税務調査の概要とバーチャルオフィスで受けるときの注意点

[投稿日]2023年07月10日 / [最終更新日]2023年11月17日

税務調査の概要とバーチャルオフィスで受けるときの注意点

税務調査は納税地でなければできないですか?

税務調査は納税地以外の場所でも可能です。

国税通則法など、税務調査の手続きを定める法令等には、税務調査を受ける場所は規定されていません。そのため、多くの個人・法人が指定している自宅・本社オフィス以外でも税務調査を受けることは可能です。

例外として、納税地や納税地を管轄している税務署の管轄外である場所を指定した場合は、受け入れられない場合があります。管轄外の場所で税務調査をしたい場合は、調査実施日・場所の調整時に聞きましょう。

事業をしている法人・個人であれば、税務調査という言葉を聞いたことがあると思います。しかし、税務調査と聞くと「難しそう」「ドラマみたいに脅される」というイメージを持っているのではないでしょうか。

また、バーチャルオフィスを契約している方は、バーチャルオフィス内で税務調査を受けられるのか不安ですよね。

本記事では、税務調査の概要から流れ、税務調査はバーチャルオフィスで受けられるのかまでを徹底解説します。

税務調査とは?

税務調査とは「法人・個人が行う納税に関する申告に対して、内容が正しいかを確認する調査のこと」

税務調査とは、法人・個人が行う納税に関する申告に対して、内容が正しいかを確認する調査のことを指します。内容の確認は、徴税機関(国税庁・国税局・国税事務所・税務署など)から派遣された調査官によって行われます。

税務調査で行われることは以下の3つです。

  • 帳簿・領収書などの必要書類の検査
  • 税額の算出
  • 計算方法の指導

税務調査内で誤りが発生した場合、誤った箇所について聞き取りが行われます。その後、正しい計算方法で税金を算出します。

税務調査の種類

税務調査の種類は「任意調査」「強制調査」

税務調査の種類は2つに分類されます。

  • 任意調査
  • 強制調査

どちらも同じ税務調査ですが、対象や方法が異なります。

任意調査

任意調査とは、脱税疑惑のない法人・個人が対象となる税務調査です。

第131条の規定に基づく調査であり、国税局調査部、税務署の調査官、国税局資料調査課の実査官(以下:調査官)によって調査されます。調査は1〜3日かかります。
参考:国税通則法 | e-Gov法令検索

ドラマのシーンによくある「突然調査官が入り、がさ入れをする」ような調査ではありません。任意調査が行われる際、事前に電話または文書で通知されます。

調査時に一部申告漏れ・無申告・脱税行為などが発覚した場合は修正申告・是正が求められ、それに基づく追徴税額を支払う必要があります。また悪質と判断された場合は、「重加算税」という懲罰的な税を支払わなければいけません。

任意調査という名前ではあるものの、正当な理由無く拒否した場合には1年以下の懲役または50万円未満の罰金が科されるため、実質的には拒否できません。また、調査官の質問に対して、虚偽の回答・黙秘した場合も同様です。

強制調査

強制調査とは、脱税疑惑のある法人・個人が対象となる税務調査です。

国税通則法132条に基づく調査であり、国税庁調査査察部(通称:マルサ)によって調査されます。調査は潔白が証明されるか、すべての脱税が発覚するまで行われます。
参考:国税通則法 | e-Gov法令検索

強制調査は「突然調査官が入り、がさ入れをする」調査そのものであり、事前に電話・文書による通知はありません。ただし、裁判所の令状がないと調査はできません。

強制調査では資料の強制提出・聞き取りが行われます。脱税・証拠隠滅が発覚した場合、刑事事件に発展します。事件の首謀者は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金あるいはその両方が科せられます。

任意調査と同じく、調査自体の拒否や虚偽の回答、黙秘は認められません。

税務調査の流れ

税務調査の流れは「事前通知が来る→日程・場所調整をする→準備をする→
調査を受ける→調査結果の連絡が来る」

税務調査の流れは以下の通りです。

  1. 事前通知が来る
  2. 日程・場所調整をする
  3. 準備をする
  4. 調査を受ける
  5. 調査結果の連絡が来る

任意調査は上記の通りに行います。しかし、強制調査は1〜3の事項を調査対象者に行わせません。

①事前通知が来る

税務署から税務調査をする旨の通知が、電話または文書で来ます。通知が来たら即時対応するのが望ましいですが、どうしても対応できない場合は、予定終了後に対応しましょう。

担当税理士がおり、かつ、申告書に税務代理権限証書を添付して申告した場合は、担当税理士に事前通知が来ます。

②日程・場所調整をする

事前通知を受けた後、税務署と調査実施日・場所の調整をします。

調査実施日は調査を受ける側に権限があるので、1日空けられる日を指定しましょう。場所は個人の場合、自宅・本社オフィス・税理士事務所などが指定できます。一方、法人の場合は本社オフィスが一般的です。

