすい基盤を構築するきっかけになったと考えられるでしょう。
バーチャルオフィスに犯罪収益移転防止法が適用された背景
犯罪収益移転防止法がバーチャルオフィスサービスに適用された理由として、バーチャルオフィスが犯罪目的で使用されるケースが多発したことが考えられます。
犯罪収益移転防止法が適用される前は、バーチャルオフィスは住所や電話番号を手軽に借りやすい側面があったため、詐欺などの犯罪に使われやすい状況が生まれてしまっていました。そのため、バーチャルオフィスサービスへの取り締まりが厳しくなったと考えられます。
犯罪収益移転防止法とは?
犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)とは、マネーロンダリングやテロ資金の供与を防ぐことを目的に制定された法律です。
マネーロンダリングとは、日本語にすると資金洗浄という意味です。犯罪によって得られたお金の出どころをわからなくするために、架空名義口座や他人名義口座を転々と移動させる行為などのことを指し、法律で禁止されている行為のひとつです。
つまり犯罪収益移転防止法では、マネーロンダリングのように犯罪によって得られた収益が別の犯罪者のもとへ送金されないよう、本人確認などが義務付けられました。
バーチャルオフィスとの関係性は?
バーチャルオフィス事業者は、犯罪収益移転防止法に規定する「郵便物受取サービス業者」に該当すると規定されており、以下の義務が課されています。
- 取引時確認義務
- 取引時確認記録の作成および保存義務
- 取引記録の作成および保存義務
- 疑わしい取引の届出義務
- 取引時確認等を的確に行うための措置を講じる義務
参考:e-GOV法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律」
犯罪収益移転防止法によるバーチャルオフィス利用者への影響は?
犯罪収益移転防止法によって、バーチャルオフィスを契約して使う側には、どのような影響があるのでしょうか。今回は下記3点をピックアップしてお伝えしていきます。
- 厳格な審査が必要であるため安心して契約しやすい
- 法人銀行口座開設における審査が通常よりも厳しくなる場合がある
- 虚偽の申告を行うと違反になる可能性がある
さらに詳しくみていきましょう。
1. 厳格な審査が必要であるため安心して契約しやすい
犯罪収益移転防止法によって、厳格な本人確認が求められるようになりました。本人確認においては、具体的に下記事項などの確認を実施するよう規定されています。
【個人の場合】
・氏名
・生年月日
・現住所
・職業
・取引を行う目的(バーチャルオフィスを利用する目的)
【法人の場合】
・法人名
・会社所在地
・実質的支配者(事業経営を実質的に支配することが可能な個人)
・事業内容
・取引を行う目的(バーチャルオフィスを利用する目的)
参考:e-GOV法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律」
本人確認が厳格化されたことで、犯罪を目的とする利用者を排除しやすい体制が整備されました。バーチャルオフィスを利用するための審査が厳しくなったとも捉えられますが、安心して利用しつづけられるサービスであるためには、厳格な本人確認と審査は欠かせません。
万が一、利用中のバーチャルオフィスを他者が犯罪に使用してしまったら、自身の事業にも影響が及んでしまう可能性は十分にあり得ます。また他のバーチャルオフィスサービスに乗り換えることになれば、新たに時間とお金を費やさねばなりません。
犯罪収益移転防止法は、そういった事態の対策にもなります。利用者が安心してバーチャルオフィスを契約できる理由につながるでしょう。
加えて、バーチャルオフィスサービスを検討する際も「犯罪収益移転防止法に則って、しっかり本人確認や審査を行っているか?」という観点で、利用者自身で安全性を判断しやすくなった利点もあります。
「審査不要」や「即時審査」を謳っているバーチャルオフィスは、審査の質が低い可能性があるため注意しておきましょう。
2. 法人銀行口座開設における審査が通常よりも厳しくなる
犯罪収益移転防止法の大きな目的は、犯罪によって得たお金が別の犯罪者に渡ってしまう事態を防ぐことです。そのためひとつの住所を複数人で利用する形態をとっているバーチャルオフィスは、金融機関からすると慎重に判断せざるを得ません。
そのため自宅住所や賃貸オフィスを用いて口座開設を申請した場合と比較すると、バーチャルオフィスを利用している方が審査が厳しくなる傾向にあるといわれています。
ここで勘違いしやすいポイントがひとつあります。バーチャルオフィスを利用していると審査が厳しくなるのは真実ですが、法人銀行口座が開設できなくなるわけではありません。
実際にバーチャルオフィス1では、利用者さまの法人口座開設実績は多数あります。犯罪を目的とせず、適正に事業を運営しようとしている限り、しっかり対策を行えば大手銀行で口座開設を行うことも可能です。
「審査が厳しい」という情報をネガティブに捉えず、厳しいなかでも「どう信頼性を獲得するべきか」と視座を上げて対応していきましょう。
ちなみにバーチャルオフィス1では、バーチャルオフィスをご契約くださっている会員さまを対象に「法人口座を開設するためのアドバイス」も行っております。口座開設に臨むことに不安がある方は、ご契約のうえご相談ください。
3.虚偽の申告を行うと違反になる可能性がある
犯罪収益移転防止法では、本人確認事項を隠蔽する目的で虚偽申告をした場合には、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらが併科されることが定められています。
第二十七条
顧客等又は代表者等の本人特定事項を隠蔽する目的で、第四条第六項の規定に違反する行為(当該顧客等又は代表者等の本人特定事項に係るものに限る。)をした者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