なお、調査実施日・場所を調整した後でも、調整後数日以内であれば変更できます。担当税理士に立ち会ってもらう場合は、税理士と実施日・場所の調整をしましょう。

③準備を行う

調査実施日・場所の調整が終わったら、必要書類の準備をしましょう。必要書類は調査官から提出を求められた際、すぐに提出できるように整理しておきましょう。また、電子保存している必要書類も整理が必要です。

以下の必要書類を一通り準備しておくと、調査官の質問にも対応できます。

【必要書類】

帳簿関連・仕訳帳
・総勘定元帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳など
売上関連・請求書
・領収証
・納品書
・注文書
・見積書など
決算関連・決算書
・損益計算書
・貸借対照表
・棚卸表など
人件費関連・源泉徴収票
・出勤簿
・役員報酬資料
・社会保険関係書類など
その他・税務申告書類の控え
・税務届出書の控え
・賃貸借契約書
・リース契約書など

担当税理士に立ち会ってもらう場合は、税理士と打ち合わせを行い、資料の確認をしましょう。

また、調査官とあなたの見解が食い違う可能性のある項目も想定しておくと、調査官の質問にもすぐに対応できます。たとえば、「とある収入が法人に帰属するものなのかどうか」「役員の私的な支出なのか、法人の経費なのか」などです。主に「法令の解釈」と「事実関係の認定」で食い違いが出やすいので、注意しましょう。

④調査を受ける

調査当日は、事前に調整した日程・場所で行われます。1日の調査時間は午前10時から午後4時までです。しかし、調査官が昼食を食べるために1時間ほど外出するため、6時間続けて行われるわけではありません。

税務調査時に調査官が重点的に見る科目は以下の5つです。

科目見るポイント
売上・売上を過少申告していないか
・今期の売上を翌期以降に回していないか
仕入・架空の取引を記載していないか
・翌期以降の仕入を今期に計上していないか
棚卸資産・評価方法は正しいか
・実地棚卸が行われているか
・計上漏れはないか
交際費・交際費として計上するものを、ほかの勘定科目で計上していないか
・事業と無関係のものを交際費として計上していないか
人件費・架空の人件費が計上されていないか
・役員報酬・退職金の額が適正か
・事前確定届出給与の届出はされているか

⑤調査結果の連絡が来る

税務調査から約1ヶ月前後に、調査結果の連絡が来ます。結果は大きく4種類に分けられます。

  • 指導も指摘もないケース
  • 指導のみのケース
  • 指摘に基づき修正申告が必要なケース
  • 指摘に基づき更正が下されるケース

結果と税務調査時に指摘された内容をもとに、必要書類の準備・提出をします。

税務調査が入りやすい個人の特徴

税務調査が入りやすい個人の特徴は「申告義務があるのに税務申告していない、または内容に不備がある個人」「1年で大幅に売上や経費が増加した個人」

税務調査が入りやすい個人の特徴は以下の2つです。

  • 申告義務があるのに税務申告していない、または内容に不備がある個人
  • 1年で大幅に売上や経費が増加した個人

税務調査は、納税に関する申告を自ら行った個人・法人に対して行われます。そのため、個人の対象者は個人事業主か相続税を納めた人です。また、給与所得のみで生活している個人は、勤務先が納税に関する申告をしているため、対象となりません。

ちなみに、国税庁はインターネットで取引をしている個人に対して、積極的に税務調査をする姿勢を示しています。インターネットで取引をしている個人は特に注意して、お金の管理をしましょう。

税務調査が入りやすい法人の特徴

税務調査が入る法人の特徴は「事業規模が大きい法人」「不正が多い傾向にある業種の法人(風俗業・建築業・飲食業など)」「現金取引が多い法人」「売上・利益率などの数値が急に増加(減少)した法人」「過去に脱税を指摘された法人」

税務調査が入る法人の特徴は以下の5つです。

  • 事業規模が大きい法人
  • 不正が多い傾向にある業種の法人(風俗業・建築業・飲食業など)
  • 現金取引が多い法人
  • 売上・利益率などの数値が急に増加(減少)した法人
  • 過去に脱税を指摘された法人

法人は個人より事業規模が大きいため、帳簿の種類や枚数も多く不正が発覚しやすくなるほか、不正発見時の追徴税額も多額になりやすいです。

そのため、法人は個人よりも徴税機関から目をつけられやすくなっています。目をつけられても潔白を証明するためには、日々の正しい記帳・計算が重要です。

税務調査は納税地以外の場所でも可能

税務調査は納税地以外の場所でも可能

税務調査のよくある疑問として、「納税地でなければ調査できないのでは」という考えがあります。しかし、この考えは間違っており、税務調査は納税地以外の場所でも可能です。