当記事を読んでくださっている方のなかに、虚偽の申告をするような方はいらっしゃらないと思いますが、法律でしっかり規定がされていることを頭の片隅にいれておきましょう。
「バーチャルオフィス1」での犯罪収益移転防止法に基づく本人確認・審査について
バーチャルオフィス1では、利用者が安心して使いつづけられるサービスであるために、犯罪収益移転防止法に基づいた厳格な審査体制と本人確認を行っています。
- 本人確認ができる書類の提出
- eKYC(オンライン本人確認ツール)の導入
- 利用を希望される方の事業概要説明書の提出
※厳格な審査を行うため、審査内容の詳細に関しては公開しておりません。
本人確認ができる書類の提出
【個人の方(個人事業主やこれから法人を設立される方)】
・住民票(発行から3ヶ月以内)
・印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内)
・顔写真付き身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
・クレジットカード
【法人の方】
・履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
・代表権を持つ方の顔写真付き身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
・実質的支配者の顔写真付きの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
・クレジットカード
またバーチャルオフィス1では犯罪収益移転防止法に基づき、お客さまの本人確認記録および取引記録の作成と保存を行っております。
記録の保存は犯罪収益移転防止法によって、取引が終了した日から7年間保持することが義務付けられています。ご提出いただいた書類について、第三者に開示することはありませんのでご安心ください(法律に基づく開示命令があった場合を除く)。
参考:e-GOV法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律 第二章 特定事業者による措置 第七条」
eKYC(オンライン本人確認ツール)の導入
バーチャルオフィス1では、eKYC(electronic Know Your Customer)というオンライン本人確認ツールを導入しています。
eKYCの導入により、犯罪収益移転防止法に準拠したオンライン申込を実施中です。
利用を希望される方の事業概要説明書の提出
バーチャルオフィス1では住所の不正利用や犯罪利用防止の観点から、本人確認に加えて事業概要についての確認を行っています。
具体的には「どのような事業を行っているのか(あるいは、行う予定なのか)」や「事業を運営するための、どのような経験・知見があるのか」を明確に伝えられる書類や資料をご用意ください。
内容が薄い・不明確な書類でご提出された場合は、不正利用の疑いを払拭できないため、審査が通らない場合がございます。すべての方が安心して利用できるサービスでありつづけるため、事業概要説明書の提出にご協力ください。
以下、事業概要説明書類の一例を紹介します。
【個人の方(個人事業主やこれから法人を設立される方)】
・事業計画書、創業計画書のコピー
・入会希望者本人の経歴がわかるWebページ等のコピー
・資格証明書(※士業など資格をもとに活動される方)
【法人の方】
・クライアントとの契約書のコピー
・Webページ(HP)のURLおよび事業内容が分かる箇所のコピー
・対外的な会社案内のコピー
・決算書のコピー
Webの申込フォームにてすべての資料を提出できなかった場合は、追ってメールでデータをお送りください。
厳格な審査基準で安心して利用できるサービスを提供
バーチャルオフィス1は上記で述べた通り、利用者さまが安心して利用しつづけられるサービスであるために、厳格な審査体制と基準を用いて運営しています。
手前味噌ですがサービス立ち上げ以来、20代若手の方々から社会人ベテラン層の方々まで、幅広い年代の方からの信頼を受け、ご契約いただいている状況です。これからも、既存の利用者さまはもちろん、これから利用される方々も含め末長くご愛顧いただけるサービスであるよう邁進していく所存です。
「安心基盤のなか、末長くバーチャルオフィスを利用したい」と考えている方は、ぜひバーチャルオフィス1の利用を検討してみてください。
まとめ
犯罪収益移転防止法によって本人確認や審査体制は厳しくなりました。しかし犯罪目的の利用者を排除しやすくなったことで、結果的にはバーチャルオフィスサービスの質向上につながっていると考えられます。
バーチャルオフィスサービスを検討するときには「本人確認や審査をしっかり行っているか?」という観点で判断するようにすると良いでしょう。
バーチャルオフィス1では、不正利用・犯罪利用を防ぐために「本人確認書類の提出」「eKYCの導入」「事業概要説明書の提出」を実施して、安心してご利用いただける審査基盤を構築しています。バーチャルオフィスを検討中の方は、ぜひ一度サービスページをご覧ください。
この記事の投稿者
バーチャルオフィス1編集部
東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1
月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。
この記事の監修者
弁護士 北村 尚弘
2013年登録 東京弁護士会所属
東京大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。一般企業法務、人事労務、紛争処理(訴訟・保全・執行)、M&A・事業承継、宇宙ビジネスなど多角的な分野に取り組んでいる。