国税通則法など、税務調査の手続きを定める法令等には、税務調査を受ける場所は規定されていません。そのため、多くの個人・法人が指定している自宅・本社オフィス以外でも税務調査を受けることは可能です。

例外として、納税地や納税地を管轄している税務署の管轄外である場所を指定した場合は、受け入れられない場合があります。管轄外の場所で税務調査をしたい場合は、調査実施日・場所の調整時に聞きましょう。

納税地について詳しくはこちら▼

バーチャルオフィスで税務調査を受けるときの注意点

バーチャルオフィスで税務調査を受けるときの注意点は「会議室はあるか」「必要書類は預かってくれるか」

税務調査をバーチャルオフィスで受けることは可能です。ただし、以下の2つを事前に確認しておきましょう。

  • 会議室はあるか
  • 必要書類は預かってくれるか

この2つを確認しなかった場合、税務調査当日になって場所を変更することも考えられます。

会議室はあるか

契約しているバーチャルオフィスに、会議室があるか確認しましょう。バーチャルオフィスで税務調査をする場合は、会議室が必須です。

もし契約しているバーチャルオフィスに会議室がなければ、実質的に税務調査は行えません。調査中はバーチャルオフィスを貸し切りにする、などの対応ができれば可能ですが、現実的ではないでしょう。

バーチャルオフィスに会議室がない場合、代表者の自宅や貸し会議室など別途場所を用意する必要があります。直前に場所変更しないためにも、会議室などのスペースがあるか確認しましょう。

必要書類は預かってくれるか

税務調査に使用する必要書類を預かってくれるかも、重要視するポイントです。

大量の書類を当日に持参するだけでもかなりの労力が必要です。バーチャルオフィスによっては、必要書類を数日程度保管してもらえます。事前に送付することで、当日に大量の書類を持ち込む必要はありません。

バーチャルオフィス1は税務調査に対応可能

バーチャルオフィス1

バーチャルオフィス1は税務調査に対応しています。特徴は以下の2つです。

  • 会議室あり+事前の書類送付も可能
  • 月額880円から利用可能

会議室や料金の詳細も紹介しますので、税務調査を受ける際には安心してご利用ください。

会議室あり+事前の書類送付も可能

バーチャルオフィス1は渋谷(東京)・広島の2店舗とも、会議室を設置しています。もちろん、税務調査でも利用可能です。

渋谷店(東京)に設置している会議室の概要は以下の通りです。

会議室数1室
席数2席
利用可能時間24時間利用可能
休日年末年始
料金1時間1,100円
予約必要
お問い合わせhttps://virtualoffice1.jp/contact/

広島店に設置している会議室の概要は以下の通りです。なお、広島店の会議室はバーチャルオフィス1と提携しているコワーキングスペース「AxEL」が保有しています。広島店の会議室を利用する際は「AxEL」にお電話ください。

会議室数1室
席数6席
利用可能時間8:00~21:00
休日日曜・祝日・年末年始・お盆
料金1時間2,200円
予約必要
お問い合わせ050-5527-2521

また、税務調査に必要な書類は数日程度であれば保管可能です。当日に大量の書類を持参する必要はありません。

月額880円から利用可能

バーチャルオフィス1月額880円+郵送費用のみで以下のサービスが付帯します。

  • 法人登記
  • 月4回の郵便物転送(別途郵送費用)
  • 郵便物到着状況確認
  • 来客対応システム
  • 郵便物受取

会議室があり、事前の書類送付も可能なバーチャルオフィスのなかでは、コスパ最強といえます。

まとめ

税務調査は納税額が正しいかを確認することであり、脱税していない限りは強制的に調査されることはありません。また、税務調査には大量の書類が必要です。日ごろから税務関連の書類を整理して、いざというとき、すぐに提出できるようにしましょう。

バーチャルオフィスで税務調査を受ける場合は、バーチャルオフィス内に会議室があるか、必要書類は預かってくれるかも確認が必要です。

税務調査は明日来るかもしれません。バーチャルオフィスを利用する際には、税務調査という側面も考慮して契約してください。

この記事の投稿者

バーチャルオフィス1編集部

東京都渋谷区道玄坂、広島市中区大手町にあるバーチャルオフィス1

月額880円で法人登記・週1回の郵便転送・郵便物の来館受取ができる起業家やフリーランスのためのバーチャルオフィスを提供しています。

https://virtualoffice1.jp/

この記事の監修者

税理士 伴 洋太郎

BANZAI税理士事務所 代表
税理士/1級ファイナンシャルプランニング技能士

大学卒業後、一般企業や税理士事務所での勤務を経て税理士試験に合格し、2018年にBANZAI税理士事務所を開業。個人事業主や中小法人、給与所得者や相続人を対象とした業務の経験が豊富で、スモールビジネスの立ち上げや個人事業の法人化に数多く携わっている。

BANZAI税理士事務所:https://ban-tax.com/

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